うめ屋


ロイアイメインのテキストサイト 
by netzeth
プロフィールを見る
画像一覧

チェックメイト

ありとあらゆる戦略・戦術を駆使して私は今夜のゲームに挑む。
狙うはただ一つ、愛しい私のクイーン。


その日、朝からサボらずに私は真面目に仕事をしていた。何故って? 優位に物事を運ぶためには土壌を整えなくてはな。だが、これだけでは心許無い。私を邪魔する要素などいくらでもある。それらを一つ一つ取り除いていく。
まずは戦略を駆使し、戦いを優位に進めるための環境作り、だ。そう、これは勝負だ。勝利のために私はあらゆる手段を尽くそう。


「ファルマン!」
「何でしょうか」
「倉庫の書類整理をしてこい」
「……何故突然……」
「い・け」
「……分かりました」

「ブレダ!」
「へーい」
「ビリー・ジャックマン事件の報告書。お前が書け」
「いや、あの担当は……」
「いいから、お前が書け」
「……イエス・サー」

「ハボック!」
「はいっス」
「射撃場に行って何か壊してこい」
「へ?」
「何でも良い。何か適当に壊して今日一日使用不能にしてこい」
「はあ~? 何無茶苦茶言ってんですか」
「これは上官命令だ! 加減を間違えるなよ。今日一日でいいからな」
「……アイ・サー」

「フュリー!」
「はい」
「お前最近ハヤテ号をかまってないな」
「そう何ですよ~僕もハヤテ号とスキンシップ取りたいな~って思ってるんですけど」
「ちょうど良い。今日中尉に借りたらどうだ? 連れてきてるぞ」
「そうですね。頼んでみます」


駒達は配した。そして、次に私は行きつけのレストランへと電話する。
「もしもし? マスタングだが。……ああメインは魚で。ワインは白を」
彼女の好みなど熟知している。事前のリサーチは完璧だ。
さあ、万難は排した。さて、後は私の華麗なる戦術で攻めるだけ!


「中尉」
「はい、何でしょうか大佐」
「あー、その、だな」
「はい」
「……今夜食事に行かないか」
「……大佐。お仕事は終わられたのですか」
「もちろん」
「では、私は報告書の作成が……」
「それならブレダがやっていた」
「なら早く仕事が片付いたこの機会に書類整理を……」
「ファルマンが昼間に終わらせた」
「……では、私は射撃場に……」
「今日は器物破損で使用不能だそうだ」
「……ハヤテ号がいますので……」
「フュリーに預けるんじゃないのか?」
「…………大佐。謀りましたね?」
「さて、何の事かな……」
そんなに可愛い顔で睨んだってダメだ。
チェックメイト。
君はもう、私の術中なのだから。さあ、どうする? 私の愛しいクイーン。
「……仕方ありませんね。お付き合いいたします」
「そうか、……ちなみに今日のメインは君の好きな魚だよ。もちろんとっておきの白を用意してある」
片目を瞑ると、諦めたように彼女は微笑みを浮かべたのだった。

かくして、私は勝利を手にした。さあ、彼女とともに勝利の美酒を味わおうではないか!


……本当は、あなたが誘ってくれたなら、私はいつだってとても嬉しいけれど。そんな事素直に言ったら、今度からあなたは仕事をしてくれなくなるでしょう? だから、私はあなたの誘いを渋るのです。


さて、真の勝者は誰?



END

*************************
[PR]
by netzeth | 2010-02-07 20:04 | Comments(0)