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by netzeth
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大佐、噂になりたい 2

見目麗しい年頃の男女が始終共にいてしかも直属の上司部下――という美味しい関係であるというのに、そもそもどうしてリザとロイは噂にならないのか。司令部の人間が二人の事を気にしていない、見ていない……という訳では決してない。むしろ逆。それはもういろんな意味で目立つまくるこの二人の事を、じっくりばっりち全部見てしまっているからなのだ。
銃を発砲しながら廊下を、まるでマンガの猫とネズミの様に追いかけっこしている姿など日常茶飯事。時に昼寝をしている所を連行したり、受付の女の子を口説いている所を連行したり、資料室で本の虫になっている所を連行したり……。とにかくリザがロイをひっとらえてお説教しながら、執務室に引っ張っていく様子はこの東方司令部の名物なのである。自由奔放なサボり魔の上司の有能なおもりとして、リザは司令部……いや、司令部外にも名を馳せていた。
主従関係が完全に逆転しているかのような二人の姿を常日頃から見飽きている司令部の人間にとって、こんな二人を色っぽく結びつける妄想をしろという方が無理だ。皆、あれは恋人同士というより、おかんとだらしない息子だと自己完結していたのであった。



さて、リザと噂になる行動をする! と意気込んだロイだったが、彼が取った手段は非常にシンプルなものだった。それはとにかく、司令部にいる間中はずっとリザのそばに居る……というものである。といってもそれだけでは何時もと何ら変わりはないわけだが。もちろん、それだけではない。ロイはさりげなく二人の仲を匂わすようなスキンシップをとろうと、リザの隙を虎視眈々と狙っていた。
「大佐」
「何だね」
「どうして今日は私の後を付いてくるんですか?」
基本的に仕事の間は二人で居る方が自然なので、最初のうちは特に不審に思っていなかったリザだったが、執務室を出て司令部内の各部署を訪れても、射撃場に向かっても、食堂に昼食をとりに来ても。ロイがぴったりと自分の側から離れようとしないので、いい加減何かおかしいと思い始めていた。
「いけないかね? 今日は仕事は真面目にやっているし、別にいいだろう?」
「それはそうですが……」
現在二人は仲良く一緒に座ってお昼ご飯を食べている。いつもの向かいの席ではなく、何故か隣に座るロイがリザは気になって仕方がないようだ。二人の周囲には同じく昼食を食べようと司令部の人間が集まっている。人の目がある今が絶好のチャンスだとロイは思っていた。
椅子を必要以上に近づけて、リザにくっつく。パスタランチセットのパスタをフォークに巻き付けていた彼女は、動きの妨げになるロイの身体を邪魔そうに肘で押しやった。
「ちょ、大佐。そんな近くにいましたら、肘が当たってしまいます。離れて下さい」
「どうして? 少しでも君のそばに居たいんだ」
「はい? 頭大丈夫ですか?」
ロイ会心の甘い台詞も、リザ・ホークアイにかかればただのボケた戯言である。しかし、ロイはめげなかった。リザと噂になる。ただ、それだけを胸に粘り続ける。
「私は至って正常だよ、中尉。食べている時の君はとっても魅力的だから、一番近くで見ていたいんだ。あ、ほら、良かったら私の分も食べたまえ」
手をつけていない己のクラブハウスサンドウィッチセットをリザの方に押しやると、ロイはにっこり笑った。
「ああ、ほら、中尉。ミートソースが口の端に付いてるぞ?」
何気ない仕草でハンカチを取り出して、有無を言わさずリザの口元を拭う。
「むっ、むう~~」
「ははは、君はうっかりさんだな」
むいむいと男の荒っぽい手つきで唇を擦られて、リザが顔を赤くして何やら物言いたげな視線を向けてきたがロイは爽やかにスルーした。というか、自分の目的を達成するのに夢中で最初から肝心のリザの事は見ていなかったので気づいていなかった。彼はただ、ひたすらに。
(どうだ……? 皆、仲良しな私達を見ているか?」
周りの評価だけを気にしていたのだ。



それからも毎日、ロイは時間が許す限りリザと一緒に居た。そして、人目のある場所を狙い、リザにボディタッチをしたり、つまずいた彼女を好奇を逃さず抱き止めたり、時には無理矢理手を繋いだり。リザと噂になるために、あの二人怪しいんじゃない? と言われたいがために、いろいろ頑張り皆に二人の仲をアピールし、さりげなくというよりは、セクハラギリギリの行為を繰り返していた。おそらくリザが訴えれば、完全にロイは敗訴だったろう。
しかし、不思議とリザはロイのその行き過ぎたスキンシップを拒絶はせず、彼のしたいようにさせていた。そしてそのおかげもあってか、ロイの努力はついに実を結ぶ事となったのだ。
「聞いたか?」
「はい。司令部中今、その話題でもちきりですな」
「正直、もう良いって感じだぜ」
「まさか、大佐があんなに頑張るなんて……」
野郎の部下四人で顔を見合わせてため息を付く。当初のロイの宣言通り、リザとロイは見事、東方司令部において今一番ホットな話題のカップルに躍り出る事に成功した。食堂のおばちゃんから、最高責任者のグラマン中将に至るまで。二人の噂を知らない者はこの東方司令部には存在しないほどだ。
「知ってるか? 噂じゃあ大佐と中尉にはもう三人くらい子供が居るらしいぜ……」
「僕は四人って聞きましたけど? 何でも、女の子が欲しかった大佐が頑張ったけど四人とも残念ながら男だったとか……」
「で、今五人目を妊娠中と私は聞きました」
ただの上司と部下、そして、おかんとだらしない息子だったはずの二人はほんの少しの間に運命の恋人同士となり、同棲中だのもう籍が入ってるだの隠し子が居るだの、噂はとんでもなく尾ひれが付きまくって収拾がつかない状態になってしまった。ロイの狙い通りと言えば狙い通りだったが。
「やり過ぎッスよ……大佐……」
東方司令部の人間は仲睦まじい二人を随所で目撃させられ、すっかり二人の仲の認識を改めてしまったのである。すなわち、あの二人はできてる。ラブラブだと。この結果にロイは一人大満足していたようだったが、ロイの部下としての立場の彼らはそうもいかない。あまりに噂が一人歩きしてしまっているのは、どう考えても危険としか言いようがない。まだ東方司令部内だけならばただの噂です、冗談です。と笑い話にも出来ようが。これが外に漏れてしまうようならば、ロイの出世にも関わる大問題である。
「その辺はまー大佐がいつもの口八丁で何とでもするだろうがな……」
肩を竦めてブレダが呟くように言った。マスタング組のブレーンである彼は、そのボスの能力を誰よりも把握しているつもりだ。チェスのように何手も先を読み、ロイはその手の問題もぬかりなく立ち回るに違いない。
「問題は……」
と、ブレダがある人物の名を口にしようとした所で、仕事部屋の扉が開いた。彼が正に今脳裏に思い描いていた人物が入室してくる。
「あ、ホークアイ中尉! お、疲れ様です!」
彼女の噂話をしていたのが気まずく、フュリーが取り繕うような慌てた挨拶をした。
「え、ええ……お疲れ様……」
平生の彼女には似つかわしくない、どこか呆けた様子でリザが返事を返してくる。それに一同は顔を見合わせた。どこか憂いを含んだリザの表情が気にかかった。
「どうしました? 中尉、何だか元気がないっすね」
「そう?」
そうね……。
尋ねると、リザはやはりどこか上の空な風情で答える。ますます、らしくない様子に、野郎達は困惑した。まさか、やっぱりあの噂を気にしているのだろうか……? そんな心配が彼らの中にわき起こる。無理もない。真面目一徹、有能な副官で知られていたリザが、その上官とイケナイ仲だと噂されているのだ。彼女にとってはショックな出来事だったのだろう。
「あ、あの……中尉。気にしない方が良いですよ! あんなのただの噂ですから! 大佐と中尉が実際はなにもないって僕たちは知ってま……モガモガっ」
様子のおかしいリザを気遣ってフュリーが励ましの言葉をかけるが、それはどう見積もってもいろいろ地雷を踏んでいた。慌てて、ブレダとハボックでフュリーの口を塞いで、
「な、何でもないっすから!」
あいまいに笑ってからその発言を誤魔化そうとする。下手をすれば彼女の逆鱗に触れて、蜂の巣も覚悟していたが、しかし、彼らの予想とは裏腹に、リザは怒りは見せず、代わりに寂しげな表情を浮かべていた。
「……やっぱり、ただの噂、よね……」
「「へ?」」
その瞬間、男達の声が綺麗にハモった。



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とりあえず昨日の続き。先を考えてなくても何とか書けるもんですねー。次くらいで終わりそう。だだだっと書いてしまったので、いろいろ文が甘い気がします。


重い荷物を郵便局に歩いて持っていったら、腕が筋肉痛になりました。筋肉痛にはなったけど、すぐに来たからまだ若い若い! と言ったら、その発言をする事自体が歳だろ。というぐうの音も出ない指摘を兄より頂きました、うめこですこんばんは。その通りだよ、ちくしょうww

最近のゲームのCMで、新ふじこちゃんの声の人がやっている「お客さんだぞ」というお姉さんが気になる。空もののRPG? 飛行艇とか空賊とか空軍とかそういう世界観好きです。空を舞台にしたRPGとえいば、私は「バハムートラグーン」を思い出すなあ。当時、小学生だった私はこれを買い、プレイしました。当然、主人公……ヒーローとヒロインのお姫様がくっつくとばっかり思っていたのに、そのお姫様は敵国にさらわれてしまって、助け出したと思ったらその敵国の将軍と恋に落ちており、ヒーローをあっけなくふるのでした。……当時、すげートラウマになったゲームです。そして、昨今ネットでこのゲームが前述のお姫様のせいでみんなのトラウマになっていると知りました。良かった……! うめこだけじゃなかったんだ! でも、今ならきっと、敵国の美形将軍にヒーローがお姫様を寝取られ……とかうはっ萌える! とか思うんだろうなあ。自分が穢れちまったと思う瞬間。


拍手ありがとうございます(*^_^*)
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by netzeth | 2014-05-21 00:54 | 日記 | Comments(0)