うめ屋


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by netzeth
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ガールズトーク

「ふっふっふーーねえ、これ見てみなさいよ、リザ。スゴいわよー」
「ちょっと、やだ。なんて物を持ってきているのよ、レベッカ」
「あ、勘違いしないでよー? これはカークランド軍曹が読んでたの奪ってみたのよ。やーすんごく慌ててたわ、「ハボック少尉達に回して貰ったものだから持ってかれたら自分スゴく困るんです! 勘弁してください!」だって。泣きそうな顔が可愛いのよね、あの子。それにしてもまだ子供みたいな顔してるくせにこんなハードなポルノ雑誌読むのねえ……」
「止めてあげなさいよ……まだ新人なのに。若い男の子とみるとすぐにからかうんだから……」
「良いじゃない。だって面白いんだものーー。お、この子なんか良い乳してるわね」
「もうっ、オヤジみたいよ…レベッカ。……ところでそのページに付いてる付箋は何なのかしら? 別のページにも沢山付いてるけど……」
「ああ、これね。あたしも気になって軍曹問詰めてみたんだけどさ。なんか回し読みしてる男供の間でどの子が好みか付箋貼ってるんだってさ。男って幾つになってもバカよねー」
「……別に勤務時間外なら何をしようと自由だけど、その言葉には同意せざるを得ないわね……」
「ほら、この乳デカい子。付箋にHって書いてあるでしょ? 絶対にハボックのやつよ。あのボイン好きめー。あ、ほらこっちのページにもあるわよ。こっちはFだってー。ファルマン准尉かしらね。あーんな真面目な顔しててもやっぱり男ねー。ん? こっちの付箋のMって誰かしら? 誰かMって頭文字の奴いたっけ? あれ? リザどうしたの。まるで青汁100杯飲んだみたいな苦い顔して」
「それ大佐だわ……」
「へ?……確かにMだけど……」
「その付箋は大佐の執務室にしか無いものよ。間違いないわ。……絶対に仕事をサボって読んでたんだわ……もう、こんな雑誌読むなんて……」
「へえーー!  あの大佐もこんな雑誌のお世話になるのねー女には苦労して無いと思ってたけど」
「レベッカっ!……ちょっと下世話よ」
「どれどれ~~大佐殿のお好みは……ふんふん…………ふ~ん、安心して良いわよ、リザ」
「……別に何も不安も心配もないけど」
「ほらっ、Mの付箋が貼ってあるのってぜーーんぶ、金髪で茶色の目の子よ」
「それが?」
「んもうっ、ニブイわねー。つまり、大佐の好みはあんたって事よ!」
「なっ! 何を言うのよ、レベッカ!」
「良かったじゃない? これで解決法が見つかったんだもの」
「……どういう意味?」
「だ~か~ら! あんたはそんな雑誌大佐に読まれたくない訳でしょ?」
「……仕事中に読むのを止めて欲しいだけよ」
「はいはい。そういう事にしといてあげる。なら、さ。あんたが見せてやりゃあ万事解決めでたしめでたしじゃあないの!」
「……!! レベッカ! そ、そんな事出来る訳ないでしょう!?」
「まあまあ……そんなに怒らないでよ。ちょっとしたじょうだ……」
「私、こんなに細くないし……胸の形も良くないし……肩幅もがっちりだし……」
「ちょっ、そこ!?」


ボーイズトーク

「大佐! 大変です!」
「何だ、ハボック。またくだらない事じゃないだろうな?」
「今度は本当に大変なんですって!」
「……言ってみろ」
「例の本をカークランドの野郎がカタリナ少尉に強奪されたそうです!」
「何だと!? よりによってカタリナ少尉だと……?」
「スンマセン……カークランドの奴には俺がキツく言っておきましたから」
「そんな事はどうでも良い!……問題はカタリナ少尉が持って行ったという事は8、いや9割くらいの確率でホークアイ中尉も見るぞ!?」
「……ですよねー。あ、でも例の付箋には頭文字しか書いてないから誰が本を見てたかなんてきっと判りませんよ!」
「……だと良いが。で、本を取り戻す手配はしたのか」
「はい。カタリナ少尉には高給取りのイケメン合コンをセッティングするという条件で返却をお願いする予定です」
「……なんでそんなに下からなんだ……何か弱みでもにぎられてるのか……?」
「……という訳でイケメン高給取り合コンのセッティングお願いします」
「私がするのか!?」
「当然でしょ。だって俺らにはそんなツテ無いですもん」
「何が、もんっだ!」
「まあまあ、中尉にアレを見られる前に取り返せると思えば易いもんだと思いますけどね」
「それはそうだが……」
「やっほー、マスタング君!」
「「グラマン将軍!?」」
「ハボック君もこんちわ。相変わらず図体だけはデカいねえ…結構結構」
「はっ、お誉め頂き光栄であります!」
「いや…別に誉めては無いけどさー。それより、はい、これ!」
「こ、これは!」
「あーっ! エロ本!!」
「な、何故……閣下がこの本を…?」
「レベッカちゃんに譲って貰ったんだよ。高給取りのイケメン5人紹介するって約束で」
「レベッカ……恐るべし。エロ本一つでそこまで……」
「で、マスタング君に本を持って来たんだよ! はい、これ」
「将軍自ら…わざわざありがとうございます……ん?」
「あ、気付いた?」
「閣下……このGとでっかく書かれた見慣れない付箋は……?」
「それワシのね! もう、皆で好みの子選ぶなんて楽しい事やっているならワシも呼んでよー! ばっちりチェックしたからね!」
「へえ……将軍はこういう子が好みなんスかあ……」
「こらっ、ハボック。将軍……大変失礼しました。その…今度からこういった事をする時は将軍にも声をかけさせて頂きますから」
「うん、頼むよ。楽しみにしてるから」
「……ところで。何故この本を私の所に?……付箋の意味もどうしてご存じなんですか?」
「あ、カタリナ少尉に聞いたんスか?」
「ああ、それはね。ホークアイ中尉に聞いたの。この本がマスタング君のだって言ってたのも付箋に頭文字書いて好みの子皆で選んでるっていうのもみーんな彼女が教えてくれたんだよ?」
「あああ……」
「どうしたのマスタング君、そんな明日世界が滅亡するみたいな絶望的な顔をして」
「あああああああ……」
「……将軍。今はそっとして置いてあげて下さいッス」
「そう?」


寒がりざさん

私は意外と寒がりだ。
軍服の上によくコートを羽織っているのは階級を見えなくし、接する相手に余計な先入観を与えないためだ――なんて最もらしい理由を語った事もあるが、何の事は無い。ただ寒いのが嫌いなだけである。
焔の錬金術師が寒さに弱いなどと知られると、上官を敬わない部下達にまた余計なからかいの口実を与えるだけであるので、それを知っているのは今のところ副官兼恋人であるリザ・ホークアイだけなのだが。
そしてこれも知っている者は少ないが彼女――リザは大層な冷え症である。下半身が特に冷えるらしくて実は軍服の下には毛糸のパンツを常に着用してたりする。
……なんで知っているのかって?……脱がせたからに決っているだろうが。
もちろん、毛糸のパンツを履いていようが彼女はセクシーかつ可愛かったがね。
まあ、それは置いておいて。
つまり寒がりな男と冷え症の女が暖かく夜を過ごすにはどうしたら良いのか。この問いの答えは自ずと決っているのだ。
今夜も私達は一緒にベッドに入り、思う存分仲良くしてからぴったりとくっついて眠りについていた。
「うん……」
抱え込んでいた彼女が寝返りをうったせいで、腕の中からこぼれ落ちてしまったその柔らかな体を再び引き寄せようと私は腕を伸ばした。
目をつむったままシーツの上を何度か探ったが目的のものが見つからず、私は仕方なく目を開けた。夜明け前のまだ藍色の闇に支配された部屋は寒々しくて私は思わずぶるりと震え、ずりさがっていた毛布を肩の上まで引き上げる。
そこで私はその毛布を被っているのが自分だけだという事に気が付いた。慌てて視線を上げると、白い裸体がベッドの隅っこで丸まっているのを発見する。
何をしているんだ、何を。
屋内と言えど吐き出す息は白い。真冬に素っ裸で寝るなんて自殺行為も言いところである。可愛い恋人が風邪を引く前に、と私は身体と毛布ごと彼女を迎えに行った。
近付いて毛布をかけてから、丸まっている彼女に触れる。短時間とはいえその身体はすっかり冷えきってしまっていた。
「ほら、リザ……」
こちらにおいでと、腕を引くと、
「う~ん、後3分……」
などといやいやと首を振った。
――寝ぼけているな。
珍しい彼女に私は思わず苦笑する。寝起きは悪い方では無いリザであるからこれは非常に貴重である。
「ほら」
再び促せば、ころんと転がった彼女はぴったりとくっついてきた。
「ん……寒い…」
そして無意識に冷えきっている脚を私のそれへと絡めてくる。……こう、スリスリと。
スリスリ、スリスリ……。
……そんなにぴったりとくっついて、そんな無防備な顔でそんなとこスリスリされると私のあらぬところが反応してきてしまうのだが。
「ん~大佐……暖かい……」
私の窮地などいざ知らず相変わらずリザは夢の中である。もちろん下半身をスリ寄せて来るのをやめてはくれなかった。
スリスリスリ。
「ちょ、リザ…離れ……」
……マズい。かなりマズい。こういうものは1度スイッチが入ってしまうとなかなか切り替えが難しいもので。私は必死に思考を逸らそうと、小難しい数学の公式などを頭の中に思い浮かべてみたりするのだが。
それでももちろんリザからのスリスリ攻撃は止む事は無い。おまけに「ん……ロイ…」なんてシテいる時だって滅多に呼んでくれない私の名前まで呟いている。
「勘弁してくれ……」
眠る恋人を襲うなどと紳士の道にもとる。
私はこの後悶々と朝まで過ごす事になるのだが。
腕の中で眠る可愛い恋人にはもちろんそんな事は預かり知らぬ事であったのだった。



END
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by netzeth | 2012-05-09 21:02 | Comments(0)