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北風吹いて

ぴゅーぴゅー風が吹いております、寒くて泣きそうなうめこですこんばんは。やっぱり夏でいい…夏がいい。そう切に思っておりますww


リザたんって、グラマン爺ちゃんとの関係が発覚した直後は将軍家のご令嬢!?みたいなお嬢様な妄想をしていたのですが、ホークアイパパン登場で、生い立ちが分かると一気にイメージが貧乏な感じになりましたww 私、山田太郎物語とか好きなんですが、そんな感じの子リザ妄想が後を絶ちません。

という訳で以下続きから「貧乏リザちゃん物語1」です。
で、書いてみて分かったのは、全然ロイアイじゃあないじゃん!って事です。ラブがねえ。ラブどこいった。でも個人的に好きなのでま、いっか。


拍手ありがとうございます(^^)








生家は知らないが、少なくともロイの育った家は特に裕福ではなかった。だが、かといって別に生活に困窮していた訳でもない。
親を亡くした自分を引き取ってくれた叔母の家は商売をしていた。所謂夜の商売というやつだ。まだ幼かったロイには知りようもない事だったけれど、客の入りは上々でそれなりに繁盛していたらしい。それでも、世間一般の二親が揃った家庭に比べれば、質素な生活をしていたと思う。叔母も店に出るために着飾る金は惜しまなかったが、普段は倹約家でありしめる部分はしっかりとしめる人だった。
しかし、そんな叔母にも一つだけ金に糸目をつけない事柄があった。他でもないロイの教育に関してである。
ロイが錬金術の勉強をしたいと願った時などは、どこから捻出したのか謎な大金を出してきて、これで好きなだけ本を買いなと渡してくれたりした。その後、近所に住む錬金術師の私塾に通う事になった時も同じように大金を持ち出して来た。
成長した今でも、ロイには実家の資金繰りは謎のままである。
ともかく、こういった環境で育ったロイであるからお金が無い食べるものが無い――という状況には慣れっこだった。基本的に叔母――クリスは教育以外の事ではロイを甘やかさなかったのだ。働かざるもの食うべからず。夜にちょっと小腹が空いた時でも、ロイが食べ物にありつくためには店の手伝いなどをしなければならなかった。仕事の対価としての報酬である。既に錬金術を嗜んでいたロイは、等価交換の理念に乗っ取ればそれは当然であると受け止めていた。
しかし。
ロイが錬金術の弟子入りをしたホークアイ家。その家はロイの常識を覆す、ド貧乏な家だった。
無口で見た目はどう見ても幽鬼のたぐいだが師匠はロイに優しく錬金術の手解きをしてくれたし、その娘である可愛い少女はロイの面倒をよく見てくれた。それには感謝している。だが、いかにしてもホークアイ家の貧乏具合はそれらの美点を覆い隠してしまうものだった。
ロイは最初の晩ご飯時に、具のないスープを出された。最初は濁りのないコンソメスープかと思われたそれは、どっこい濁りどころか、なんの出汁もとられていなかった。ただのお湯に塩味が付いたものだったのだ。原料は調味料と水である。
最初にそれを口にしたとき、ロイは少女――リザが料理に失敗したのか間違えて調理前のものを出してしまったかと思った。しかし、ロイはすぐにそれを口にしなくて良かったと心底思う事になる。
「……ごめんなさい。マスタングさんに頂いたお月謝、光熱費の支払いにみんな使ってしまったの。明日はもう少しマシなお料理を用意出来ると思うから……」
そんな風に金髪の愛らしい少女に申し訳なさげに言われたら、ロイは男としてそれ以上は何も言えなかった。見れば、ホークアイ師匠は無表情で塩スープを啜っている。これがホークアイ家の食卓の常態であることは明らかだった。
その日からロイは錬金術の勉強に平行して、いかに食料を手に入れるかを常に考えるようになっていた。そうは言ってもまだ親のすねをカジっている年齢であるから、ロイに出来る事は少ない。叔母からの援助は月謝だけと決めていたので頼れないし、自分で何とかするしかないのだ。
お金持ちの家の池に飼われていた綺麗な色と模様の魚を見て、「美味しそう…」と涎をたらし、学校で飼育しているウサギが丸々と太っていく様を嬉しそうに語るホークアイ家の娘――リザを見る度に、ロイの食料確保への決意は更に深まっていった。
早く何とかしてやらないといけない。
可愛い少女が愛玩用の動物を美味しそう…などと言ってはいけないのだ。
そうやってロイが考えた末に出した結論は、自分の特技で何とかしよう。というものだった。
その日もロイは駅からホークアイ家への道を歩きながら、何か錬金術で出来る事はないかと目を光らせていた。これまでも何度か錬金術で物品などを修理したりして、報酬を貰う事に成功している。子供故に仕事として請け負う事は出来ないが、錬金術をちょっとしたお手伝い感覚で使わせて貰っているのだ。そうして貰った野菜やパンといった食料は、今や立派なホークアイ家の家計の足しになっていた。
そしてその日ロイは、ちょうど八百屋の野菜を乗せている棚が壊れて店主が困っている所に遭遇した。もちろん、得意の錬金術で治してやる。
師匠からはまだまだ未熟だと怒られっぱなしだが、物体修復に関してだけは腕が上がっていると自負していた。
ロイが貰ったお礼は段ボール箱いっぱいのリンゴだった。
ロイはそれを抱えて、ホークアイ家へと急いだ。リンゴはつやつやと赤い大玉のものが沢山。リザの喜ぶ顔が目に浮かぶようだった。これで、リザにアップルパイでも作って貰おう。
やがてホークアイ邸にたどり着く、と一目散にロイはリザの居るキッチンへと向かった。
「まあ!」
山ほどリンゴを抱えたロイを見て、リザは最初驚きの声を上げた。しかし、次の瞬間その瞳を輝かせる。
「マスタングさん! どうしたんですか、これ……」
「ああ、リザ! 町の八百屋さんで貰ったのさ! ちょっとしたお手伝いをしたお礼にね!」
嬉しそうな少女を見て、ロイも誇らしげに段ボール箱をリザの目の前に差し出した。
「すごいです! こんな立派な……段ボール箱!!」
「は?」
がくん、とロイの顎が落ちた。ぽかん、と大口を開けてリザを凝視する。彼女はロイの手から段ボール箱を受け取ると、キッチンに置いてあった大きな籠の中にさっさと中身のリンゴを移してしまった。そして、中身が空になった段ボール箱を胸に抱えもって、本当に嬉しそうにくるくると回った。
「すごいわ! こんなに素敵な段ボール箱が手に入るなんて…!」
「え…リザ?」
や、自分が見て欲しかったのはリンゴである。段ボール箱じゃない。
しかし、リザはロイの持ってきたリンゴの段ボール箱をまるで宝物を見るような目つきで見ている。
「え、だって…リザ…それ、ただの段ボール箱じゃ……」
「ただの段ボール箱だなんて、とんでもないです! リンゴを入れるためのものだから、とっても頑丈です! ほら、こんなに分厚い、それに、リンゴを入れてあったから、とっても良い匂いします! これさえあれば、もう寒くありません!」
「リ、リザ……君、まさか、それ……」
「知ってますか? マスタングさん。段ボール箱って暖かいんですよ! 眠る時に上から被せれば、これからの季節に重宝します!」
「う、うん……」
せめて寝るときは毛布を被ってくれ。
と思ったが、喜ぶリザに水を差すのは戸惑われてロイは曖昧に頷いた。
「あ、リンゴ、今夜のデザートに剥きますね。私、皮をうすーく剥くの得意なんです! あ、もちろん皮も捨てませんよ? アップルティを入れるのに使うんです!」
「うん…知ってる……」
ついでにその紅茶の茶葉は、出涸らしに鞭を打ってもう出ない…勘弁してくれ……と懇願されそうなくらいに煎じているもう何番煎じ分からない代物なのも知っている。
「今夜のお夕飯は豪華ですよ!」
「う、うん……」

はりきるリザを眺めながら、ロイは早く何とかしなければリザの将来が心配だ…という焦りにも似た衝動を覚えたのだった。
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by netzeth | 2013-11-20 00:24 | 日記 | Comments(0)