うめ屋


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by netzeth
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寒い夜だから

肌寒さを感じて目を開けたリザは、カーテンの引かれた窓を見る。そこに何の光もないのを見てとって、ああまだ夜明け前かと何となく時間を想像する。
しっかりくるまって寝たはずの毛布が胸の辺りまでずり下がっていて、肩が冷えてしまったようだ。むき出しなのだから当たり前だ。リザは隣りに眠る肩をむき出しのまま寝る原因となった男の寝顔を覗きこんだ。
昨晩この男が好き勝手してくれたおかげで何かを羽織る暇もなく眠り込んでしまったのだ。そう思うと呑気な寝顔が憎らしくなってきて、リザは頬でも抓ってやろうとしたが、その前にう~んと男が寝返りをうち、慌ててその手を引っ込めた。起こしてしまっただろうかと、おそるおそるその顔を覗き込めば。
男は相変わらず寝息すら聞こえないほどに静かに眠っている。ホッとしたのも束の間、リザは自分の矛盾している思考と行動に気付いて、思わず苦笑する。
・・・抓って起こしてやろうとしていたのに、起こしてしまう事を申し訳なく思うなんて。
結局、自分の思考も行動も全ては目の前の男に左右されているのだ。改めてそう思いやってリザは彼の寝顔を見つめた。
僅かに眉をしかめて眠るその顔は穏やかで。その寝顔を見つめているだけでリザは心の中が満たされていくのを感じた。
自分の隣りで彼がこんな風に眠るのなんて知らなかった。そう、こんなに安心しきった表情で。
と、ロイの口から何事か言葉がこぼれた。何と思う間も無く、ロイの腕が伸びてきてリザをすっぽりと抱き抱えてしまう。
「う・・リザ・・・」
間近ではっきり聞こえてきたその声にリザの鼓動は早くなった。
一体どんな夢を見ているのやら。
しかし、こんな夜も悪くない、そう思いながらその暖かな胸に顔を埋めて、リザは再び眠りの世界へと旅立って行った。


愚痴

「ねえ、聞いて? ハヤテ号。私の上司は普段はサボってばかりのくせにデートの約束があると、途端に人が変わった様に仕事を始めるの。どんな量の書類も必ず終わらせるのよ・・・不純な動機が無いと仕事しないだなんてサイテーだと思わない? しかも、デートは情報収集だ~なんて最もらしい事を私に言っておきながら、シャツの襟元やほっぺたに口紅の跡を付けてくるのよ。ほっぺたって言ってもばっちり口元に近い場所なんだから! その格好で口を開けば君だけだよ~なんてお笑い草よね。そのくせに、私がちょっと男の人から話しかけられたり、手紙を貰っただけで嫉妬するんだからふざけてると思わない? この前なんかハボック少尉とちょっと飲みに行ったくらいで、怒るんですもの。自分は棚上げですか。そうですか。だいたいいつもいつも私はもう子供じゃないのに、やれ、夜一人で出歩くなやら胸元の開いた服は着るなやら、口うるさくて、大きなお世話です! ねえ、ハヤテ号。お前はそんなどうしようもない大人になってはダメよ?」
「く~ん?」
「・・・・・言いたい事があるならはっきり言いたまえ」
「あら? いらしたんですか、大佐。私はハ・ヤ・テ・号と話していただけですよ?」
「・・・・・」


おかしな例え話

例えば目の前に美味しそうなお菓子があったとして。
それは白くてふんわりとしたとてもとても自分好みの外見をしていて。もちろん香りだって抜群で、触れればきっとふわふわのもちもちで。私をこれ以上もなく誘惑する魅惑的なお菓子で。
まるで宿題が終わるまでおやつをお預けされた子供の様に、私はそのお菓子が食べたくて仕方がないのだけれども。
けれども自分にはそのお菓子を食べる事は赦されない。
何故なら、自分は他の誰かのお菓子を食べる権利を奪って。そしてこれからも、自分を邪魔するものがあれば容赦無くその相手のお菓子を食べる権利を奪うのだろから。
どうしようも無く罪深い私に、今更お菓子を食べる権利は無いのだ。どんなにそのお菓子が食べたくても。
そして。
今日も私は目の前のお菓子から目を逸らしている。





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by netzeth | 2011-10-06 23:48 | Comments(0)