うめ屋


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by netzeth
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もう日曜日が終わった

最近の刀の流行を見る度に今こそ刀業界は売り時だと思ってる余計なお世話なうめこです、ばんわー。
平日ずっと早出で全然ネットも原稿も出来ず土曜日は土曜日で用事があり仕事よりも早起きで出かけてきてようやく日曜日だーということで原稿をやっていたのはいいのですが、あんまりはかどらず。最初に設定した締切が2月初めだったのですが間に合う気がしない\(^o^)/ とりあえず最初の締切設定は忘れることにしたww
という訳でSSを息抜きに書きました。よろしければどうぞ。






マスタングさんが全部悪いんだ。
頭からシーツを深く被り、リザは自室のベッドの中で時計の針の音を聞いていた。
現在午前1時前。普段のリザならばとっくに寝入っているはずの時刻である。しかし、今夜に限ってはちっとも眠気が訪れない。早く寝なければ明日の朝起きられない。そんな焦りからリザはひたすら目を瞑り寝るための努力をする。
だが、寝よう寝ようと意識すればするほどリザは眠りから遠ざかっていくようだった。
やっぱりマスタングさんが全部いけないのよ。
やり場のない怒りをリザは脳裏に思い浮かんできた少年に再びぶつけた。
マスタングさんと言うのは錬金術師であるリザの父親のお弟子さんであり、最近この家に出入りするようになった少年だ。
明るく礼儀正しく親しげに接してくれる彼を、実はリザも内心好ましく思っている。ことの始まりは彼がリザにある頼みごとをしてきたことだった。


「コーヒー?」
「うん。頼めないかな?」
ある夜、いつもの様に紅茶を淹れて持って行こうとしていたリザの元にやってきた彼はコーヒーが欲しいと頼んできた。
「マスタングさんはコーヒーがお好きだったのですか?」
「いや、好きというか……リザの淹れてくれるお茶もとても美味しいんだけど、夜勉強するときは眠気覚ましにパンチが欲しいんだ」
「眠気覚まし?」
「ああ。コーヒーにはカフェインが含まれているからね。カフェインには興奮作用があるし……もちろん、お茶にも入っているけど、俺にとってはコーヒーの方が眠気覚ましにはいいんだ」
「でも……ごめんなさい。マスタングさん。うちにはコーヒーは置いていないんです」
コーヒーはそのほとんどが南国からの輸入品だ。国産のお茶よりも関税がかかって値が張る。故に家計が火の車なホークアイ家には常備はされていない。申し訳ない気分で謝るリザにロイは首を振ってにっこり笑った。
「大丈夫。コーヒーなら持参して来たから。お湯を注ぐだけでいい奴だから」
「これがコーヒー……ですか?」
ロイが取り出した瓶をリザは興味深げに眺めた。
「うん。インスタントコーヒーだけどね」
飲んでみる? と尋ねられてリザは一瞬躊躇する。リザ自身紅茶が好きなことも手伝ってコーヒーは飲んだことがなかったからだ。だが、好奇心が不安よりも上回って結局はこくりと頷いた。
「これでいいんですか?」
「ああ」
ロイに言われるまま湯を沸かし、マグカップを二つ用意する。ロイがスプーンで瓶からコーヒーを入れてくれ、すかさずリザが湯を注いだ。コーヒーの色は慣れ親しんでいる紅茶の色に比べると、とても深い色だ。まるでロイの瞳のように。何とも言えない香ばしい香りが辺りに立ちこめる。
「……いい匂いですね」
「さ、リザ。飲んでみて」
促されてリザはマグカップを口に運んだ。こんなに良い匂いなのだからきっと素敵な味がするに違いない、リザはそう信じて疑わなかった。
だがしかし。
「んっ……にがっ…い」
結果的にその味に驚かされることになってしまう。コーヒーはたいそう苦く飲みにくいものだった。リザは思わず舌を出し、顔を歪める。すぐそばでロイが笑う気配がした。
「はははっ、いきなりブラックは早すぎたかな? ミルクと砂糖を入れれば飲みやすくなるよ」
だがそう言うロイ自身は平気な顔をして、ブラックコーヒーを飲んでいる。リザはなんだかとても悔しくなった。甘くしないとコーヒーも飲めないなんて、子供だとバカにされたような気がしてしまったのだ。
「大丈夫です! 美味しいですっ、ちゃんと全部飲めます!!」
意地を張ったリザは、一気に手にしたカップの中身を飲み込んだ。口の中に強い苦みを感じたが我慢する。あまりの苦さに瞳にちょっぴり涙がにじんでしまったけれど、ロイには気づかれないように隠した。
「リ、リザ……無理しない方が……」
「大丈夫です!」
強がりで心配そうなロイを黙らせる。
――その時はこれで大人の仲間入りだとリザはたいそういい気分だったのだが。
夜に子供が濃いブラックコーヒーを飲めばどういう事になるのか、それは自明のことであったのであって。
リザはその日、眠れぬ夜を過ごすはめになったのである。


いつまで経っても訪れぬ眠りに業を煮やしたリザは、結局開き直ることにした。
眠れないならば起きていればいい。
そう心を決めると少し気分が軽くなる。無理して寝ようとするよりも自然と眠くなるまで待てばいいのだ。
だが早速ベッドから起き出したはいいが、リザはそこではたと困った。
することがない。
本を読もうにも編みかけの編み物をしようにも、明かりが必要だ。だが、夜に無駄に油を消費することは家計的に厳しい。かといって暗闇で出来ることなどない。どうしようかと悩むことしばし、リザはすぐに解決策を見出し、部屋を出ることにする。
――今回の元凶とも言える人物に責任をとってもらうことにしたのだ。
部屋を出て向かったのは、ロイが使っている部屋だ。きっと彼は今夜も遅くまで勉強をしているに違いない。当然明かりも点けているだろうし、そこならば油を無駄に使うこともないだろう。
音を立てないように階段を上り、リザは彼の部屋の前まで来る。軽くノックをしても返事がない。もしかしてもう寝てしまったのだろうかと少し不安になりながらも、リザは扉を開けた。
少女が見たのは、オレンジ色のランプの明かりが部屋を照らし、少年の黒い影が壁に映っている光景だった。ロイは集中しているらしく扉が開いたことにも気づいていないようだ。そーっとリザは部屋の中に入ると、机横のベッドへと腰掛けて、少年の横顔を伺った。彼は真剣な顔で一心不乱に何事かぶつぶつと呟きながらペンを走らせている。その様子はリザの父親ととてもよく似ていた。
「マスタングさんっ」
リザの父親も錬金術のこととなると、娘の声も耳に届かなくなる。それはリザにとって少し寂しいことだった。その寂しさを思い出してしまって、リザは思わず反射的にロイに呼びかけていた。
「リ、リザ? あれ?……いつの間に来たの?」
「ようやくお気づきになりました?」
呆れた顔で少年を見てやると、彼は目をまん丸くしてリザを見つめていた。
「どうしたの?」
「その……眠れなくて……」
ばつが悪い思いで告白すれば、ロイは案の定くすりと笑った。
「やっぱりコーヒーが効いたのかな」
「……マスタングさんが全部悪いんです。コーヒーを持って来るからっ。だから、責任もって私が眠くなるまで面倒を見てください」
「いいよ。じゃあ子守歌でも歌おうか?」
「私は子供じゃあありません!」
「コーヒーで眠れなくなるなんて十分子供だ思うよ」
「……マスタングさんのバカ。知りません」
やりこめられてリザはぷうっと頬を膨らませた。拗ねた表情でぷいっと顔を逸らせば、慌てたようにロイが言う。
「じゃ、じゃあどうしたらいいんだい?」
「別に。……私、ここに勝手に居ますからマスタングさんはお勉強を続けて下さい」
「それでいいの?」
「はい。……でも、時々話しかけたらお返事くらいして下さいね」
暗闇の中一人で起きて夜を過ごすくらいなら、ここでロイを見ている方がよほどマシだ。
「リザがそれで良いのなら……」
納得したのかロイは再び机に向き直り、勉強に集中し始めた。そんな彼をリザはじっと見つめる。オレンジ色の光に照らされてロイの顔には複雑な陰影が刻まれていた。いつもよりも引き締まって見えるその顔により強く視線を注ぐ。彼の顔ならば飽きずにずっと見ていられそうだった。しかし、すぐにロイはペンを放り投げて勉強を中断してしまう。
「う~ん、やっぱり集中しきれないよ」
「どうしてですか? さっきは私が見ていても大丈夫だったじゃないですか」
「さっきはリザが居るのに気づいていなかったからね。でも今はダメだ。見られるのって、結構落ち着かないんだよ」
「そうですか?」
「そうなんだよ。じゃあリザも試してみる?」
首を傾げるリザに、ロイがそう提案してくる。何をするのだろうかと不思議に思いつつも頷けば。
「そうか。じゃあリザ、こちらを見て」
言葉と同時に、ロイがリザを見つめてきた。淹れたてのコーヒーよりも深い色の瞳が、焼け付くような強い視線をリザに当ててくる。まるで心の奥底まで見透かされてしまいそうな、そんな視線。とうとう耐えきれずに、リザは瞳を逸らしてしまった。顔が赤くなっているのを自覚し、どうかロイに気づかれませんように、と願う。
「分かったろう?……誰かに見られるってとても恥ずかしいんだよ」
「……そうですね」
笑うロイにリザは同意したが、本音は違っていた。誰に見つめられたってリザは今まで動揺なんてしたことはない。周りからはあまり感情が表に出ない女の子だと普段から言われているのだ。
――こんな風になるのはきっと貴方だから。
その感情を何と呼ぶのか、リザにはまだ分からなかったけれど。
「じゃあ、いいです。見ているだけは止めにします。何かお話しますからマスタングさんは適当にお返事をしてて下さい」
「了解」
おどけたように親指を上げて、にっこりと笑うロイを見ているだけでリザは心臓の鼓動が落ち着かなくなる気がした。
きっとこれもコーヒーのカフェインのせいなんだ。
そう自分自身を納得させて、リザは長い夜をやり過ごすためにさて何から話そうかと思案する。
こうやって、誰かとおしゃべりする事だって以前のリザにとっては珍しいことだった。でも、ロイと出会ってからはリザの珍しいことは当たり前の日常にと変化していった。
これからはきっと、コーヒーをロイのために淹れるてやることも、そのコーヒーを一緒に飲んでまた眠れなくなることも、リザにとって当たり前の日常になっていくに違いない。
それはリザにとって、少しも嫌ではなかった。
「ご近所に住んでいる猫に子猫が生まれたんですよ。とっても可愛いんです」
「へえ……毛並みはどんななの?」
「黒と白の子と……茶色の毛の子と……」


少年と少女が語り明かして夜が更けていく。やがてしゃべり疲れて少女が眠りにつくと、少年はその体に毛布をかけてやったのだった。






えっと、未来のマスタングさんはカフェインには媚薬効果があるから飲め飲めとリザたんにいれたげて、リザたんにあの頃の純粋綺麗なマスタングさんはどこいったのーとか思われる。
仔ロイアイのいっちゃらいっちゃらするお話を書きたかったのです。


拍手ありがとうございます!
以下続きから拍手コメント(2/1)のお返事です。







>ayaka 様

こんばんは♪
エリザベス話お読み頂きありがとうございます!
お楽しみ頂けたようで良かったです~(*^_^*)
ロイアイを書いて読んで頂くのが私の最大の楽しみです☆ご感想を頂くのはものすっごく嬉しいです!
ありがとうございました♪







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by netzeth | 2015-02-01 23:06 | 日記 | Comments(0)