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春の嵐

こんばんは~。今日は一日春の嵐でしたね。各地で交通機関も乱れておりましたが、皆様お帰りの足は大丈夫でしたでしょうか? 私の住む地域も風がひどかったです。でも電車は風では止まらなかったので無事に帰宅することができました。

以下続きから今日の嵐でなんとなく思いついて書いたSS。小ネタにするには長くなったので隠しときます。SSとして載せるのにはタイトルが思いつかなかったんでwこちらで。特にラブくもなく。強いていえばほのぼのかな。子リザと若増田の話。


拍手ありがとうございます(^^)
励みにしてさーそろそろ原稿の追い込みです!





ガタガタと窓を鳴らす激しい暴風雨にリザは身を竦めた。
昼過ぎから荒れ出した天気は悪化の一途を辿り、日没の頃には外に出るのも困難な程になってしまった。こんな事なら明るいうちに無理にでもお夕飯の買い物に行っておけば良かった…なんて後悔してももう遅い。何度覗いても食材の保存棚は空っぽだ。普段からもっとお金に余裕があるならば買い置きくらいしておけるのだけれども、何しろ家計は火の車。2~3日分の食料を買込むのが精一杯だ。そして、運悪く買い出しの日にこのような嵐の日があたってしまった。お昼までは何とかしのげたけれど、夕食はどう頑張っても無理だ。
リザははあ…っと深いため息を吐いた。
「お父さん、お夕飯水とお塩だけだったら怒るかな……」
いえ、ここはお砂糖の方がいいかしら? と思わず真剣に考えてしまう。けれども、塩だろうが、砂糖だろうが、それは結局調味料であり食材ではない訳で。リザは頭を抱えてしまいたい気分になる。きっと父親はリザが何を用意しようが怒る事はないだろう。……だっていつもそうだった。怒る事は無いが美味しいと誉める事も無い。父はそういう人だ。おそらく今回のリザの失敗も咎める事はすまい……しかし、その方がリザにとっては辛かった。それくらいならいっそ怒ってくれた方が何倍も良い。
水と調味料だけの侘しい食卓を想像してリザは今から憂鬱になる。……それは嫌だ。
外は危険だが、せめて裏の家庭菜園で何か食べられる物を調達しよう…リザがそう決意を固め玄関口へと向かった時、ガタンっと音を立てて扉が開いた。とうとうボロ屋のドアが風に壊された? などとリザは一瞬考えたが、しかし扉は壊れた訳ではなく、ちゃんとまだ付いており、そして、その先には1人の少年が立っていた。
「マ…マスタングさん!?」
「やあ、リザ!」
雨よけの外套を脱ぎながら、少年は朗らかにリザに笑いかけた。黒い髪はぐっしょりと濡れて額に貼り付き、着ている服も雨を避けきれていない部分はビショビショ。まったくもってひどい有様だというのに、少年――ロイはそんな事少しも気にしていない様な明るい顔を見せる。
「一体どうしたんですか……こんな日に。今日はいらっしゃる日では無いでしょう?」
慌ててリザはロイにタオルを渡してやると、彼は礼を言いながら受け取り、不器用な手つきでわしゃわしゃと髪を拭う。途中焦れったくなってリザはそのタオルを彼の手から奪うと彼に代わって頭を拭いてやった。
何となく大きな犬の世話をしている気分である。
「……そうだけどね。こんな嵐の日だからさ。君が心細いといけないと思って……はい、これ」
「え?」
「救援物資」
ロイが差し出した袋には、ビスケットにキャンディー、チョコレートといった大量のお菓子が詰め込まれていた。
「これは……」
食べ物は今のリザにとって素直にありがたかったが、何故お菓子なのか。ロイの意図が理解出来なくて、リザは首をかしげる。しかし困惑するリザにロイはあっけらかんとした調子で言う。
「お菓子を食べれば怖くないだろ? 楽しい気分になれるかな、と思って」
「なっ…私、そんな子供じゃあありません!!」
菓子一つでご機嫌になる様な幼子だと思われているとしたら大問題である。プウッと頬を膨らませて憤慨するリザにロイは少し慌てて弁解してくる。
「ゴメンゴメン……リザが嵐が怖いって前に言っていたからさ」
「それは…怖いですよ? だってうちはボロ屋だから風で屋根が飛ばされてしまったら、修理費が…。それを思うと…嵐の夜は怖くて眠れません」
「あ…なんだ…そういう意味の怖いね…」
「他に何があるというんです? 変なマスタングさん」
小首を傾げるリザにロイは苦笑を浮かべている。彼の考えている事はリザにはいまいち分からなかったけれども、それでもこんな嵐の日にここまで食料を届けてくれたのは嬉しい。
「さ、マスタングさん。とにかく着替えてきて下さい。この前おいていったお洋服がありますから」
「ああ」
「……そしたらこのお菓子でお夕飯にしましょう」
「え? お菓子で?」
「はい、お菓子で」
「……師匠も食べるの?」
「はい、もちろん」
救援物資の選択間違えたかな……なんて、今更頬を掻くロイの背中を押してリザはくすりと笑う。
――こんな嵐の夜に皆でお菓子を食べるのも案外悪くないかもしれない。
父と食卓を共にするロイがどんな顔をするのか見物である。
相変わらずの外は嵐。ホークアイ家のボロ屋は今にも吹き飛ばされそうだ。
けれども、さっきまでの憂鬱な気分も忘れて、リザは心底楽しげな笑みをその口元に浮かべたのだった。
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by netzeth | 2012-04-04 00:07 | 日記 | Comments(0)