うめ屋


ロイアイメインのテキストサイト 
by netzeth
プロフィールを見る
画像一覧

さよなら日曜日

 最近ふらふらするせいでSSを一気に書き上げられない病です。なので、書きかけなのが結構あるます。という訳で書きかけのちゃんと最後まで書こうと思い立ちまして。あれですよ、長時間放置すると続き忘れるのでなるべく早く書かないとですな。ネタは鮮度が大事ですよ。時間空けるときは詳細に先をあらすじを書いとかないとですなー。


拍手ありがとうございます(^^)
通販到着のご連絡メールを下さったお方様、ありがとうございました!
少しでもお楽しみ頂ければ幸いです☆


以下SS↓ おふくろの味?的な話。余談ですが私はマックのハンバーガーのピクルス結構好きです。おそらく腹が減っていた時に書いた話。日記に上げたのはそのうちまとめます……。多分。
 








 特に忙しくもなく事件もない、穏やかな午後の司令部。そんな緩みきった空気の中、野郎の部下達が楽しげに雑談をしている。既に目の前に置かれた書類への興味をなくしていたロイはペンを放り出し、彼らの話声に耳を傾けた。



「もう故郷を離れて長いけどよ、やっぱおふくろの味が無性に懐かしくなる時ってあるよな」
「あーあるある、うちのおふくろのミートパイは最高だったぜ。あれが出てくりゃ、ガキの頃の俺はどんなわがままも一発で黙らせられちまった」
「おふくろの味ですかあ。僕んちはアップルパイですかね。シティのいろんな名店で食べましたけど、結局母のアップルパイが一番だって思ってしまうんですよねえ」
「うちはポトフでした。今思えばそれほど料理が達者だった訳ではない母親でしたが、それでも幼い頃に味覚に刷り込まれた味は忘れないものなのでしょうな」
「だなー。俺はおふくろのシェパーズパイが大好物なんだけどさ、どこのを食べてもおふくろの味とは違うんだよ。……実は俺がシェパーズパイが好きだって聞いた彼女が前に作ってくれたんだけどさ、美味しかったよ? 美味しかったんだけどよ……おふくろの味にはやっぱおよばねえんだよなあ……」
「お前それ絶対彼女に言うなよ。女はさ、旦那のママと比べられるほど嫌なことは無いんだぞ?」
「真理ですな、ブレダ少尉。アメストリスにおける男女の離婚理由第2位が、姑との確執だそうですよ。ちなみに1位は浮気です」
「もちろん言うわきゃねえだろ。美味しいよ、って言って完食したさ。でもさ俺、そん時ふと考えちまった訳よ」
「何をですか?」
「……今は恋人だからいいけどさ。これがもしも結婚して一緒になったとして。……一生おふくろの味とは違うあのシェパーズパイを食べるんだなあ……ってさ」
「……そ、それは……深刻な問題ですな」
「ばあか、ハボ。いいか? 男はな、いつかはおふくろの味とお別れするもんだ。そして、自分の女を見つけて今度は嫁の味を一生味わうんだよ。んで、子供が産まれたら今度はお前の嫁の味がその子供にとってのおふくろの味になる。……そうやって、世の中って奴は回っていくんだ」
「ブレダ少尉のお言葉深いですぅ」
「嫁の味、かあ……。だったら、出来るだけおふくろの味に近いの作れる子がベストだよなあ」
「まあ、男は母親に似ている女性を好むと申しますので。料理の腕も然りと言う所ではないでしょうか?」
「そりゃあ女にとって、ずいぶんとハードルが高いんじゃないか? つまり意中の男と結婚したかったら、男の母親から味を盗むって訳だろ?」
「いいじゃないですか、お料理をお姑さんに習うお嫁さんっていうのも。それで二人が仲良しになってくれれば、僕たち男も安心ですよ」
「まあ……後は、そんな殊勝な子が見つかるかってことだよな」
「「「確かに」」」


 部下達の雑談は、そこでちょうど入室してきたロイの副官の登場によって中断した。



「という話があってな。世の男というものはおふくろの味を求めているらしい」
 恋人の自宅にて。シャワー上がりのビールを楽しみながらロイは、恋人の後ろ姿に話しかけてみる。彼女はロイのために、夕食をキッチンで用意していた。
「そういう貴方はどうなんですか?」
 料理の乗った皿を持って、エプロン姿の彼女――リザが近づいてくる。急な訪問にもかかわらず、彼女は冷蔵庫の中のありあわせの物でささっと何品かの料理を完成させていた。
「どう……とは?」
「貴方にとってのおふくろの味はあるのですか? ということです」
 テーブルに並べられたのはトマトソースのパスタにグリルされたチキン。彼女特製のピクルスを刻んでマヨネーズソースで和えたものが添えられている。そして黄色の玉子が彩り鮮やかなミモザサラダ。
「そうだなあ……」
 リザに指摘されて、ロイは考え込む。ロイの母親は幼い頃に亡くなっている。よって、おふくろの味をその舌に刷り込むことは出来なかった。
「強いてあげるならば、マダムの料理だが……」
 だが、それも違うなとロイは首を振った。ロイの義母であるクリスは忙しい人で、ロイには彼女に料理を作って貰った記憶があまりない。彼女の経営する店でいろいろ美味しいものを食べさせては貰ったが、それはクリスの料理とは言えないだろう。
「マダムの作る料理ももちろん美味しかったが、おふくろの味か? と問われると少し違うと言わざるをえんな」
「では大佐にとっておふくろの味は、無いということですね」
「……いいや、実はそうでも無いんだな」
「え?」 
 リザの言葉をちっちっちっと人差し指を振ってロイは否定して見せた。そしてトマトソースをたっぷり絡ませたペンネをフォークで刺すと、パクリと口の中に放り込む。
「例えばこのトマトソース。それから、このピクルス……」 
 じっくりと味わいながら、リザが用意した手料理をロイは平らげていく。口の中に広がるのは昔から慣れ親しんだ味。かつて、ホークアイ邸の裏庭で採れたトマトやキュウリで彼女がよく作ってくれたものだ。
「うん、やっぱり君の味が最高だ。どんな名店のものよりも美味い」
「それは身内の贔屓目というものですよ、大佐。……貴方がよく訪れる高級レストランの味と比べられる訳ないじゃないですか」
 ロイの賛辞に少しだけ顔を赤らめながらも、リザは呆れたように恋人を見ている。過ぎた身内贔屓はかえって恥ずかしいですよと言わんばかりのその態度に、ロイは勢い込んで反論した。
「まさか。私は本気で君の味が一番だと思っているんだがね。言ったろう? 男はおふくろの味が一番だと。それはどんな名店の味も、コレジャナイという気持ちにさせるんだ。……私にとってのおふくろの味は君の味なんだよ」
 もちろん、君は私の母親なんかではないけどな? そう付け足してロイは隣に据わる恋人の肩に手を回した。一気に引き寄せてそのこめかみにキスを落とす。不意打ちの行動になかなか男女のスキンシップ慣れぬ恋人は、今度は顔を真っ赤に染めてロイを睨みつけてくる。
「……食べてる最中はおやめ下さい。ソースが付きます」
「食事中でなければ、歓迎なのかい?」
「…………意地が悪いです」
 ロイの減らず口に、恋人は少しだけムクレた顔をする。唇をむうっと曲げるその様子は、基本的に無表情のリザにとって大変珍しい光景だ。だが可愛らしい彼女の様子ににやけながらも、このまま本格的に拗ねられてはまずいとロイは判断した。
 だから。
 リザの機嫌を取ろうと、ロイは正直に思っていることを口にする。
「……私は幸せものだよ。中尉」
「……何がですか」
「おふくろの味が、そのまま嫁の味なのだから。一生求める味にありつける」
「……知りません」
 ロイのほとんどプロポーズな言葉に、ぷいっとリザは顔を背けてしまう。だがその顔は、耳は真っ赤なままだったので。ただ照れているだけ――と調子に乗ったロイは、そのまま愛らしい恋人の唇を奪うことにしたのだった。







[PR]
by netzeth | 2015-06-15 00:51 | 日記 | Comments(0)