うめ屋


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by netzeth
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 占い

「おっ、フュリー何読んでんだよ」
「どーせ、月刊通信器機とかいうマイナーな雑誌だろよ」
「へえ~そんなのあるのか」
「ハボック少尉もブレダ少尉も違いますよ!見て下さいこれ!」
「なになに・・ほくろ占いだあ!?」
「おまえ占いなんかに興味あるのか」
「馬鹿にしたもんじゃないんですよ、これ。結構当たるんですから!例えば・・・」
「例えば?」
「首にほくろのある男性は女運が悪くて、よくフラれるんだそうです!」
「え!?」
「おいっハボ、お前首んとこにデッカイのあったよな・・・やっぱりだ!!はははは!当たってるじゃねえか!」
「くっ・・・こんなのタダの偶然だっ。他にはないのか!?」
「えーと、右胸にほくろのある人は女性にマメでモテるとか・・・」
「右胸!?」
「ん・・・右胸っていやあ確か・・・」
「どうした、ブレダ」
「確か大佐の右胸にあったぜ、ほくろ」
「本当ですか!?」
「ああ、ロッカールームで見たぜ」
「ほら、やっぱり当たってますよ~この占い!」
「くそ~納得いかねえ・・・」
「みんな、休憩時間は終わりよ」
『ち、中尉!!』
「楽しそうなお話の最中悪いけど、そろそろ仕事に戻ってね」
「は、はい!すみません」
「ああ、それから」
「はい?」
「大佐のほくろは左胸よ。右じゃないわ、じゃ、早く仕事に戻ってちょうだいね」
「そうだったんだあ~。あ、左胸だと真面目で一途って書いてありますよ~。ハボック少尉!ブレダ少尉?聞いてます?」
『・・・・・・』
「・・・なあ」
「・・・ああ」
「何で中尉がそんな事知ってるんだ?」
「・・・・・さあ」


 アップリケ

「大佐」
「何も言うな」
「・・・まだ何も言ってませんけど」
「じゃあ、今から言おうとしている事を言うな」
「・・・オレが何を言いたいのか分かるんすか」
「・・・少なくとも、お前が凝視している物についてなのは間違ないだろう」
「まーそのとおりっすけどね・・」
ハボックは視線を外さずに、私のジャケットの袖を見つめている。
「・・・笑っていいっすか?」
ハボックの視線の先には、デカデカと赤いハートマークのアップリケがあった。

宣言通り、遠慮なく思いっきり笑ってくれたハボックをとりあえず一発殴って黙らせた。
「てぇ・・・ところで、どうしたんすかそれ」
それとは言うまでもなく、デカデカと以下略アップリケの事である。
「それがな・・・」
今朝私は出勤途中、ひったくり犯を捕まえた。そいつはナイフを振り回して抵抗したが、所詮素人。私の敵ではない。そこまでは良かったが、ナイフがかすったジャケットの袖がザックリと裂けてしまったのだ。ジャケットを処分しようとした私に待ったをかけたのがホークアイ中尉だった。
「私に任せて下さい!」
と胸を張った彼女に任せた結果・・・私のジャケットはハートマーク付きで帰ってきたのだった。

「・・・で、何で着てるんすか。嫌なら着なけゃいいでしょーに」
そうは言うがな・・・お前は知らないんだ。私にジャケットを渡してくれた時の中尉の指に、朝には無かった筈の絆創膏がまかれていたのを。それも3つも。
「上手く出来なかったんですけど・・・」
と頬を染めて、はにかみながら渡されたそれを着なければ男が廃るだろうが・・・。

周囲の目に耐えながら私は今日もデカデカとした赤いハートマークアップリケ付きジャケットを着ている。
仕方ないだろうが、これを着ていると中尉が嬉しそうな顔をするんだ。
私のジャケットで味をしめた中尉は次のターゲットを探し出しており、被害は拡大する一方だった。
「早めに何とかして下さい~!」
中尉にGパンの尻の部分に丸いアップリケをつけられたハボックが(人を笑うからだ)泣き付いてくる。
私はさて、何と言って中尉を説得しようかと頭を悩ませるが・・・しかし、ハボックの丸いアップリケを見て、何となく赤いハートのアップリケが誇らしく思えてきた私はおそらくは末期なのかもしれなかった。


 キャラメル

砂糖の焦げる様な甘い匂い。その匂いにつられて私はキッチンを覗いた。
エプロン姿の彼女が何かを作っている。後ろからその姿を何となく眺めていると声がかかった。
「なんです?大佐」
「別に。ただ見てるだけだ。気にせず続けてくれ」
そう言われても気になりますよ・・・彼女は少し困った様な顔をしながら、鍋を片手に持ってやってきた。
それをテーブルの上に置く。
中には茶色いトロリとした物が入っている。甘い匂い。
さっきの匂いの正体はこれかと納得する。ところでこれは何だ?
「キャラメルですよ」
中尉は私の疑問に答えると、鍋の中をかき混ぜていたと思われるヘラでそのキャラメルを掬いとった。
「後は冷蔵庫で固めれば出来上がりです」
彼女はヘラからトロリと落ちるキャラメルを指でからめとると、パクリと口に入れる。
「ん、美味しい。大佐も味見してみます?」
いたずらっぽく微笑んで言うから、私は頷いた。
「ああ」
味見させて貰おうか。じっくりね。
そして、私は彼女の頬に手を添えてそのまま唇を奪うと、思う存分堪能したのだった。
・・・うん。やっぱりこの方が甘いな。



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by netzeth | 2010-09-23 14:27 | Comments(0)