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びっくり。

毎日オリンピックが熱くて寝不足気味のうめこです、こんばんは♪ 柔道決勝まではなんとか頑張って起きて生視聴しておりますwあとは早起きとDVDをフル稼働…HDD容量が足りないよう…。金メダルの瞬間とか大好物ですw つい最近までトリノの荒川さんの金メダル演技とか北京のソフトボールとかとってありましたよ。

電車に乗ろうとしたら地元ローカル路線の電車がアニメ電車になっていた( ゚д゚)……そのアニメは知らんのですが、何があった。

拍手ありがとうございます~(^^)


ブログコメントありがとうございました!お返事を書きましたのでよろしければ該当記事をご覧くださいませ~<(_ _)>
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by netzeth | 2012-07-31 21:42 | 日記 | Comments(0)

始まった♪

オリンピック始まりましたね♪ 朝方まで見てたせいで寝不足です; そして日曜日だから遅くまで寝て居ようと思っても暑くて8時には目が覚める罠。北島さんの決勝が気になりますが、今日は早く寝たいと思います。でも柔道の決勝も……あーオリンピック期間中は家でクーラー付けてのんびり視聴OKみたいな法律ができれば良いのに。そして。4年前の北京の時にはまだあまり普及していなかったような気がするツイッター。今はすごいですね、リアルタイムに情報が入るので、メダル決まった瞬間はすごい呟きの数だ…。

のんびりオリンピックを見るのもいいのですが、夏コミの準備もしなければですねー。本の準備は出来ましたがいろいろ他の準備がまだ残っているのです。気が付けばもうあと二週間切っていますね。

さて、夏コミに関して一つ告知を。夏コミの新刊は都合により二冊とも書店様への委託はありませんのでご了承のほどよろしくお願いいたします~<(_ _)>


拍手ありがとうございます☆

7/27 コメントを下さったN様。レス不要のお気づかい&ご感想をありがとうございます(^^)


以下続きから拍手コメント(7/29分)のお返事です。

続き
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by netzeth | 2012-07-29 21:02 | 日記 | Comments(2)

暑いなあ。

増田はムッツリスケベかそれともオープンスケベかと熟考し、どっちでもおいしいという結論に達したうめこです。こんばんは。……そもそもムッツリの定義がよく分かってないですけどね、自分。

いつも無駄に妄想力を駆使していろんな妄想をするのですが、今日は昔のCMをロイアイ変換して楽しんでいました。仕事中に何をしているんでしょうねー。確か、小林稔侍さん?が出ていた風邪薬のCMです。薬局に「妻が妻が!妻が病気なんです!愛しているんです!!」と走ってきて、薬剤師さんが額に手を置いて稔侍さんの熱を心配するっていうもの。稔侍さん=増田。


拍手ありがとうございます(^^)

7/25 拍手コメントを下さったN様。レス不要のお言葉に甘えさせて頂きますが、コメントありがたく拝見させて頂きました。嬉しいお言葉をありがとうございました!


ブログコメントを下さったお方様、ありがとうございました!
お返事を書きましたのでよろしければ該当記事をご覧ください<(_ _)>
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by netzeth | 2012-07-26 23:43 | 日記 | Comments(0)

真夏の攻防戦

※下ネタ入ってます。お嫌いな方はブラウザバックお願いします。



「近頃暑くて眠れない夜が多くてな……」
「はあ。それはご愁傷様です」
暑い暑い夏の日の午後。仕事がひと段落した時間帯を見計らってそんな事を言い出した上司。リザは書類からは目を離さずにとりあえず適当な返事を返した。自分は今、ようやく上がった書類のチェックに忙しいのだ。そしてこれが済めばまた次の書類。後がつかえているのだから、今、ロイとくだらないおしゃべりなどしている暇などない。第一、こういう時にロイが言い出す事といえば下らない事に決まっている。これでも長い付き合いである。経験上リザは嫌と言うほどそれを知っていた。
「だから今夜あたりはいっそ裸で寝てみようかと思っているのだが」
「ソウデスカ」
だから多少返答が棒読みになってしまった気がしたが、リザは露ほども気にはしなかった。相手をしないに限る。
「だが一つ問題があってな」
「ハイハイ」
「やはり男一人で裸で寝る…というのはどうにもむなしいというか……私にも男の矜持ってやつがあってね」
「ハイハイ」
「……という訳で。君も一緒に裸で寝てくれないか?」
「イヤデス」
「……なんだ、ちゃんと聞いているんじゃないか」
そう残念そうに言うロイの顔をようやくリザは顔を上げて見た。口調の割にはその顔つきはちっとも残念そうではない。
「あら。私が敬愛する上司の言葉を聞き流しているとでも?」
「いやいや。君は優秀な副官だ。ちゃんと聞いていると思っていたとも。で、どうなんだ? その優秀な副官殿が上司の頼みを断るのかい?」
「……セクハラですよ、大佐」
「何を今更」
私と君の仲じゃないか。
今は仕事中だと睨みつけたが、そんな事目の前の上司兼恋人は一向に気にしていない。
「仕事とプライヴェートはきっちり分けるのが出来る男なのではないんですか?」
「もちろん、そうさ。で、私がしているのは仕事の話だよ」
「……裸で一緒に寝る話がですか?」
「そうだ。言ったろう? 眠れない夜が多い、と。……寝不足が続けば仕事に響く。だからこれは仕事のはなし」
「…………」
ロイの屁理屈にリザは呆れる。なんだかんだと理屈をこねる事が得意な男ではあるが、今回のは強引にも程がある。
「どうしたね? 上司の体調にまで気を配るのが副官としての努めではないのかね? ……それこそ出来る女の姿ってやつだろう?」
小憎らしい笑みを浮かべてそんな事を言うロイにリザは瞳にこれ以上ないくらいの殺気を込めた。それでも彼は簡単にそれを受け流していて、埒があかない。
「……では私からお聞きします。大佐は本当に裸で寝ればこの暑さでもぐっすりと熟睡できるとお考えなのですか?」
「もちろん」
あーー君が一緒に裸で寝てくれればの話だが。と余計な一言を付け加えるのも忘れない。
「……分かりました」
一歩も引かないロイに遂にリザは折れた。ここで問答している間にも時間は刻一刻と過ぎていくのだ。……書類はまだまだ山の様にあるのである。
「ここにある書類をすべて片づけて頂けたならば、その要請受けましょう」
「本当か!?」
色めきたつロイにリザは無表情に頷くと、ただし、と続けた。
「……ただし、一緒に寝るだけです。し・な・い・事が、条件です」
「んな!?」
それじゃあ意味ないじゃないか! とおもいっきり不服そうなロイにリザは冷淡な視線を送る。
「何故です? 大佐はお一人で裸になられるのが嫌。私と一緒なら大丈夫。そして裸ならばぐっすり眠れ、仕事にも影響なし。これで万事解決、です」
全部条件を満たしています。ご自分でおっしゃった事でしょう?
――リザとしてはこれ以上ない譲歩案である。
「…………」
リザの言葉にロイは沈黙する。しばらく真剣に何かを考えこんでいるようだったが、やがて彼はおもむろに口を開いた。
「……しない、というのは厳密に言うとどこまで、だ?」
「は?」
一瞬リザはぽかんとしてしまう。ロイが突然なにを言い出したのかとっさに理解できなかった。
「……君の言う「する」にあたいする行為が何処までかというのが問題だと思うんだ。「する」という事はつまり「挿れる」という行為な訳だろう?」
「な…」
まだ日が高い、しかも軍部の執務室でする会話とは到底思えず、リザは絶句する。
「よって挿れなければいいとしたら……舐めるのはOKという事だよな?」
「な、何をバカな事をおっしゃっているんですか! そんなのダメです! 舐めるのもダメ!!」
「むう……では、吸うのはいいだろう?」
「吸うのもダメです!! 何ですか、そのバナナはおやつに入るんですか的な言い方!」
「なんだ。じゃあ、頬ずりは?」
「ダメです! もうっ、全部ダメ!!」
「むう……じゃあ、私は一体どうしたら良いんだ? せっかく君が隣で裸で寝ているというのに私には何もするな、というのか?」
「……最初からそう言っています」
「むう……」
ようやく黙ってくれたロイにリザは疲労感で一杯だった。もう頭痛がしそうだ。なんでこのしつこいまでの情熱を仕事に向けてくれないのか。
「とにかく、私がお約束できるのは先ほど申し上げた事まで、です。それもちゃんとこの書類を終わらせたらの話ですからね」
出来なかったらこのお話は無かった事に。
そう言い置くと、リザは部屋の出入り口へと向かった。少し頭を冷やしたい。ロイの相手をしていては自分が暑さにやられてしまいそうである。
「なあ」
「なんです?」
呼び止められて、リザは振り返った。
「私は何もしてはいけないという事は……君がするのは良いんだよな?」
「…………」
黙れ。とリザが敬愛する上司に言ったか言わなかったかは定かではない。




END
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by netzeth | 2012-07-26 23:04 | Comments(2)

すっかり。

原稿生活のせいですっかり夜型になってしまって困ります。こんばんは。
短文を更新いたしました。え~ロイアイっていうより軍部でわいわいって話です。ラブくないです。


拍手ありがとうございます!
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by netzeth | 2012-07-25 01:30 | 日記 | Comments(0)

怖い話?

「なあ…この東方司令部にも七不思議ってあるのかな」
茹だるような暑い夏の午後。あまりの暑さにとうとう脳味噌まで干上がったのか同期の親友が唐突にそんなことをぼそりと言った。その一言に乗ってきたのは意外にもそういう非科学的な事を一番信じていなそうな、俺の上官だった。
「なんだ、ハボック。怪談話か?……確かにこの暑い時期にはぴったりかもしれんな」
暑さに顔をしかめつつ書類にサインを書いていた、ロイ・マスタング大佐はいかにもおもしろそうだ、と言った顔をする。
「やめて下さいよ~~そんなの聞いたら僕、怖くて夜勤が出来なくなっちゃうじゃないですかあ~~」
そして、お約束通り一番嫌そうな顔をしたのは最年少のメガネだ。まだ始まってもいない怪談話を怖がって既に半泣きの顔をしている。……俺に言わせりゃお前が大好きな犬の方がよっぽど怖いがな。
「落ち着け。別にこの東方司令部に七不思議があるって確定した訳じゃない。ハボはあるのか?って聞いただけだ」
俺の言葉を聞いたフュリーはですよね~と途端にホッとした顔を見せた。良くも悪くも素直な奴である。
「確かに私もそんな話は聞いた事がありませんね……ところでハボック少尉はこの東方司令部に「も」とおっしゃいましたが。では他に七不思議があった場所をご存じなんで?」
口を挟んできたのはこのクソ暑い中でも涼しい顔をしているファルマンである。北の方の出身の割には暑さに強いらしい。
「ああ。俺らの居た士官学校には七不思議があったんだよ。な?」
同意を求めてきたハボに俺は頷いてやった。
「ああ。確かにあったな」
俺は数年前の記憶を引っ張り出す。俺らのいた東部の士官学校はその歴史も古く、そして設備も古かった。とかく、そういった古びた学校には怪談話というものが付き物である。
「なんだと? 私はそんな話聞いた事無かったがな」
大佐は俺とハボと同じ士官学校の出身である。まあ、俺らの尊敬すべき大先輩な訳だ。
「そうっスか? じゃあ、大佐の頃には無かったんじゃないっスか?」
「バカを言え。私とお前達とでは数年も変わらんだろうが。ふん。そんなに歴史の浅い七不思議などつまらんな」
歳の話をされると微妙なお年頃の大佐が憤るのはいつもの事だ。男のふくれっつらなんて鬱陶しいだけですぜ、大佐。
「では、大佐がご存じ無かったんじゃないんですか? ちなみにどんな七不思議だったんです? 私の居た学校ではそういった怪談話はありませんでしたから興味ありますね」
「あ、僕も!」
北部の学校出身のファルマンと士官学校出では無いフュリーには俺らの学校の七不思議がえらく興味深いらしい。
特にさっきまで泣きそうな顔をしていたフュリーの変わり身の早さに俺は苦笑した。自分と関係無さそうな話なら良いんだな。
「え~と……何があったっけかな……」
自分から話を振っておいていざとなると思い出せないらしい。ハボが俺に助けを求める様に視線を送ってきたので、俺は仕方なく答えてやる。
「俺が知っているのは男子寮の石像が夜一人で勝手に歩くって奴だな」
「ああ、そうそう! それだよ、それ!」
「何? あの男子寮初代寮監だったとかいうベーカー少佐像か?」
「ええ、それです」
俺が頷くと大佐はう~んと腕組みする。
「やっぱり聞いた事ないぞ…そんな話」
「だ~か~ら~、やっぱ歳の差ですって!」
しきりと首を捻る大佐にハボが揶揄するように言う。
「うるさい!……ベーカー少佐像といえば、夜中にこっそり錬金術の練習台にしたことはあったがな……」
「……大佐。具体的に何をしたんで?」
「ん? ああ。だからな、ベーカー少佐にそっくりな石像を錬成してたんだ。あの像、結構精密に出来ていたからな、同じものを錬成出来たなら良い練習になると思ってな」
「……それで?」
「とにかく夢中でな。何体も何体も造ってはみたがあの頃はまだまだ未熟でなかなか納得できるものが出来なくてな……おかげで毎日寝不足だったな」
「へえ~~! 大佐はその頃から錬金術をたしなんでいたんですね!」
すごいです! とかフュリーが無邪気に感心の声を上げていたが、俺とハボはそれどころでは無かった。顔を見合わせて意志を確かめあう。おそらく俺とハボの心の声は一致していたと思う。
――原因あんただろ、それ。
なるほど、大佐がこの七不思議を知らない訳だ。なにせ、自分がその七不思議の元凶なのだから。おそらくその大佐の練習を夜中に目撃してしまった者があるはずのない場所にベーカー少佐像があるのを見て、歩いた! と誤解したのだ。
脱力しかけた俺だが、なんとなく嫌な予感がして一応聞いてみた。
「ところで、大佐。他に錬金術で何かした覚えは?」
「ん? いや、あまりおおっぴらには使ってはいなかったからな。……ああ、ヒューズの奴に頼まれて無断外出の片棒は担がされたが……」
「……それは?」
「本校舎裏手の外壁に奴専用の外出用の入り口を作らされたんだ。一見して壁にしか見えないんだが、押すと回転して外に出られる」
俺は七不思議の一つ、怪奇! 校舎裏の行き止まりで消える人! を思い出して脱力した。隣では俺そっくりな顔をハボがしている。俺たちの思考は再び一致していただろう。
――それもあんたの仕業かい。
「錬金術って便利なんですね~」
「ブレダ少尉、他の七不思議は知らないんですか?」
何も知らないフュリーとファルマンが羨ましいぜ。この俺たちの疲労感を分けてやりたい。
「あ、ああ?」
気を取り直して俺は他の七不思議を挙げる事にする。いくらなんでも全部大佐の仕業って訳はないだろう。……だとしたら嫌過ぎる。
「あと俺が知っているのは、深夜の射撃練習場に響く銃声ってやつかな」
「そうそう、あったなーそれ。夜中に銃声が聞こえて駆けつけて見ると誰もいない。で、ボロボロになった的だけが残されていたってやつ」
「ふうむ。……やはりそんな話聞いた事はないな……」
「あら? 何のお話ですか?」
その時部屋に入って来たのは俺達のクールビューティ、ホークアイ中尉だ。その涼しげな容貌。こう暑い中で見ると大佐じゃねえけど癒されるわ、ほんと。
「ちゅ…中尉……いや、その……暑いな…?」
サボっていたことを咎められのかと慌てた大佐がものすごくどうでも良いことを口にする。すると中尉は呆れた顔を見せた。
「別に少しくらいの雑談で目くじら立てる様な事はしませんよ。……ただ、みんなで楽しそうに話していた様ですから、気になっただけです」
「ああそれはな、中尉。士官学校時代の七不思議について話をしていたんだよ」
最後に少しだけ話に混ぜて欲しい…という意志見せた中尉に、ここぞとばかりに大佐が話をふる。……確かに話題に中尉を混ぜてしまえばサボりも一蓮托生である。
「……七不思議…怪談…ですか?」
「俺ら……ああ、中尉も同じ学校でしたよね、確か」
ハボの言葉に頷いたホークアイ中尉は少し思案して。
「……ええ。七不思議なら私も在学中に聞いた事があるわ。確か……そう、男子寮の歩く石像とか…校舎裏手で人が消えるとか……」
「「あ、それはもういいんです」」
俺とハボが声を揃えて言うと、キョトンとした顔をする中尉。中尉には悪いがその話はもう流したい。
「今、深夜の射撃場に響く銃声って話をしていたんだが……中尉は知っているか? ちなみに私は知らなかったんだが」
「……射撃場? それは私も知りませんね」
大佐の言葉にホークアイ中尉は首を捻る。俺らと中尉の間にもジェネレーションギャップってやつがあるらしい。
「だよな。……第一、射撃場は夜は使用禁止で生徒は絶対に入れないだろうし」
「……実はそうでもないんですよ」
「どういう事だ?」
「実は私、夜の射撃練習場で射撃の練習をしていた事があったんです」
「何?」
「射撃の授業の教官が特別に内緒でって…許可して下さって……」
「ほう……」
「他の生徒達に知られたら公平じゃないからってあくまでも、秘密の練習だったんですけど。だから人が来たらいちいち隠れたりして……」
今ならもう時効ですよね、と小さく笑った中尉に大佐はでれっとしていたが、俺達はやはりそれどころじゃなかった。ハボを見ると奴もげんなりした顔をしている。
――まさかこの目の前の二人で七不思議の三つまでも占めてしまうとは想定外だった。……何この上官達は後々の生徒にまで語り継がれる様な事やっているんだ。
「あの~他には無いんですか? 七不思議」
ワクワクしているところ、悪いな、フュリー。
俺はもうこれ以上七不思議を語るのは嫌だ。……誰だって青春時代の思い出って奴は大事にしたいんだよ。謎っていうのは謎のままの方が良かったっていう事もあるんだ。俺はたった今それを体験したところだ。
「ああ……俺達が知っているのはこれくらいだ。なあ? ハボ」
「お、おう。悪いなフュリー。七不思議ってやつは全部知っていると呪われるらしいからな。これくらいでやめといた方がいい」
俺とハボはこれ以上余計な事を知ってしまう前にさっさとこの話題を畳む事にする。
――願わくば。どうか、後の四つもこの人らの仕業ではありませんよーに。精神衛生上これ以上詮索するつもりも無かったが、俺は祈らずにはいられない気分だった。



おまけ。その後の大佐と中尉。

「なあ、中尉。この東方司令部にも七不思議があったら、君は怖いと思うかね?」
「……司令部にですか? ……いえ、別に」
「やれやれ……昔は、きゃあ☆マスタングさん怖い!!って私にしがみついてきて可愛かったのになあ……」
「勝手に記憶をねつ造しないで下さい。そんな事言った覚えもした覚えもありません」
「……だよね。君があの頃一番怖がっていたのは月末の水道・光熱費の集金のおじさんだったよな……いいじゃないかちょっとくらい夢を見させてくれたって」
「な・に・か。おっしゃいました?」
「い、いや、別に。……ふう、やれやれ、いつかは君のきゃあ☆っていう可愛い悲鳴を聞いてみたいものだね」
「妄想ならご自由に。そんなこと絶対しませんから」
「……本当に?」
「……本当です」
「ではこれから、君に怖い話をしてあげよう。……君が悲鳴をあげてしまうほどの」
「どうぞ?……のぞむところです。そんなお話ができるとは思えませんけど」
「まあ、いいから。聞きたまえ。……一週間ほど前の事だ。私は深夜の執務室で仕事をしていた。君は二日続けての非番の日だった……覚えているかね?」
「……ええ。もちろん」
「その時私は猛烈な眠気に襲われていてね、でも必死に堪えていた。何故ならば君に必ずやっておけと言われた書類がまだ終わっていなかったからだ」
「……それまでさんざんサボってらしたのが悪いんです。あれはその翌日までの、締め切り絶対厳守の重要書類でしたでしょう?」
「ぼんやりとした、視界。朦朧とする意識。そんな中私はようやく書類を終える事が出来た。そして、そのまま仮眠室へと行こうと思った。だが、しかし。そこで私は思い直した。どうせならば、眠る前に、意識を手放してしまう前にしっかり最後まで書類をチェックしていこう、と。そうすれば後は何の心残りもなく眠れるというものだ」
「……良い心がけです」
「私は書類を数えた。一枚…二枚…三枚…四枚…五枚…六枚…七枚…八枚…九枚……」
「…………」
「書類は全部で十枚だったはずだった。でも何度数えても書類は九枚しかない……一枚足りなかったんだ!」
「……あの、大佐?」
「私は何度も数えた。でも何度数えても九枚しかない。一枚足りない……私は考えた。そう、こんなに何度も数えても九枚しかないのなら、書類が十枚だったというのは私の錯覚、幻、夢想で、書類は最初から九枚であったのだと!!」
「……大佐…まさか……まさか…」
「そう結論を得た私は仮眠室に向かった。そして何の心配もなくぐっすり眠ったね。……書類? そんな事眠って起きたらもうすっかり忘れていたよ。……で、これ。今日私のデスクの引き出しと床の隙間に落ちてたんだけど。たまたま気分転換に模様替えしよっかなーとか思って机を動かしたら発見したんだが。いやあーーたまにはデスクを動かしてみるもんだね、新たな発見があったよ。良かったな見つかって、最後の一枚。はい」
「……きゃあああああ!!」




END
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by netzeth | 2012-07-25 01:16 | Comments(4)

二冊目も入稿終了。

こんにちは~。二冊目の入稿も終了しました。郵送ですので、あとは無事に届いてデータに不備がなければ二冊目も出るかと思われます。ようやく一か月ぶりくらいに原稿から解放されましたーー。部屋がヒドイ事になっていたり(腐海である)、録りだめたまま見ていないDVDとかなんとかしたいなあ。そういえば今期の夏アニメ。深夜に見た「人類は衰退しました…」がまんま同人誌&コミケのお話をやっていて笑いました。人類が衰退した未来のお話なんですけど、そんな世界でも腐女子は元気だww人類全然大丈夫だよねww

先週は週の前半は大変暑かったですね。暑くなったと同時に部屋の中に虫がやたらと侵入してきて、困りました。窓を開けているのが悪いのかと(ちゃんと網戸なんですけど)閉めて寝たら、うっかり朝死にそうになりました。うん、エアコンない部屋で閉めっぱなしとかサウナですね、ええ。命の危険を感じたので虫コナーズを買ってきて窓を開けました。

そういえば。原稿にかまけている間にもしかしてもうオリンピックですか?スポーツ好き(見るのが。やるのは嫌いw)なので、毎回オリンピックは楽しみしているのですが、今回はさっぱりいつからなのか分からず。テレビもあんましみてなかったからなーー。昨日行った美容院でいつからなんだろう。テレビで騒いでる?と聞いたら呆れたように、めっちゃやっているよー何見てるの?と言われちゃいましたがww うん。深夜のアニメとかしか最近見てなかったよ……。というわけでどんな種目が期待なのかよく分からないのですけど、とりあえず体操と柔道はチェックしようかなっと思っている次第。


夏コミ新刊情報をUPいたしました。なんか久しぶりな更新ですね…すみません;
だいぶ放置している拍手お礼文とかもなんとかしたいです。


原稿中、拍手下さった皆様ありがとうございました(^^)
大変励まされました!


7/19 コメント下さったN様。お返事不要のお気づかいありがとうございます。お言葉いつも励みにさせて頂いております!


以下続きから拍手コメント(7/22分)のお返事です。

続き
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by netzeth | 2012-07-22 16:17 | 日記 | Comments(0)

君と暮らせば~本文サンプル~


それは珍しく仕事を定時に終え、デートの約束もなく、自宅でのんびりと寛いでいた時の事だった。
最近手に入れたばかりの興味深い書物に目を通していた私の耳に、聞こえてきたのはコンコンというノック音。
楽しい読書の時間を邪魔された不快感とこんな時間に誰だ? という疑問が胸に湧き上がる。
こんな時間に訪ねてくるような知り合いも親密な相手にも心当たりがない。デートをするくらいの女性はそれこそごまんといるが、自宅の場所など教えた覚えもない。
一瞬、私の軍人としての立場上の歓迎できない客だろうか? などと嫌な予感もして私はリビングの引き出しから銃を取り出すべきか迷った。
するとまたコンコンというノック音。私は仕方なく座っていたソファーから立ち上がると玄関へと向かう。もちろん銃は万が一のために携帯した。
「こんな時間に誰かね?」
「私です」
扉の前で誰何の声をかけると、返ってきたのは意外な人物の声で。私は構えていた銃を下ろす。
そして慌てて施錠を解除した。
扉を開けたその先には、声の主――ホークアイ少尉が何故かどこに夜逃げするんだと言わんばかりの大荷物を抱えて立っていた。
両手にはスーツケース、背中にはでっかいリュックサック。リュックの上にくるくると丸まっているのは毛布で、横に刺さっているのは傘だろうか。
――困った。ちょっと意味が分からない。
私はどうリアクションをとっていいか本気で迷った。
少尉の格好はこれから旅に出ます……いや、違うな。どちらかと言うと実家に帰らせて頂きますと家を出ていく結婚三年目で夫に浮気された妻……のようだった。
そんな私の困惑など知らぬ少尉は、いつも通りの淡々とした口調で言う。
「夜分遅くに失礼いたします、中佐」
「あ、ああ…?」
夜分遅くは別に問題ない。問題は君のその格好なんだけどな……などと思ったがなんとなく突っ込み辛らくて、私はそこには触れずに続けた。
「え~と、ところで。その夜分遅くにどうしたんだ?」
「はい。まずはご説明いたします前に……お邪魔いたします」
「へ?」
ホークアイ少尉はきっぱりとそう言うと、私の横をすり抜けて部屋の中へとドンドンと入っていく。彼女のあまりの突然の行動に反応が遅れ、止める間もなかった。
「少尉?」
お世辞にも片づいているとは言えない私の部屋。少尉はスーツケースを置きリュックサックを下ろすと、何やら部屋中をチェックし始めた。
リビングをぐるりと見渡したかと思うと、窓のサンや棚に寄っては指先をツーと滑らせている。掃除などろくにしていないので、当然少尉の手にはホコリが付く。それを眉間に皺を寄せて眺めている彼女。
――君はどこの嫁をいびる姑だ。
唖然としている私には目もくれずに、彼女は次にリビングと繋がっているキッチンへと赴くと、これまたいろいろと調べ始めた。冷蔵庫や食材の保管庫、食器棚や果ては水周りにシンクの中やゴミ箱まで。
それらを入念に見て回っている少尉。その表情はまるで困難な任務に挑む時のように真剣そのものである。
「なあ、少尉。……君は一体何がしたいんだ?」
いい加減説明が欲しくて私はおそるおそる話しかけてみた。
もちろん、そもそもこの部屋の家主は私であるし、勝手な事をしているのは彼女の方であるのだから私が遠慮する謂れはないのだが。それでもなんとなく、少尉の発する雰囲気から強くは言い辛かったのだ。
すると私にちらりと視線をよこした彼女は、
「中佐、お話があります。お座り下さい」
やっぱり軍部での仕事中となんら変わらぬ表情と口調でそう言った。
……まずい、何かしたかな。別に後ろめたい事など無いはずであるのに彼女にこんな事を言われると思わず自省してしまうのは、私の日頃の行い故なのだろうか。……だって、しょうがないじゃないか。ホークアイ少尉の顔が仕事をサボって書類を溜めた私にお説教する時の顔そのままなんだから。
私は大人しく彼女の言うとおりにソファーへと座った。床に正座しろとは言われなかったので、お説教ではないと思いたい。
「中佐」
「あ、ああ」
「これに見覚えはありませんか」
彼女が懐から取り出したのはくしゃっと皺の寄った封筒だった。良く見ると軍の紋章が入っている。それは軍の事務用の封筒の様に見て取れた。
「……すまんが。分からん」
私は正直に言った。
すると少尉はまたも盛大に眉間に皺を寄せた。
――まずい。ものすごく怒っている。
私は必死にその封筒に関する記憶を脳内で検索したが、どうしても思い出せない。焦る私に少尉はふうっと大きくため息をつくと、心底呆れた顔をした。
「これは、あなたの執務室のゴミ箱で見つけたものです」
「ゴミ箱……? ああ!」
少尉のその言葉に私はその封筒が一体何であるのか、ようやく思い至った。
「そうです。あなたが中身も見ずに捨てた、先日の健康診断の結果報告、です」
そう、少尉の手に握られているそれ。それは少し前に受けた健康診断の結果を伝えるものだった。
軍にいる以上、軍人は定期的に健康診断を受ける義務がある。いや、権利といってもいいだろうか。体が資本の仕事であるので病気などはもってのほかであるし、少しでも体に異常が見つかればただちに治療を受ける必要があるのだ。そして、もし改善しないようであれば最悪退役もありうる。そう、健康体であるのは軍人であるための必要最低限の資格なのである。アメストリス国軍はそのためのサポートを手厚く行っており、健康診断もその一環なのだ。
そして、私は先日定期健康診断を受けその結果を受け取っていた。しかし、ちょうど忙しかったのもあり、そんなものゆっくりと見ている暇もなかった。それに、結果など見ずとも分かっている。還暦を超えたご高齢の将軍達ならともかく、私はまだ二十代半ばだ。健康を気にする様な歳ではない。そう思い私は封を開ける事もせずに、それをゴミ箱へと放り込んだのだ。
それを何故か今、ホークアイ少尉が持っている。どうして私の健康診断結果など持っているのか、と尋ねようとした私はしかし言いかけてそれを止めた。尋ねるまでもない。そんなものゴミ箱から拾ったからに決まっている。ときどき重要書類を間違って捨ててしまう事もある(前科がある)から、彼女が執務室のゴミ箱を注意して見ていても不思議ではない。
問題は。何故、今、ここで、そんなもの少尉が取り出したのか? という事だ。
少尉は無言で既に開封済みのその封筒の中から一枚の紙を取り出した。そして、それを私に突きつける。
「ご覧下さい」
「へ?」
仕方がないので少尉に言われるままに、それに目を通す。
私の詳細な身体データや、血液検査、尿検査、その他もろもろの検査結果が目に入ってくる。正直ざっと見た限りではその数値の意味までは私には分からない。
「中佐の個人情報を勝手に見てしまった事はお詫び申し上げます。ですが。僭越ながら、上官の健康状態を把握する事も副官の努めかと思いまして」
「ああ」
別にそれに異存はない。
これは私が捨てたものだし、見られて困るような機密情報でもないし。男の身体データなど知りたい奴などいないだろう。……少尉のデータというならば、少々…いやかなり興味はあるが。
「これを拝見して、私は驚きました。……中佐」
「うん?」
「なんですか! このありえない数値達は!!」
びっと鼻先に突きつけられた私の健康診断報告書。見てもやっぱりよく分からないが、何故か少尉は怒っている。
「え~と?」
「いいですか? まずはこのLDLコレステロール値。そして、中性脂肪の値にy―GTP数値! さらにGPTまで正常値を大幅に越えているのですよ!? 胃もずいぶんと荒れてしまっている様ですし。かろうじて要精密検査には引っかからなかった様ですが……というか、見もせずに捨ててしまったら引っかかっていても分かりませんよね。まったく貴方はいつもいつも重要なものをうっかり捨ててしまうんですから……。まあ、それはひとまず置いておきます。よろしいですか? 貴方はこのままでは不健康体まっしぐら! その若さで深刻な病気になってしまうかもしれないんですよ!?」
「ちょっ……落ちつけ、少尉。分かったから」
「いいえ! 分かっていません!!」
その証拠に、と彼女は私の部屋をその腕で指し示す。
「中佐の家に伺って、私、その原因が分かりました。散らかった部屋、ホコリまみれの不衛生な環境。冷蔵庫にはビールとおつまみだけ。食材の保管庫には野菜もなし。キッチンには使った形跡もなく、それどころか、満足な調理道具も無い。水周りだって、中佐、いつ掃除しました?」
「……掃除?」
「いいえ、すみません。分かりました」
そもそもキッチンでする事と言ったらコーヒーを淹れるためにヤカンで湯を沸かすくらいであるし、カップを洗うだけのシンクなんて汚れもしないのだから、掃除なんて概念考えた事もなかった。
そんな私の様子に少尉は心なしかがっくりと肩を落としていた。が、すぐに彼女はキッと私を見据える。その瞳には炎が灯っている、いや、それどころかメラメラと燃え盛っている。
私はなんとなく嫌な予感がした。彼女がこんな瞳をしている時は、ろくな事がない。
「私、決めましたから」
何を? と私が尋ね返すより早く。
「今日から私、ここに住みます。そして、私が中佐の健康管理をいたします!!」
ホークアイ少尉はきっぱりはっきりと、そう宣言した。




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by netzeth | 2012-07-22 15:42

光の道~本文サンプル~


大陸歴1925年 アメストリス首都セントラルシティ


その日、リザはいつになく緊張していた。もう三十を越えたいい年の女だというのに、今の自分はまるで少女の様だ――と苦笑してしまいそうになるが、こればっかりは仕方あるまい。なにぶん自分にはその手の経験が不足……というか皆無であるのだから。
何度も何度もおかしいところは無いか鏡で己の姿を映して確認してみるが、いかんせん自分の事は自分ではよく分からなくて、リザははあっとため息を吐いた。こういう時、友人のレベッカが居れば頼りになるのだが、彼女はグラマン大総統の大総統補佐官を勤めあげた後、念願のいい男を捕まえて寿退職してしまった。今は新聞社・ラジオ局と幅広くマスコミ関連会社を経営する夫と共に子育て中である。家庭を持つ彼女をこんな事のために呼べる訳もない。
頼りになるのは自分しかいない、とリザは黒のロングドレス姿の己をじっと見つめてみた。
その昔、一度だけこのドレスに身を包んだ事がある。あの時は皆で写真を――という事で軍の仲間達と共にめかし込んで写真を撮ったのだ。あの頃の自分と今の自分を見比べて、リザは自分は変わったのだろうか、と自答してみた。髪は短くなった。もしかしたらシワも増えた……と思う。レベッカにはあんたなんで歳をとらないのよ! と半分冗談半分本気で罵倒された事もあったが、そんな事あるはずはない。このドレスが入ったのだから体型も変わっていない、と思いたいが、昔に比べれば衰えた部分も絶対にあるはずだ。特にリザは美容という物に興味を示した事がなかったから、アンチエイジングという点においてはまったくといっていいほど自信がなかった。
彼からの要望とはいえ、どうして自分はこのドレスを着ていく事を了承してしまったのだろう、とリザは過去の自分を恨みたくなった。
そう、リザが上官であるロイ・マスタング大総統から誘いを受けたのは今朝の事であった。その成熟した男盛りの彼に似合わぬ緊張した面もちでロイは言った、君を食事に誘いたい、と。
リザはその時、冗談ではなく本気で腰が抜けるほどに驚いたのだ。まさか、今更、と。何故なら、ロイがリザをデートに誘ったのは実にこれが初めての事であったからだ。
ロイを見る世間一般の目は昔から彼を女好きの男だと決めつけていたが、それはリザも否定できない。事実彼はイーストシティやセントラルシティ、いや、今となっては全アメストリスの女性に絶大な人気がある。もし、先の総選挙で立候補していたならば、その女性票だけで当選していただろうと噂されるほどに。しかし、ロイのその姿が実は巧妙に敵を欺くための仮面で、彼が実は誠実な男であるという事はリザが一番知っていた。彼はその誠実さ故に、本当に本気の恋人を作った事はないからだ。ロイも男だから、それなりには女性と遊んではいるだろうが、その事は実はリザを安心させていた。
リザが己の内にある彼への思慕を自覚したのは何時だったろう。おそらく、彼がまだ父の元で修行をしていた頃だったのではないかと思う。その思慕が彼に焔の錬金術を渡す事になり、リザが軍に入る動機ともなった。そして、結果的に彼に重い罪を背負わせ、その後の自分達の行く道を決定づける事になったのである。
とにかく、ロイが大総統となり、リザがその補佐官となって三年。いや、リザがロイの下についてからの長い年月。ただの一度もロイはリザをデートに誘った事は無かった。おそらくはロイと近しい部下達でさえもそんな事は信じないだろうが、これは事実である。
そんなロイからの突然の誘いにリザは大いに戸惑い、そして同時にまるで十代の少女の様な初々しい面映ゆい気分を味わう事になったのである。
リザはロイが自分をどう思っているのか分からないほど鈍くはないつもりだった。最初は女性として見られていないのではないか、と思っていた時期もあったがそうではないとすぐに気づいた。彼はリザを大切に思っていてくれている。それは間違いない。そしてその感情が男女のそれであるという事もリザは知っていた。彼と過ごした年月の中、彼の言葉、行動、その全てがリザにそう教えてくれたからだ。
それでも彼には成さねばならぬ事があり、リザには果たすべき誓いがあった。だからあくまでロイとリザは上司とその一部下であったのだ。
だが、その今までを、ロイは踏み越えた。いや、踏み越えようとしているのか。そして、リザは今、現在進行形で悩んでいるのである。少しでも好きな男に美しい自分を見てもらいたいという女心で。だが、そうやって悩む事は軍事に政治にと悩む普段の自分と比べて、不快ではなかった。
「やだ、そろそろ行かないと……!」
壁掛け時計を確認するとリザは家を出るべくコートを羽織る。初めてのデートで遅刻というのは笑えない。
しかしその時リザは、ロイとの、想い人との初めてのデートに少しだけ胸を高鳴らせながらも、だが、何故突然……? という疑問を払拭できないでいたのだった。



大総統ともなると私的な出歩きでも護衛が付く。ホムンクルスに支配されていた軍国主義時代のアメストリスではその警備も仰々しいものだったが、ロイが大総統に就任してからはロイ自身がその慣習を改正してしまった。曰く、護衛など連れていてはデートを楽しめない――だそうだ。まあ、表向きは軍事予算の節減だともっともらしい理由をつけてはいたが。
昨年選挙を終え、議会が機能し始め、いまや実質的な国の最高権力者は議会の代表――首相である。故に大総統の地位自体が前ほど重要なポジションではないとロイは主張するが、それでもロイほどの立場の人間が護衛を一人も付けずに街を出歩く事をリザはあまり歓迎していなかった。
よって今日のデートを受ける上でリザは一つだけ条件を出していた。
それは。
「お似合いですよ、かっ……ロイさん」
「……うるさいぞ」
憮然とした顔で隣を歩く男を見上げて、リザはくすりと笑う。
「ふふ……メガネ、お似合いです」
リザが出した条件、それは――絶対にロイ・マスタングだと分からぬ様に変装をする事。
そして彼はリザの想像以上に忠実にその約束を果たしてくれていたのだ。
久しぶりに見るサラサラと揺れる前髪。
彼はもう四十に届く年齢であるのに、髪を下ろすと昔と変わらず驚くほどに童顔になる。もしかしたら二十代に見えてしまうかもしれない。そして、メガネ。うまい具合に目元のシワが隠れて本当に学生みたいで。とても軍のトップに君臨する大総統の地位に就く男には見えない。
堪えきれずリザはくすくす笑う。それがロイにはえらく気に入らないらしい。昔から己の童顔を気にしていて、昨今ようやく歳相応の見かけになったと喜んでいたから、またそのコンプレックスが復活してしまったのだろう。
せっかく三つ揃えの仕立てのいいスーツでキメているのに、これでは台無しとばかりにロイが言った。
「いい加減、笑うのをやめたまえ!」
気に入らない事があるとムキになるところは昔から変わらない。いまだに子供の様な彼をリザは愛おしく思う。
「すみません……。でも昔の仕返しですよ」
「何?」
「昔、私がメガネをかけて秘書の潜入捜査をした事を覚えておられますか」
「……ああ」
「あの時、貴方は私のメガネ姿を見て笑いましたよね?……その仕返し、です」
「んな!」
目を見開いたロイに、リザは艶やかな笑みを向けた。するとロイは降参……とばかりに両手を上げる。
「君……結構根に持つタイプだったんだな……」
「あら? 今更気づいたんですか?」
すました顔で言えば、情けない顔で嘆いていたロイは一瞬だけフッと真顔になった。
「そうだな……本当に、今更だな……」
「え?」
しかし、リザがロイの言葉の意味を問いただす前に。
「着いたぞ」
二人の目指すデート場所へと到着していた。
ロイに促されるまま、リザはその彼が選んだにしてはこじんまりとしたレストランへと入っていった。



家庭的な雰囲気のその店をリザは一目で気に入った。出てくる料理もリザの口に合うもので、普段から高級な物を食べ慣れている様に見えるロイは実はこういった庶民的な味を好むのだろうか、とそんな事をリザは考えた。
デートとロイは言ったがそんな色っぽい話題などこれっぽっちもなく、ロイとリザは軍部にいる時とさして変わらぬ会話を交わす。
「この前マイルズから要請があったイシュヴァール司令部の増員だがな、ようやく目処がつきそうだよ」
「そうですか。シンとの貿易拠点としてイシュヴァールの人口は年々増え続けていますからね。それに加えて、イシュヴァラ教の聖地としての観光需要に、砂漠横断鉄道の玄関口です。マイルズ将軍も大変でしょう」
「そうだな。積極的に現地のイシュヴァール人を登用する様にと、そのための補助予算を計上するよう取り計らっておいた」
かつて共にイシュヴァール政策に臨み、共にイシュヴァールの復興に尽力した同士の名前をロイは挙げる。
かつての内乱で深い傷をおったかの地は、シンとの鉄道開通を機にめざましい発展を遂げていた。イシュヴァラ教の教えを守りつつもイシュヴァールの民はなかなかどうして商売に長けていた様である。暮らしが豊かになれば自然と心も豊かになる。経済が安定するにつれて頻発していたテロ活動も徐々に減り、かつての敵アメストリス人の観光客も受け入れる様になり、民族間の確執は確実に解消されつつある。
イシュヴァール政策を行った者の一人として、リザはそれを心から喜んでいた。むろんそれで過去の罪が帳消しになるとは思ってはいないが。
「それで許されるとは思っていなかったがね……」
「え?」
リザは最初、自分が考えていた事を言葉に出してしまったのだと思った。けれど、その声は己ではなく深く響く低い男の声だった。しかしロイの顔見つめても、彼はそれ以上その呟きについて何かを言おうともしなかったので、リザは話題を続ける事にする。
「よく議会が了承しましたね……。昔と違って軍備縮小の今、軍に予算を割くことは難しいでしょうに」
「ああ。しかしイシュヴァールは今やアメストリス経済に大きな影響力を持っている。その治安の安定が要というのは彼らも分かっているんだろう。イシュヴァールを無視する事はできないのさ」
実をいうと議員の中にはイシュヴァールの血を引く者や、イシュヴァラ教信者も存在するのだ。それはこのアメストリスという国が変わったという証拠である。
「イシュヴァールの治安が乱れればシンとの貿易に影響が出てしまいますものね……そういえば近々イシュヴァールに関連する法案が議会に提出されると小耳に挟みましたが……」
「おお、そうだ。シンといえば。とうとうアルフォンスがメイ皇女と婚約したそうだぞ」
唐突にがらりと話題を変えたロイは、大ニュースだとばかりにリザに自慢げに語ってみせた。それにリザは苦笑する。
「情報が遅いですね。そんなのとっくに知っていますよ」
「む、なんだと? 誰から聞いた?」
「ウィンリィちゃんですよ」
いまや二児の母となり、母として、オートメイル技師として、忙しい毎日を送っている女性の名を挙げればロイはなんだ、と脱力した顔をする。
「身内が情報源では情報の早さで君には勝てそうにないな……」
「もう、勝ち負けではないでしょう? このようなおめでたい事に」
「いやいや、重要な事だよ。ではこれは知っているか? なんと、メイ皇女からいつまでもにこにこ笑ってはっきりしないアルフォンスに迫ったというぞ」
「知っていますよ。ウィンリィちゃんからエドワード君のプロポーズの話を聞いて、それを真似たそうですよ」
「――それは初耳だ。一体鋼のはどんなプロポーズをしたんだ?」
念願の背も伸び、立派な青年となって更に父親となったエドワードを旧国家錬金術師制度が廃止された今でも、ロイは『鋼の』とかつての二つ名で呼ぶ癖が抜けない。
「さあ……なんでも錬金術師らしいバカなプロポーズだったとしか私も聞きませんでしたから」
「……バカとはずいぶんな言われようだな。しかしそれは、ますますもって気になるな」
「今度聞いてみたらいかがですか、エドワード君に」
教えてくれないと思いますけど、と付け加えるとロイは。
「いや、それでは遅い」
ぽつり、と呟いた。その意味を一瞬計りかねたリザは、そこで初めて気づいた。今日のロイが会ってからずっとずいぶんと饒舌だった事に。口数が多いロイ。それは昔から緊張を紛らわせようとする時の彼の癖、だ。まさか未だにその癖が抜けていないのだとしたら、彼はリザと会ってから今までずっと何かに緊張している事になる。そして、その事に気づいてしまうと、リザの方もついぞ忘れていた当初の緊張感が蘇り、ロイとの初デートというこの時間が何やらとても気恥ずかしいものに思えてきた。
そして、先ほどのロイの発言の意味をリザは心の中で吟味してみた。ロイはプロポーズの言葉をエドワードに教わりたい。しかもできるだけ早く。もしかしたら今すぐに……? つまりそれは……。
「鋼のプロポーズは知らんが……実は別の男のプロポーズの話なら聞いた事がある」
ロイの声がリザを思考の海から引き戻した。
「え?」
「そいつは自分のお気に入りのレストランで奥方にプロポーズしたそうだ。その台詞はこうだ。『ここの料理は俺の知る中で一番俺好みだ。だが、君の作る料理には到底敵わないんだ。俺は毎日君の作った料理を食べたい。そうすれば、俺はもうこのレストランに通わなくて済む』……実にレストランにとっては商売あがったりなプロポーズだと思わんかね?」
「あの…それは……」
「事実、奴は二度とこのレストランに来ようとはしなかったよ」
ロイは誰とは明言しなかったが、リザには分かった。そのプロポーズを行った人物が誰であるのか。ロイがそのような懐かしい瞳で語る人物など他に心当たりがない。ここは、彼――ヒューズがかつて奥方にプロポーズした場所だったというのか。
リザは知らず知らずのうちにナイフとフォークを持つ手に力を込めていた。己が緊張しているのが、自覚できる。
無言でメインディッシュを切り分ける作業に集中するふりをする。そうでもしなければ、この空気に耐えられなかった。
ロイがかつての親友がプロポーズした場所に自分を呼んだ事を、リザは意識せざるを得なかったからだ。何かのせいでずっと緊張しているロイ。――これで彼の意図を読むなと言う方が無理だ。
口に運ぶでもなくただひたすら肉を切っていたリザに、とうとう意を決した様にロイが声をかけた。
「だから、私も……」
しかし、そこでロイは言葉を切った。リザはロイの言葉の続きを息を殺して待ったが、彼は言葉を続けようとはしなかった。彼を見つめる。ロイはまるで陸に上がった魚の様に口を開け閉めしていた。それは言いたい言葉がどうしても音にならず、声とならず、そして意味を持ってリザに届かない、届ける事ができないといった様に苦しげに顔を歪ませていた。
その苦悩の表情の本当の意味を。彼の想いを。今、この時のリザは知らなかった。ただ、この時は彼が極度の緊張状態にあるのだろう、としか思わなかったし、リザ自身、彼を気遣う余裕もなく緊張していて、それどころではなかった。
やがて、ロイはその苦悩に満ちた表情をふっと消すと、笑った。それは、全てを諦め、受け入れた様な、そしてこの上なく、穏やかな笑みだった。リザはかつてこんな顔をしたロイを見た事はなかった。
「私も、ここで食事をしようと思ってね」
彼の口から紡がれたのはリザの予想した言葉とは違っていた。妙な期待をした自分を恥じる気持ちと、少しだけ残念に思う気持ちがリザの中で入り交じっていて、その時のリザは気づけなかった。ただ、ロイのその凪いだ海の様な穏やかな笑みはリザの中にほんの少しの不安をかき立てた。
今夜ロイがしようとしていた事を、そしてそれをロイが諦めて、代わりに決意した事を。この時のリザは知らなかった。もしも知っていたなら、もっとこの幸せを大事にすれば良かったと思っただろうか。
しかし、この時のリザには未来の事は分からなかった。故に、それ以上何も言わないロイにリザもそれ以上追求しようとはせず、やがて話題はまた他愛もない事へと移り……この夜は終わっていってしまったのである。


――イシュヴァール内乱における人道に対する罪、平和に対する罪――実質的にその戦争責任の罪を問う法案が議会に提出されたのはその翌日の事であった。




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by netzeth | 2012-07-22 15:42

本文終了

携帯から書き込んでみます。たった今二冊目の本文終了しました。これから校正をいたします。締め切りは来週なので多分大丈夫…出ると思われます。二冊目はコメディです。A5サイズ、多分48ページです。
入稿が終わったら一冊目とまとめて詳細をアップしたいと思います。


拍手ありがとうございます!大変原稿の励みになりました。

それではまだまだラストスパート、頑張りたいと思います~。
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by netzeth | 2012-07-19 00:52 | 日記 | Comments(0)