うめ屋


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by netzeth
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とある子犬の一日

小さなブラックハヤテ号の見る夢は、美味しいご飯にぬくぬく日だまり、大好きな骨のおもちゃと・・・優しいご主人様の笑顔。


お日様の光が窓からキラキラと差し込んでくるのが眩しくて、僕は目を覚ました。
いっぱい寝たから僕はとっても元気だ。
そしたら。すぐにお腹が減ってきた。
ご飯食べたいなあ・・・。
いつもだったらもうご主人様がご飯をくれるのに、今日はご主人様お寝坊みたい。
僕はふわふわ毛布の寝床からぴょんと飛び出すと、ご主人様の寝床へと向う。
お部屋のドアはちゃんと開いていて(僕のためにご主人様は開けておいてくれるんだよ!)、僕はご主人様の匂いがするお部屋に入り込む。
ご主人様の寝床は大きくて、小さな僕ではうまく登れない。回りをウロウロしてたら、毛布の中からおててが伸びてきて、僕の頭をなでなでしてくれた。
「ハヤテ号・・・? ゴメンね、今日は非番だったから寝坊してしまったわね。待っててね、すぐにご飯にするから」
「わんっ」
うん、僕ちゃんと待てるよ!
でも、ひばんて何だろう? 美味しいのかな?

ご飯をお腹いっぱい食べたら、僕はお外に行きたくなった。
ご主人様~お散歩に行こうよ!
僕はいつもお散歩に使う紐をくわえてドアの前でお座りする。
知ってるよ! こうするとご主人様はお散歩に連れて行ってくれるんだ。えーと、おねだりって言うんだよ。ご主人様はおねだりに弱いんだって。たいさが言ってたんだ。
「んもう、仕方ないわね・・・」
ほらね、ご主人様は笑って僕をまたなでなですると、僕に紐を付けてくれた。
わあい、お散歩だあ。
「何処で覚えたのかしら・・・? こんなおねだりの仕方」
「わんっ」
たいさだよ! たいさが教えてくれたんだよ!

僕はご主人様と一緒にお散歩に出かけたんだ。ご主人様は僕をいろんなところに連れて行ってくれたよ。
僕は「こうえん」っていう場所が一番好きなんだ。広いからいっぱい走っても怒られないもんね。「ぐんぶ」もとっても広くて、いろんな場所があって面白いけど、ご主人様は忙しくてなかなか一緒に遊んでもらえないんだ。
「こうえん」では、ご主人様いっぱい遊んでくれたよ! ボールをぽーんて投げたのをとってくるの僕得意なんだ。ちゃんと出来るとご主人様は僕を褒めてくれるんだよ。
「いいこね、ハヤテ号。お前はやっぱり賢い子ね」
「わんわん!」
「もっと? ふふ、仕方ないわね」
ボールを追いかけて僕は走る。そしたら、とても良く知ってる匂いがしたんだ。
あれ? この匂いは・・・たいさだ!
「わん!」
「ハヤテ号! 何処に行くの!?」
ご主人様! たいさだよ!
僕はボールをくわえたまま、その匂いがする方へと走った。
ご主人様が僕を呼ぶ声が聞こえたけど、その時の僕は夢中になってしまって、全然気がつかなかったんだ。
葉っぱがいっぱいの場所をくぐり抜けて、広い大きな場所に出ると、すみっこのいすに僕の思った通りたいさがいて、僕は嬉しくなった。
「キャン!」
「ん?」
たいさ!
僕はたいさに飛び付いた。
「お前・・・中尉んとこの・・・ブラック・・・何でしたっけ?」
近くにいた別のひとが、僕のくびをひょいと掴んで持ち上げてしまった。
いつもお口から煙を出してるこのひとはハボックしょーいってひとだ。
「キャン!」
離してよう~。
僕がジタバタすると、たいさがしょーいから僕を受け取って抱っこしてくれた。
わあい、僕抱っこ好きなんだ。
「ハヤテ号だ。ブラックハヤテ号。・・・どうしたんだ? お前。こんなところにひとりで。中尉はどうした?」
あっ! そうだご主人様! 僕置いて来ちゃった・・・。
「く~ん・・・」
「なんだ?」
「腹でも減ってんじゃないすかね」
「そうか。・・・食うか?」
たいさは持っていたホットドックを僕にくれた。
前にも僕にホットドックくれたよね、たいさ。その時、僕ご主人様から怒られちゃったんだ。ご飯の時間以外に食べちゃダメって。たいさもご主人様におこられたんだよ。
だから、僕は今日は我慢なんだ。
「く~ん」
「なんだ。いらないのか」
「しっかり躾られてますね~。さすが中尉」
「誰かさんより賢いかもな」
「・・・ほっといて下さい」
たいさとしょーいがお話しをしていたら、遠くから僕を呼ぶ声が聞こえた。
「わんわん!」
ご主人様だ! ここだよ!
僕は元気よくお返事をする。
僕を見つけたご主人様は嬉しそうに笑って走ってきたけど、たいさを見るとスゴくびっくりしたお顔になった。
「大佐! ・・・それに少尉も。こんなところで何をなさっているんです?」
「やあ、中尉。見ての通り、昼食中だ」
「右に同じっす」
「確か・・・今日は午前中に視察が入っていましたね」
「ええ、終わって戻る前にメシでもって思いまして」
「この公園の近くに美味いホットドックスタンドがあるんだよ」
「そうでしたか・・・。すいません、ハヤテ号がご迷惑をおかけしましたね」
「いや、迷惑なんて別にかけられてないさ。それにしても、こいつ重くなったな」
「この子はまだまだ成長期ですから・・・」
たいさに抱かれた僕をご主人様は優しくなでなでしてくれた。
「それより、大佐。そろそろお昼休みは終わりでは?」
「やれやれ。さすが我が副官殿は手厳しいな。ハボック! そろそろ戻るぞ」
「へーい、それじゃ中尉、また」
「ええ」
ひらひらおててを振るしょーい。
たいさは僕をご主人様に渡そうとする。
ご主人様がおててを出したら、たいさがご主人様のお耳にお顔を近付けた。
「・・・今夜行くから」
「・・・!」
ほんのちょっとの間、しょーいも気付かないような一瞬の事だったけど、僕にはしっかり聞こえた。
わあい! たいさが来るんだ! 嬉しいなっ。たいさがよるおうちにくるといっぱい遊んでくれるんだよ!
僕は嬉しくてご主人様の腕の中でいっぱいしっぽを振っちゃった。
でも、ご主人様はたいさの後ろ姿を見送ったままぜんぜん動かない。
どうしたの?
僕は不思議になって見上げたら、ご主人様のお顔真っ赤だったんだ。
お熱があるのかなあ?

僕らはたくさんお買い物をして、おうちに戻ってきた。
ご主人様はパタパタお掃除したり、お料理したりといそがしいみたい。
でも、とっても嬉しそうなんだよ。
ご主人様、たいさがおうちに来る時はいつもそうなんだ。僕、知ってるよ!
僕もたいさがくるのは嬉しいもん。たいさ、早く来ないかな~。
僕はたいさが来るのをそわそわ待ってたら、いつの間にか寝ちゃったみたいなんだ。
でも、たいさの匂いがしたらすぐにわかって、僕は飛び起きた。
たいさだー!
ドアの前までいそいで走っていって、お座りする。
すると、ドアがトントンとのっくされた。
「わん!」
「はい、今開けます」
ご主人様が出てきてドアを開けるとやっぱりたいさが立っていた。
「やあリザ、数時間ぶりだな。お邪魔するよ」
「いらっしゃいませ。・・・早かったですね」
「心配せずとも仕事はちゃんと終わらせてきたさ」
「そういう意味では・・・その、まだ夕食の準備が整っていないんです・・・少しお待ちいただけますか」
「なんだ、そういう事か。分かった。じゃあこいつと遊んでいるかな」
そういうとたいさは僕を抱き上げた。
「よーし、何して遊ぶ? ハヤテ号」
「キャン!」
わあい! えーとねっ、えーとねっ。やっぱりボールがいいな!
あ、お気に入りの骨のおもちゃも見せてあげるね!

たいさはご飯ができるまで僕とたっぷり遊んでくれた。
今日はこうえんでもおうちでもボールでいっぱい遊んで貰って僕は大満足だ。
だからかな、ご飯を食べたらまたすぐに眠くなっちゃった。
僕はご主人様のお膝の上で丸くなった。
ご主人様のお膝の上はとっても柔らかくて、暖かくていい匂いがするんだ。
「ふふ、お前はここが好きなんだから。甘えん坊ね」
ご主人様が僕をなでなでしてくれる。
ご主人様もおひざの上好きだよね!
だってときどきたいさのおひざに乗ってるもんね。なでなでもしてもらってるんだよ。
それだけじゃないよ、たいさはご主人をペロペロしてあげるんだよ。僕と同じだね!
ご主人様の良い匂いに包まれて、僕はうとうとしてきた。そしたら突然持ち上げられて、気付いたらたいさのむねの上にいた。
ご主人様のおひざにはたいさが頭をのせてる。
「そろそろ譲れよ。ここは私の特等席なんだ」
「大佐。大人気ないですよ」
あ、たいさご主人に叱られてる。
う~ん、そっか! たいさもおひざの上が好きなんだね!
みんな一緒だね・・・。
僕は嬉しい気持ちで目をつむる。
ご主人様がいて、たいさがいて、僕はとっても幸せなんだ・・・。

「・・・眠ったか?」
「ええ。ぐっすりと。今日はたくさん遊んだんで疲れたんでしょう」
「そうか」
「我々もそろそろ寝ましょうか」
「・・・すぐには寝かせないがな」
「ばかですか・・・」


小さなブラックハヤテ号の見る夢は、美味しいご飯にぬくぬく日だまり、大好きな骨のおもちゃと・・・優しいご主人様とたいさの笑顔。




END
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by netzeth | 2010-12-03 21:25 | Comments(0)