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お買いもの

最近お部屋を片付けてそれにともなって家具をたくさん買ってしまいました。主におさまりきらない本を収納するための本棚です。これで床積みしている同人誌をようやく片付けられる。そして、収納スペース確保でさらに買えるww とはいうものの、盛大にお買いものしてしまったのでしばらく節制しよう…・

そういえばこの前のSSに初めてオリヴィエ様を書いたのですが、彼女を書くとどうしても後ろに様、を付けたくなります。そういう人っていますよね。……バックベアード様とかww 人じゃないしww

いつも駅から見える美容院のニャンコに癒されます。この前は家の中に入れて貰えずに扉の前(美容院なのでガラスの扉)にずっと座ってました。でも中の人は忙しそうでニャンコに気づかず。ニャンコはニャーニャー鳴いていましたが、とうとう誰も扉を開けてはくれませんでした。昨日は逆。ニャンコが中で、ご家族が外。車に乗り込むところを目撃したのですが、ワンコは連れてくのにニャンコはお留守番で。ガラスの扉からじーっと出かける家族を見ているニャンコに萌えた。やっぱり連れて行って欲しかったのかな?



通販の本ご到着のご連絡&ご感想を下さったお方様、ありがとうございました!返信不要のお気づかい感謝でございます。メールありがたく拝見いたしました(^^)


拍手ありがとうございます!
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by netzeth | 2013-01-29 23:22 | 日記 | Comments(0)

日曜日終わり…

【通販連絡事項】 1/27 20:00 までに頂いたお申込みには全て確認メールを返信済みです。メールが届いてないよ~という方はご一報下さいませ。


日曜の夜が一番元気がありません、うめこです。こんばんはー。なんでしょうね、この寂しい感じ…。この土日はお部屋掃除ばっかりしてました。おかげさまでものすごく片付きました。はあ~すっきり☆

SS更新いたしました!実は前後編にするつもりはなかったのですが、文字数オーバーで一つの記事に上げられませんでしたので。はじめて文字数制限があると知ったぜ、うちのブログ…。


拍手ありがとうございます(^^)
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by netzeth | 2013-01-27 21:02 | 日記 | Comments(0)

セントラルにて~前編~

窓の外を流れていく景色はどこまでも長閑だった。
列車はちょうどセントラルとイーストシティの中間地点、緑の田園風景が広がる地域を走っている。順調に行けば昼前には予定通り中央司令部に着けるだろう。後ほんの数時間の事だ。しかし、リザは向かいに座る男の顔をちらりと伺い見るとそっと悟られぬようにため息を漏らした。
男――リザの上司であるロイ・マスタング大佐は、この列車に乗った時から変わらぬ態度と表情でそこに座っている。腕組みをしているのはいつもの格好であるけれども、そっぽを向いて、口を真一文字に引き結んでいる姿は彼が不機嫌であることの証。向かい合わせの席に座っているというのに、リザと目を合わせようともしない。いや、不機嫌を通り越して怒りさえ感じられる。そして、もちろんその怒りの理由をリザは知っていたので、こうしてため息を吐いているのである。リザはそっと己の手に巻かれた包帯に触れながら、そのきっかけになった事件について思いを馳せた。
それは東部ではそれほど珍しくもない(といっては語弊があるかもしれないが)とあるテロ事件に関する記憶である。


以前から追いかけていた東部を拠点にしているテロリストグループ。そのテロリスト達が計画している犯行を密告する文書が、東方司令部に届けられたのだ。文書には彼らが次に襲う公共施設と、その日時、そして犯行の詳細が書かれていた。差出人はそのテロリストグループの一人で、彼は情報の提供をする代わりに己の保身を願い出ていた。
ロイはまずその文書の差出人とコンタクトを取り、情報がテロリストの罠や偽情報ではなく信憑性の高いものだと判断した上で作戦を練った。事前にその公共施設から民間人を避難させ、敵方にそうと悟られない様に部隊を配置。そうしてテロリスト達を待ちかまえたのだ。
結論から言えば作戦は大成功だった。テロリスト達は内通者の存在に気づいておらず、軍の罠にまんまとハマったのだ。まさに一網打尽。ロイはその日そのグループを根こそぎ逮捕することに成功した。しかし、その作戦上でちょっとしたハプニングが起こった。罠に気づいたテロリストの一人が軍の包囲網を抜けて、逃亡を謀ろうとしたのだ。
そして、それは運の悪いことにそのテログループの首謀者の男であった。せっかくの作戦も彼を取り逃がしてしまっては意味がない。それどころか、これほどの好条件で作戦を実行しておきながらそんな致命的なミスを犯したとあっては、ロイの指揮官としての能力を問われることになる。
しかし、幸運なことにその逃亡に気づいた者がいたのだ。それこそその日、射撃手として配置されていたリザである。
高所にいたので首謀者の男の動きをいち早く察知できた彼女は、すぐに男を追跡した。この時のリザの行動はなんら間違ってはいないものだったが、間が悪いことにこの時のリザは一人であり、そして通信用の無線を切ってしまっていたこともやはりタイミングが悪かったと言うしかないだろう。
男の動きが思っていたよりも早く、そして作戦直後の混乱により他に仲間がいない状況でリザは首謀者の追跡を余儀なくされた。部隊に応援の要請をしていては間に合わない……と彼女は判断していたのだ。リザはその判断を今でも間違っていたとは思っていない。そしてリザは首謀者の男を一人で追跡し、見事に拘束することに成功した。 
しかし不覚にもその際に思わぬ抵抗に合い、手を負傷してしまった。だが、彼女の私見ではそれはたいした怪我ではなく、むしろ彼を取り逃がしてしまう結果に比べれば、ほんのささいな傷であったのだ。
結果的にリザの活躍により、作戦は無事に成功を収めることになる。同僚達からは怪我の心配をされつつもその事を賞賛され、そしててっきり上司――ロイからもその言葉を貰えるものとばかりリザは思っていた。リザにとって仕事上でロイに、「よくやった」と誉められるのはプライベートで綺麗だと言われるよりも嬉しい。
けれども。
手に包帯を巻いたリザの姿を忌々しげに見た彼は、彼女に言った。
「何故私に判断を仰がなかった。君のしたことは作戦無視の勝手な単独行動だ。あの日の君の作戦行動は射撃のみ。犯人の追跡など含まれてはいない。……二度とこんなことはするな」
普段のリザであったならば、反論することなく申し訳ありません、と詫びて引き下がっただろう。基本的に厳しい縦社会である軍では上司の言うことは絶対である。いくら不満があったとしても部下は口答えなど許されない。しかしよりにもよってロイに、苦々しい顔と口調でこんなことを言われては、リザは黙ってはいられなかった。
彼女は自分の行動は断固として間違ってはいなかったことを主張し、結果的にロイと口喧嘩になってしまったのだ。そのまま彼とは喧嘩状態になり、仕事には差し支えないように振る舞ってはいるが、ギクシャクした関係が続き、作戦が終了したら行こうと約束していた食事デートも流れてしまった。


そして今、セントラルへの出張の日に至るまでロイと微妙な空気の関係は継続中なのである。


顔も見たくない、と言ったロイの態度に辟易しながらもしかし、リザは彼にあの時のことを謝る気はさらさら無かった。自分に非は無いと信じているし、全てはロイ自身のために行ったことなのだ。それを彼に咎められるなんて絶対におかしい。
そう思いつつも、喧嘩前に二人っきりのセントラル出張が決まったと喜んでいたロイの事を思い出すと少し胸が痛む。あくまでも仕事だと諌めるリザに、それでも二人っきりなのは事実だと浮かれていた彼。仕事が終わったら久しぶりにセントラルの街でデートしようとウキウキしながら計画して、夜は覚悟しろよとか言っていた彼。
そんなロイの態度にリザだって、多少はこのセントラル出張を楽しみにしていたというのに。
リザは口をヘの字に曲げたロイの顔をまた盗み見る。
肝心の男がこれ、では期待するのもバカらしい。
重苦しい車内の沈黙とは裏腹な窓の外の景色に目をやって、リザはまた小さくため息を落とした。胸にもやもやした気持ちを抱えたままのリザを乗せて。列車はセントラルへと向かっていた。


二人の仲の善し悪しは関係なく、セントラルでの仕事はなんの問題もなしに終了した。今は挨拶周りをしているロイを待って、リザはロビーの椅子にて待機している状態である。ロイくらいの地位になるといろいろ人間関係上の付き合いがあるのは分かるので、それについては別に不満はない。むしろ出世のために、おおいに愛想を振りまいてきて欲しいものである。
それは置いておいて。
リザが憂鬱になるのは、この後の予定である。今からなら特急を使えばイーストシティに帰れない時間ではない。事実、最初はリザもそうするつもりで予定を組んでいた。
しかし、せっかく二人きりになれるのだから泊まっていこうと強行に主張したロイのせいで、出張は一泊二日の予定になっている。
本来ならばロイの知っているというセントラルの美味しいお店で夕食の約束だったのだ。だが、この調子ではその約束も反故ではないだろうか。だったらこれ以上セントラルにいる意味は無い。今からでもいいからホテルをキャンセルして、イーストシティ行きの列車の切符を取ってくるべきだろうと思う。……ロイと仲直りしたい、関係を修復したいと思う気持ちももちろんあるが、今のリザにはまだロイに対する反発が先に立ってしまって。自分が折れる気は無い。ならば行動は早い方が良い。そう思い立ってリザが立ち上がった時の事だった。
「ホークアイ?」
後ろから声をかけられてリザは振り向いた。聞き覚えのある声だが、その人物がセントラルにいる事が驚きだった。
「あ……」
そして、そこにはリザの予想を違えることない人物が立っていたのである。






 後編へと続く
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by netzeth | 2013-01-27 20:43 | Comments(0)

セントラルにて~後編~

「お帰りなさいませ、大佐」
面倒な挨拶周りを終えてようやく戻ってきた上司を、リザは表情を変えずに出迎えた。本来ならば労いの言葉の一つや二つかける場面だが、今の二人の関係ではそれも不要であろう。事実、彼はリザの言葉にも反応を見せなかった。
無言で二人中央司令部を出る。正門を抜け周囲に張り巡らされた堀にかかる大橋を渡る。その道をそのまま行けばセントラルシティの目抜き通りにと通じているはずだ。立ち止まることはせずに歩き続ける。しばらくすると、一歩半の距離を空けて斜め後ろを歩くリザを振り返らずに、コートのポケットに手を突っ込んだままロイが口を開いた。
「……中尉」
「はい」
「……この後の予定だが」
どこか言いよどむ様な彼を制してリザは言った。
「はい。私はこの後約束がありますので失礼させて頂きます。夜にはホテルに戻りますので、ご心配なく」
「約束……?」
ロイの声に不審が滲んだ。それも当然だろう。リザの先約は彼自身のはずだったのだから。ロイがリザに何を言おうとしたのかは定かではないが、リザはもうロイとの約束は無かったものと諦めていた。故に。
「ええ。この後、食事の約束をした方がおりまして」
代わりの約束を取り付けたのだ。リザの返答に思わずと言った様にロイが立ち止まった。急に止まった彼の背中にぶつかりそうになったのを、なんとかこらえて。
「なんですか。急に立ち止まらなっ……」
「……男か」
「はい?」
「その相手はまさか男じゃあないだろうな?」
力強い腕に両肩を捕まれた。彼の顔を見上げれば、その黒い瞳には強い焦りと恐ろしいまでの独占欲に満ちた光が浮かんでいた。リザはそれをあえて無視する。
「……いいえ。女性ですよ」
ロイは途端に安堵の表情を見せるが、すぐに疑問をその顔に浮かべた。
「では、友人か?……君にセントラルの友人がいるとは初耳だが」
「友人……ではありませんね」
そう言っては相手の方に失礼かもしれません。そんな風に続けたリザに、ロイはますます訳の分からないと言った顔をする。
「友人ではない?」
「はい。……あえて言いますなら、同じ道を志す同士……直接的に表現すれば上官ですね」
「女性で……君の上官? おい……まさか…」
「ええ。私をお誘い下さったのは、オリヴィエ・ミラ・アームストロング少将閣下です」
「なんだと!?」
目を剥いたロイに、リザは淡々と告げる。
「先ほど、ロビーで声をかけられまして」
「なっ、なんで彼女がセントラルにいる!?」
「私達と同じく出張だそうですよ」
「そうか……。いや、そこはどうでもいい。……アームストロング少将と食事だと!?」
「はい。折り良くこの後の予定が、あ・い・て、いたのもので」
当てつける様に言ってやると、ロイは鼻白んだようだった。しかし、すぐにリザを睨みつけてくる。
「待て、許さんぞっ。あんな人攫いと食事なんてっ! 彼女に目を付けられて引き抜かれそうになった人材がどれだけいるか……」
「仕事が終わったのならば、プライベートです。大佐の指図を受ける謂われはありません」
慌てた声で詰め寄ってくるロイを躱すと、リザはあっさりと身を翻した。彼女との食事ともなれば絶対にドレスコードのある高級な店だろう。こちらもそれなりの準備をしなければならない。
「それでは支度がありますので、私はここで失礼させて頂きます」
「ま、待て! 中尉!!」
呼び止めてくるロイを振り返ることはせずに、リザはさっさと歩き出す。少しだけロイがこの後の予定をどうする気だったのかは気にはなったのだけれど。今は、かの麗人との食事へと頭を切り替えていた。


オリヴィエに指定されていた店はリザの予想に違わず、セントラルでも一流のレストランだった。さすがは名家アームストロング家の息女である。この服で良かっただろうか……とリザは己の姿を見下ろした。急遽適当なブティックで購入したシックな黒のドレス。靴もその場にあったものを見繕ったのだが、店の格に劣るようなものではないかと心配になる。出てきた店員に案内されて入った店内はさらに豪華で。リザはその思いを深めながら、案内されるままにテーブルへと向かった。
「ああ、ホークアイ。来たか」
そこには、厳格な軍服姿から一転して美しいドレスを身に纏ったオリヴィエが既に座っていた。リザとは比べものにならない高級そうなドレスはそういう物に疎い彼女にも、質の良いものだと見てとれた。決して華美ではないが、そのシンプルさが逆にオリヴィエの迫力美人さを際だたせている。
「お待たせしてしまって申し訳ありません」
「いや。私も考えが足りなかった。仕度に手間がかかったのだろう。お前は出張で来ているんだ、服の持ち合わせなど無かっただろうに。私の手持ちの物を貸せば良かったな。そのドレスは自分で買ったのだろう? 領収証を出せ。私が出そう」
「い、いえっ。とんでもありません!」
オリヴィエの申し出にリザは強く首を振った。ドレスは今後も使えるものだから無駄な買い物では決してないし、そもそもこんな迫力美人に服を買って貰うなんて心臓に悪い。あまりに激しく首を振るリザを面白そうに見やっていたオリヴィエは、しばらくして納得したのか、
「そうか。では、ここの夕食代金は私に持たせて貰おうか。好きなだけ食べろ」
そう折れてくれたので、リザはホッとした。
食事代くらいなら上官に奢られたって悪いことはないだろう。しかしやはり心臓に悪いので、こんな高級レストランの食事代がいくらになるのかは想像しないことにする。
「まあ、とにかく座れ。ここは酒も一流のものを置いている」
そう言ってアペリティフに口をつけるオリヴィエの姿は、どうみても上流階級の貴婦人で、荒くれ者どもを統括する軍の司令官には見えない。薦められるまま腰を下ろしてグラスを持つが、どうにも緊張が先に立ってしまう。貧乏育ちのリザには、こういうレストランはどうにも落ち着かないのだ。
「どうした?」
「いえ、すいません。少し、緊張している様です」
リザの様子に気づいたオリヴィエが声をかけてくれるのに、曖昧な笑みを向けて誤魔化す。北の女傑はそんなリザに気を悪くした様子もなく、豪快に笑った。
「お前らしくないな。聞いたぞ? テログループ全員を一人で追いつめて捕らえたと」
それに比べればこんな店など大したことなかろう、とオリヴィエは愉快そうに唇に笑みを浮かべる。
「さすが東方の鷹の目。たいした武勇伝だ、と感心していた」
「そっ、そんな……」
あの事件の事がオリヴィエの耳にまで届いていた事に驚きつつも、事実とは異なる話にリザは焦った。
「私が捕らえたのは首謀者の男だけですし、それも最初から私一人で捕らえた訳ではありません」
「ああ、分かっている。噂には尾ひれが付き物だからな。だが、お前が勇敢にテロリストに立ち向かったという事実は変わるまい」
「立ち向かっただなんて……軍人として当然の事を行ったまでです。それに、その際に負傷もしております。もっと精進しなければと自分を戒めていた次第です」
「……ホークアイは謙虚だな」
そう言ってオリヴィエは、リザの手の包帯にちらりと視線を走らせた。
「傷はもう平気なのか?」
「はい。おおげさに包帯など巻いておりますが、たいしたことはありません。これくらいの負傷で臆していては軍人 などやってはいられませんから」
オリヴィエの気遣いに、リザは名誉の負傷だと言うように、笑って手の傷を掲げて見せた。オリヴィエは一瞬だけ複雑な顔をすると、目を眇めてそうか、と一言呟く。
「オードブルでございます」
その時ちょうどよく料理が運ばれてきたので、その話は一端途切れてしまった。オリヴィエの表情の意味がリザの心に少しだけ引っかかっていたが、すぐに話題は料理に移ってしまったので、追求することは出来なかった。


女性同士であるといっても二人とも生粋の軍人であるので、話題は自然と軍事関係のものとなる。昨今の周辺国との関係や国内の治安、そして戦争における戦略から戦術に及ぶまで、およそ美しい妙齢の女性が高級レストランでするには似つかわしくない話をリザはオリヴィエと交えていく。
そして、コース料理が終わりに近づくにつれてその話は白熱していった。
「その場面における兵の運用法をお前はそう考えるのだな?」
「はい。懸念すべきは補給線です。これが伸びるほどに兵は疲弊し、勝利は遠のくでしょう」
リザの言葉にオリヴィエは感心したように耳を傾けている。実を言うとこの手の話はロイの受け売りが多いので、リザにとってはロイが評価されている様で自分が誉められるよりも嬉しい。
「ふむ。やはりな。お前には大局を見通す目が備わっているようだ。以前合同演習の際に、お前が指揮をした部隊は見事な働きをしていた」
「いいえ。私の力ではございません」
それは過大評価だとリザは否定する。事実、それもやはりロイからの指南によるところが大きいからだ。リザ自身指揮をするのはどうにも苦手な部類だった。やれと言われれば出来るが、どうしてもリザには優先すべきものが存在していたから。
「そんなことはない。……お前には人の補佐よりもそういったことの方が向いているのではないか?」
しかし、リザの否定をさらに否定して、オリヴィエは食い下がってきた。
「どうだ? 私の下に来ないか? 私ならばお前の力をもっと生かせるポジションを用意してやれるぞ?」
会う度にかけられる誘い文句。この時はいつもよりも熱を込めて言われた。しかし、リザが返す答えは決まっている。
「お言葉は嬉しいですが、お断りします」
「何故だ? 己の力を存分にふるいたくはないか? その力を使う機会がないのを無念に思わないのか。私ならばお前にその場所を提供してやれるぞ」
熱心なオリヴィエの口調にも、リザはゆっくりと首を振った。
「いいえ、閣下。私はそうは思いません。何故なら、私は自分の力を使いたいがために軍にいる訳ではないのですから」
「では、なんのために軍にいる。自分の力を試したいと思うのは人の性。なんら恥ずべきことではないと思うがな」
オリヴィエの青い瞳が不満げに頑ななリザを見据える。しかし、リザは怯まずに、まっすぐにその目を逸らさずに告げた。
「私は……ある方の作るこの国の未来を後ろから一緒に見ていたい。ただ、それだけなのです」
虚を突かれた様にオリヴィエは目を見開いた。しかし、すぐにニヤリと意地悪げにその魅惑的な唇を歪めて見せた。
「隣で……の間違いではないのか? ホークアイ」
からかうように言うオリヴィエに、リザは思わず顔を赤らめた。頑固にロイの元から離れないリザの女としての想いなど、彼女にはお見通しなのかもしれない。
「そんな……」
「それにしても、よくあれが今夜の食事に行くことを了承したな。肝の小さいあれならば絶対に許さないと思って、本当はあまり期待していなかったのだがな」
あれ、とロイを呼び捨てられても、オリヴィエならば腹が立たないのだから不思議なものだ。むしろ今のロイにはぴったりの呼び名かもしれない。
「……仕事以外の事まで干渉される覚えはありませんので」
固い口調で返せば、オリヴィエがその形の良い眉を片方跳ね上げた。
「ほう、喧嘩でもしたか。珍しいな」
図星を突かれて、またも顔を赤らめたリザは思わず俯いた。あまり上司との――そして兼恋人とのいざこざなど知られたい話ではない。しかし、オリヴィエはなおも追求してくる。
「喧嘩の理由はなんだ? 話してみろ。同じ女としてアドバイスしてやれるかもしれんんぞ?」
すべて分かっているぞといった顔でオリヴィエが言う。
ロイとの関係は公には出来ないものだが、この女傑ならばロイとリザの関係を知っていてもそれにつけ込むような事はすまい。事実、今も応援するように相談に乗ってくれようとしている。……ただ単にいけ好かないロイの痛い部分でも探りたいだけかもしれないが。
「いえ……その…本当にたいした事ではないんですが……」
あまりに親身になってオリヴィエが言ってくるので、とうとうリザは喧嘩の訳を話すことにする。もちろんロイの名前はぼかして伝えたが、おそらくオリヴィエにはバレバレだったろう。
そして、リザは先日のテロ事件のあらましと、その後のロイの態度や言葉などをオリヴィエに話して聞かせた。
「という訳で私もあの人の言葉には、少し納得のいかない部分がありまして……」
リザが話終えると、オリヴィエは難しい顔をして黙り込んでしまった。てっきり彼女のことだ、ロイの事を喜々として罵ってくるのだろうかと予想していたのだが。
肩すかしを食らったような気分で、リザは無言のオリヴィエを見つめた。その視線を受けて彼女は口を開いた。
「……私も奴と同じく人の上に立ち、兵を指揮する者だ。その苦悩は分からんでもない。許せること、許せないこと、呑まねばならぬこと……いろいろある」
「許せないこと……」
「……まあ、お前の場合は、あの男のする事ならば大抵受け入れて認めてしまうだろうが」
そこで言葉を一端切ると、オリヴィエは挑むようにリザに問いかけてきた。
「では、そんなお前が許せない事は何だ。いや、言わずとも予想はつく。奴が奴自身を損なう行為を行うことだ。違うか?」
いや、違わない。全てオリヴィエの言うとおりだ。
リザの許せないこと。それはロイが道を踏み外した行為をすること。それは彼自身の尊厳を損なう事を意味するからだ。そして、もっと単純に彼がその身を危険に晒すこと。彼の立場を、何よりも命を脅かす場面へと自ら赴こうとすること。それがリザがどうあがいても容認する訳にはいかぬこと。
「図星なようだな。お前が具体的にどのような事を思い浮かべているのかは知らんが……、おそらくそれはお前の奴に対する譲れない一線だ。では、その想像力をもう少し働かせろ。そして、考えろ。そうすればすぐに分かる。お前が譲れないと思うものと同じものを、奴も持っているということが」
オリヴィエの言葉に打たれて、ようやくリザは理解した。ロイがあのような言葉をリザに浴びせてきた訳を。彼はリザが己の身をかえりみなかったことが許せなかったのだ。負傷をかすり傷だと、たいしたことないと犯人の確保に比べれば小さなことだと、そう片づけていたことが。
「指揮官ならば、お前がどんな負傷を負おうが任務を全うすればよくやったと迎えねばならん。それが上に立つ者の務めだ。時には非情を持たねば通せぬこともある。部下に怪我をするから犯人を見逃せ――なんて命令など出来はしない」
オリヴィエの言葉には上に立つ者としての厳しさがあった。彼女にもロイと同じ種類の苦悩がついて回っているのだろうか。
「だが、指揮官とて人間だ。ましてや親しくしている者が相手では。そうもいくまい。心配くらいはする……立場上それは絶対に口には出せないことだが。奴にも葛藤があるのだろう。ならば……それを分かってやるのも部下――というものではないか?」
そこでようやくオリヴィエは表情を緩める。
「ああ、すまん。恋人の間違いだったか」
「……閣下っ」
楽しげに笑うその女王様の顔を恨めしげに見やって。しかし、リザはオリヴィエに感謝していた。まさか彼女のおかげでロイの思いを知る事が出来ようとは思わなかったが。それでも、彼の抱えているものを、そして、リザがしなければいけなかった事を教えて貰えた気が、リザはしていた。


「今夜は御馳走様でした」
「いや、たいしたことじゃない、気にするな。私も楽しかったからな」
店を出たところでリザが丁寧に頭を下げると、オリヴィエは気にするなといった風に首を振った。
「ところで……この後はどうする? 良かったら店を変えて飲まないか? お前とゆっくり話をする機会はこの先そうそう無さそうだしな」
お前がブリッグズにこない限りは……なんて続ける彼女にリザは苦笑する。相変わらず懲りない女性である。
だが、これだけ己を高く買って貰っているというのは悪い気はしない。それに、彼女は軍人としても女性としても尊敬出来る人である。もっと話をしたいと言う彼女の申し出は素直に嬉しかった。しかし、リザが了承の返事をしようとしたところで。
「ちっ、迎えが来ているようだぞホークアイ。お前……店がどこだか奴に告げて来たのか」
前方を睨み付けて、オリヴィエが苦々しげに言う。その視線を辿るとその先に、一人の男が立っていた。言わずと知れたリザの唯一無二の上司である。やはり仏頂面でこちらを伺うように佇んでいるその姿に、リザの口元に自然と笑みが零れた。
「……はい。何か万が一の緊急事態があった時にと思いまして。……申し訳ありません」
「まったく。お前には頭が下がるな。本当にあんな男のどこがいいのやら……ん? まさかあっちの方がすごいのか?」
一瞬氷の女王の瞳に興味の色がたゆたった。それを見て取ったリザは慌てて叫ぶ。
「だ、ダメですっ、あげません!」
きょとんとした彼女にしてはなんとも珍しい顔をすると。オリヴィエは声を上げて笑う。
「……安心しろ。リボンをかけて贈られてもいらん」
そうして、笑いながらオリヴィエは片手を上げて去っていった。リザにそんなに大事ならばさっさと仲直りしろ、と言い残して。しばらく呆然とその後ろ姿を見送っていると、
「……何を話していたんだ」
いつの間にかロイがそばに近寄って来ていた。彼は最後に爆笑していた、珍しいオリヴィエの姿が気になっている様である。
「……別に。たいしたことではありませんよ」
それを極力感情を表に出さぬように受け流してから、リザはロイをじっと見つめた。彼は迎えに来たことを咎められたと思ったのか、
「……あんまり遅いから迎えに来ただけだ」
聞いてもいない言い訳を口にする。
その口調と態度で今の彼は自分に対して、上司ではなく一人の男として相対しているのだとリザは理解した。今ならば言える気がして、リザはロイの手を負傷したその手で握った。まだ、少し、痛い。でも、たぶん。ロイの心はもっと痛かったはずなのだ。
「大佐。心配をおかけして申し訳ありませんでした」
彼はリザが何時の何のことを言っているのかすぐに理解したようで、特に何も言わなかった。黙ってリザの言葉を待ってくれている。こういう時、ちゃんとリザの言葉を聞いてくれる彼のことが、リザは昔から大好きだった。
「もう、あんな無茶はしません。……自分のこと、大事にしますから。だから……」
ロイがリザの手をぎゅっと握り返してくる。
「……ごめんなさい」
握られたロイの手が震えた。その震えがリザに伝わってくる。
「バカ者、許さんぞ。君が負傷したと聞いて、私がどれだけ心配したと思っているんだ。生きた心地がしなかった……」
彼の罵りをリザは甘んじて受けた。
きっと、リザだってロイが同じ状況に陥ったのなら同じことを思う。ロイを詰ってしまいたくなる。その根本にある気持ちが愛情であるならば、なおさら。
「……せっかく君と一緒に食べようと思ってヒューズにセントラルの美味い店を聞いていたのに、一人で寂しく食べてきたぞっ」
ロイはなおもぶつぶつ言っているが、その声からは事件以降からずっと含まれていた苛立ちと怒りがすっかり抜けていた。リザはロイの気持ちをようやく理解できて、彼と気持ちが通じ合った気がしていた。
「ふふふ、すいません。私は大変美味しいディナーを頂きましたけど」
その言葉はロイにとって地雷だったようだ。
目元を引き攣らせた彼は、その瞬間リザの唇を奪った。濃厚で熱い口づけが彼女を襲う。こんな場所で……という抗議の言葉はその口の中に吸い込まれた。
そして。
「今夜は覚悟するんだな……」
思う存分唇を弄んでようやくリザを解放したロイは、彼女の耳元に熱い息と共に囁きかける。
女性相手でも嫉妬するんですね……という言葉を呑み込んで。まるで大事なものを持つように手を引くロイに連れられて、リザは夜のセントラルを歩いていったのだった。






END
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前編へ
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by netzeth | 2013-01-27 20:43 | Comments(0)

ウキウキの週末

週末ですよー、金曜の夜が一番元気こんばんはーうめこです。今日はお弁当のメンチカツのために持って行ったソースが醤油でした。間違えた( ̄□ ̄;)!! となったのはかけて食べてから。(遅いよ)別に醤油でも普通に美味しいんですけど、コレジャナイ感がはんぱなかったです。例えて言うなら、増田がリザたん食べようと思ったら実はハボだったくらい違う。大違いだよっ!

ただ今お部屋を大リフォーム中。大敵でありました学習机をようやく処分いたしましてスペースを確保いたしました。解体して部屋から運び出したのですが、どうしてあれはあんなに頑丈なのでしょう。かなづちにバール、のこぎりを使ってもビクともしない頑丈さ!日本の物造りの神髄を見た気がします。兄に協力を頼み2人がかりで解体しました……。こういう時、錬金術があればぱぱぱっと形を変えて持ち運べそうですよね~。


拍手ありがとうございます(^^)
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by netzeth | 2013-01-25 23:29 | 日記 | Comments(0)

月曜日は

こんばんはー。月曜日はジャムプですね。憂鬱な週の始まりの唯一の楽しみ。今週の暗殺教室。ビッチ先生が可愛い過ぎた…。烏イリいいなあ……。思わずロイアイ変換してしまったじゃないかww(何でもロイアイ変換する病なのでww)週間でロイアイが見たい。そんな夢。

お話のネタはだいたい仕事中に思いついて、だいたい仕事中に完結する。忘れないようにメモるのですが、思いついたネタ全部はメモれないのでキーワードだけを書いておく。(肝心なセリフとか)でもすぐに形にせずに放っておいて後で見返すと、???な内容が多い…。鉄は熱いうちに打て!は至言だ。萌えも熱いうちに形にしとかないと忘れる!! いまだに見てもどんな話を考えてたのか分からんのが、「幽体離脱マスタング」。ほんと、私の脳内はどんなストーリーを思い描いていたのか?

その反省を踏まえて今日仕事中に思いついた話は詳細にメモりました。でももちろん、仕事後に思い出しながらの作業なので、思いついた瞬間のあふれ出てきたセリフとか萌えシーンとかかな~り落としている気がする。……こうなったら仕事中に萌えを思いついたらアウトプットしていいことにしようよ!


拍手ありがとうございます~<(_ _)>




>1/21拍手コメントを下さったN様 お返事不要のお気づかいありがとうございます。一言失礼いたします。

ご感想すっごく嬉しいです☆ありがとうございます! うちの本も長旅のおともにお役に立てたようで、良かった(*^_^*) よろしければご感想をまたお聞かせ下さい♪ それでは素敵なご感想をありがとうございました!
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by netzeth | 2013-01-21 23:10 | 日記 | Comments(0)

夜更かし

土曜日の夜(もう日曜だけど)ということで夜更かし中。いけませんねー不健康ですねーw

まずは通販関連のことを。
通販ぼちぼちと届いておりますようで、こちらにてお礼をさせて頂きます。ご到着の旨をご連絡下さった皆様ありがとうございました<(_ _)>メール確かに拝見いたしております! 少しでもお楽しみ頂ければ幸いでございます(^^)


さて、次は更新関係を。
拍手お礼文を久しぶりに更新いたしました。気が付けば前に更新したのが10月とか。……3か月ぶりとか。一応1か月が目標なんです。有言不実行……。今回は続きもの。3つで一つのSSです。


今日は久しぶりにカレーを作ったのですが、ちょっと失敗しました。カレーを失敗とかどんだけww というのも、うちのカレーはリンゴを入れるのですが、どうも入れ過ぎたようで。すごく甘いww カレーよりリンゴが勝っちゃっているよう。フルーティにもほどがあるww もう少しスパイシーが好みなのでルーを足してみましたが…まだリンゴに勝てません。……まあ、食べられないこともないんですけど。リンゴ入りカレーというより、リンゴカレーだわ、これ。
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by netzeth | 2013-01-20 03:50 | 日記 | Comments(0)

拍手お礼ログ 21

嫌がらせ?

「グラマン閣下!」
「なあに? リザちゃん」
「司令部では名前呼びちゃん付け禁止です!」
「んもう~ホークアイ中尉は固いよね~ね? マスタング君」
「いえ、私の口からは何とも……」
「それよりも、これは何ですか!」
「何って…見合い写真だね」
「みっ!? 見合い写真!?」
「んふふ…マスタング君気になっちゃう感じい?」
「い、いえ…それは…」
「もう! 見合い写真はどーでもいいんです!!」
「……じゃあ何が不満なの?」
「見合い写真の中に大佐の写真を混ぜて置くのは止めて下さい! 毎度毎度…嫌がらせですか!?」
「い、嫌がらせって中尉…私の写真の立場は…?」
「またまたあ…そんな事言っちゃって…ワシ知ってるもんね~」
「……何をですか」
「マスタング君の写真だけ大事に取ってあるの。……他のはみ~んな捨てちゃった癖にさ」
「そ、それは…!」
「……本当か? 中尉」
「ち、違うんです! そんなんじゃないんです、大佐! ただちょっと写真映りが良かったから…手元に置いておきたくて……」
「何も違わないよ? リザちゃん……」


猫舌

マスタング大佐は実は猫舌である。
熱い物を出されると顔をしかめるのを知っている。
だけど負けず嫌いのカッコ付けだから、フーフーする姿は軟弱だ! という己の信念により、熱いのを我慢して口にしていたりする。
後で火傷した舌を痛そうに出していたのも目撃した。
だから、そんなに自分でフーフーするのが嫌なのなら、と私は思って。
ある日、軍の食堂で大佐が食べようとしていた熱々グラタンをフーフーしてあげたのだ。マカロニをフォークに刺して。そしたら大佐は顔を赤くして口をパクパクさせていた。
気のせいか周囲がざわめいていた気がする。
大佐が何をするんだ! 君は! とわめくから、これも副官の勤めですって返した。
すると大佐は二の句が告げなかったらしく、口をポカンと空けたので、私はそこにフォークを突っ込んだ。
それ以来マスタング大佐の猫舌と、フーフー副官の名前が司令部中に知れ渡ったのけれども。
私、何かまずい事したかしら?


花束を彼に

珍しく日が高いうちに仕事を終えたリザは、久しぶりに市場でも覗いて帰ろうかとイーストシティで最も賑わう区画へと足を伸ばしていた。
足にじゃれつく様に歩く子犬を諫めながら、露店が連なる通りをゆっくりと歩いていく。頬に当たる秋の風は優しい温度をしていて、ついつい長居をしてしまい、気がつけば辺りは薄ぼんやりとした青色の闇に包まれつつあった。次々に灯った明かりが市場を照らしていて、その活気は衰える事は無かったが、そろそろ帰ろうかなとリザは足を止めた。
「キャウん…」
すると跳ねる様に先を行っていたハヤテ号がリードが動かないのを見てとってリザを振り返った。
「ハヤテ号?」
子犬はどうして動いてくれないの? という顔でリザを見上げてくる。そのソワソワした様子に、何かこの先に子犬の興味を惹くものがあるのだろうか…とリザは
不思議に思った。
結局、ハヤテ号のしたいようにリードを 持ってリザは再び歩き出す。すると子犬は数歩先の露店へと一目散に駆けて行く様子である。
「あら、可愛いワンちゃんだこと。いらっしゃい、お嬢さん」
リザの目の先には色とりどりの花が並べられていた。早速その花々の中に鼻を突っ込んだハヤテ号がフンフンと鼻を動かしている。
「こら、ハヤテ号ダメよ!」
「クウン…」
慌ててリザが叱りつけると、子犬はゴメンナサイとでも言わんばかりにシュンと頭を垂れた。
「ははは、いいよ、お嬢さん。そこに置いてあるのは売り物じゃなくて処分するやつだから。きっとワンちゃんもお花の良い匂いが気に入ったのさ。ね?」
花屋のおかみさんは豪快に笑って、萎れているハヤテ号の頭を撫でてくれた。
そう言って貰えてリザもホッとする。
改めて店内見ると、ずいぶんといろんな花を取り扱っているらしく、中には名前も知らない花々が幾つもあって、思わずリザの視線は惹き付けられてしまった。
「綺麗なお花ですね」
思わずこぼれ落ちたリザの素直な感想に花屋のおかみはすかさず、
「あら、嬉しいね。どうだい? 良かったら買っていかないかい。サービスするよ」
といった商売人らしい調子の良い営業トークを口にする。
それに苦笑しながらも、リザはおかみの言葉に乗せられて、花を買って行こうかという気分になっていた。
どの花が良いだろうか、と思案する事しばし。
その花屋に置いてある花はそのどれもが美しく、可愛らしく、可憐で、あれもこれもとリザは目移りしてしまう。いっそ気に入ったもの全てを購入してしまおうかとも思ったが、リザの部屋に飾るには多すぎるし、第一自分の狭苦しい部屋に置いておいてはせっかくの綺麗な花が勿体無い気がする。
もっと広く花が見栄えがするような部屋ならともかく……とそこでリザの脳裏に浮かんで来たのは、無駄に広い癖に飾り気が無く、ガランとした物の乏しい部屋だった。
――そうだ。ロイの部屋に飾ろうか。
彼の部屋なら広いからあちこちに置けるし、何よりあの無味乾燥な部屋に彩りを添えてくれるに違いない――それはとても素晴らしいアイデアに思えた。
とそこまで考えて、しかし同時に萎れたままの花が放置される絵が思い浮かびリザは顔をしかめた。
ロイの事だ、花瓶の水などマメには変えないだろうし、花が萎れてもきっとそのままにしてしまうだろう。そうなると、リザは度々花の手入れにも行かなくてはならない。ただ花を持って行けば、終わりではないのだ――。
そこでリザはまたもはたと気づく。
花を口実に頻繁に相手の部屋に上がり込むなんて誰かさん――花を贈ってやる当の本人と同じ手口ではないか。
己の思考回路と、とろうとしていた行動を省みて、リザには何とも言えない恥ずかしさが込み上げてくる。
――これではまるで自分がロイの部屋に行きたい…と思っているみたいだ。
「どうだい、お嬢さん?気に入る花はあったかい?」
おかみの声にリザは我にかえった。赤らんだ顔を隠すように少し俯くと。
「あれと、それと、あちらとこちら、それからこの花を下さい……」
結局、リザは目についた花を全て買い込んだ。欲しいのだから仕方がない。そして花を買い過ぎてしまった自分がロイの部屋に向かうのも仕方がない事だと己に言い訳しながら。

そして、両手いっぱいの花を抱えてリザは歩く。心なしか弾む様なその足取りに、子犬がじゃれつく様について行く。
滅多にないリザからの訪問を彼はどう思うだろうか。
恥ずかしさと面映ゆさと少しのワクワクを胸に抱えてリザは足を早めた。
驚くだろう彼に言う言葉は、もう、決めている。

「毎度ありがとうございます。ごひいきの花屋です」




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by netzeth | 2013-01-20 03:27 | Comments(0)

拍手お礼ログ 20

イーストシティ午前二時 1

ケイン・フュリーはシャワーを出ると、濡れている髪をタオルで拭いながら、空いた片手でラジオのスイッチを入れた。趣味が高じて自作してしまったお気に入りの一品である。
チャンネルはいつも合わせているイーストシティのラジオ局。
「やあ、リスナーのみんな、まだ起きているかーい? イーストミッドナイトチャンネル、まだまだハイテンションでいくぜ? さあ、次のコーナーはお馴染みパーソナリティサムがお送りする深夜二時テレフォンお悩み相談室だ!」
流れてきた明るい男の声に、フュリーは良かった間に合ったと安堵した。
最近フュリーがはまっているラジオコーナー。それはリスナーの悩み相談の生電話にパーソナリティのサムが答えるといったものだ。サムはとにかく陽気な男なので、アドバイスもとことん前向き。そんな彼に話を聞いて貰っているうちに相談者もいつしか元気を取り戻す――といった風で、その内容は聞いているだけで愉快である。
しかし、とても面白いのにこのコーナーの知名度はいまいちで、フュリーは思わず職場で宣伝活動をしてみたりした。といってもちょうど話をしていた上司に世間話程度に話しただけであるが。幸いにも話しをした直属の上司は興味を持ってくれたようだった。
「今夜の迷える子羊ちゃんは誰かな? このラジオを聞いているみんな、じゃんじゃん電話をかけてくれよ? 電話番号は×××ー×××ー××××……お? OK。今日の相談者からの電話がかかったようだ」
「……もしもし?」
「へーい、こんばんは。サムのお悩み相談室にようこそ。さて、まずは君の名前を聞いておこうか。ああ、もちろん仮名でかまわないぜ? それに安心してくれ。音声は変えてあるから君のプライヴェートは完璧に守られる」
「ああ。私は……そうだな、ミスターMとでも呼んでくれ」
「OK。ミスターM。電話をしてくれて嬉しいよ。では、早速だが君の悩みを伺おうか?」
「……恋愛相談なのだが」
「オウーケイ、ミスターM。俺の得意分野だぜ? で? 君の心を掴んで離さない罪作りな女性は一体どんな子だい?」
「実は……職場の部下なんだ」
「オ~ウ、社内恋愛か! いいね、いいね。……という事はミスターM。君の悩みというのは彼女が部下である事に起因しているのかい?」
「察しが早くて助かるよ、サム。……部下であるせいでどうにも手を出しあぐねているんだよ」
「ふんふん。気持ちはよ~く分かるぜミスターM。ヘタに手を出してもしうまくいかなかったら、ギクシャクしてその後の仕事に影響してしまう……なんて考えているんじゃないかい?」
「……驚いたな、そこまで分かってしまうものなのか」
「はは、俺も伊達に毎晩悩み相談を受けている訳じゃないぜ?……そんな俺からミスターMにアドバイスだ。いいかい? もしうまく行かなかったらなんて考えるのはよせ。失敗した時の事なんて考えるな。とにかくガンガン行くんだ」
「だが……正直その女性に会えるのは職場だけだ。しかも、職場以外の場所に誘ってもなかなかOKして貰えない。ガンガン行こうにも行けない状態なんだ……」
「なら職場でガンガン迫るんだ、ミスターM。時と場所なんて気にしてたらうまくいくものもうまくいかないってもんだぜ?」
「職場でか!?……しかし、職場でそんな事したらセクハラだろう」
「ちっちっちっ、ミスターM。発想を逆転させるんだ。いいかい? 確かに彼女に気がないのに職場で迫ったらセクハラかもしれない。だが、もし彼女も君を憎からず思っているのならばそれはセクハラではない! 迫ってみてセクハラで訴えられたら彼女には気が無し、脈なし、諦めるしかない訳だ。そして、そうでないならうまくいく。これで、万事解決!!」
「……それは確かに一理あるが……だが、もし彼女が私を好きでなかったら私はただのセクハラ男にならないか?」
「ミスターM。男の人生には勝負しなければならない時があるんだ。一世一代のギャンブル! それをしてこそ真の愛を勝ち取れるってものさ!」
「……そうか…そういうものなのか……」
「ああ、そうさ! さあ、ミスターM! 明日から彼女に猛烈アタックだ! ガンガン行け!! 彼女が泣いても、逃げても、押して押して押しまくれ!!」
「ああ。分かったよ、サム! ありがとう大変参考になった」
「役に立てて良かったよ、ミスターM!」


次の日の朝。
フュリーは朝っぱらから銃を構えて発砲する上司(金髪・女性)とそんな彼女にもぜんぜんメゲず怯まず果敢に何度でも立ち上がりまるでゾンビの様にすがりつき交際を迫る上司(黒髪・男)を目撃したが、しばらく一考したあげく、彼は気のせいだと思う事にした。


イーストシティ午前二時 2

イーストシティ午前二時。
フュリーは時計を確認すると慌ててラジオのスイッチを入れた。つい機械いじりに夢中になっていて時間を忘れていたが、今夜もこのコーナーが始まる時間となったのだ。
「さあ、今夜も楽しく行こうぜ? サムの深夜二時テレフォンお悩み相談室だ! みんなのおかげで大人気のこのコーナー。電話が繋がりにくくなっているみたいで、悪いな。だが諦めずにガンガンかけてくれよ? さあ、今日の迷える子羊ちゃんは誰かな?」
少し前まで地味で認知されていなかったこのコーナーもだんだんと口コミで広まって、今となってはイーストミッドナイトチャンネルの人気コーナーとなった。なんとこういうラジオ番組にあまり興味もなさそうな上司(金髪・女)も毎晩聞いてくれているのだという。初期からのリスナーのフュリーとしては嬉しい限りだ。
「……もしもし」
「お? 電話が繋がったようだ。さて、まずは名前を名乗ってくれ」
「ミスターMだ。久しぶりだな、サム」
「ミスターM?……お~う、ミスターM!! 覚えているぜ! 職場恋愛の相談をしてきたミスターMだろ?」
「そうだ。そのミスターMだ」
「久しぶりだね、元気にしてたかい?」
「ああ、おかげさまで」
「それで? また何か新たな悩み事が出来たのかい?」
「ああ。それもそうなんだが。まずは礼を言わせてくれ。あの後、君のアドバイスのおかげで例の彼女とうまくいく事が出来た」
「コングラッチュレイション! おめでとう、ミスターM。俺のアドバイスで幸せになったのなら、こんなに嬉しい事はないよ」
「ああ。全ては君のおかげだと思う。感謝しているよ。……そこでなんだが、またいろいろと問題が持ち上がってね。ぜひとも君の意見が聞きたいと電話したんだが」
「お~う、幸せな今の君にも悩みがあるのかい?」
「……確かに幸せだよ。何しろ彼女はとっても可愛いんだ。口を酸っぱくして仕事とプライヴェートは分けろと言われているんだがね、ついつい可愛くて職場でちょっかいを出してしまうんだ。そのたびに大佐のバカって怒られるんだが、その怒った顔もまたキュートでね、少し頬のあたりが膨れるんだ。そのあたりをつつくとぷにぷにとしててそれもまた可愛い。それで余計にまた叱られる訳なんだが。それでもなんだかんだ言って最後にキスをすれば彼女はご機嫌を直してくれるって訳さ。その鳶色の瞳も光を集めた様な金の髪も全部が全部美し過ぎて私は仕事が手につかなくて困っているよ……(以下二十分くらい恋人自慢が続く)……まったく、リ…彼女はこの世に舞い降りた天使…いや、女神だな」
「………………それで、ミスターM。君の悩みは彼女が美し過ぎて仕事が手に付かないって事なのかい?」
「いや…それもあるが、実は問題はもっと他にあるんだ。実はリ…彼女は恥ずかしがりやでね、どうにも私との恋人同士のやりとりにあまり積極的になってはくれないんだ。例えば…恋人同士なら一緒にお風呂に入るのも当たり前だし、裸エプロンだって、職場プレイだって全部当たり前だっていうのに、なかなか嫌がってしてくれないんだ。特に私の夢は執務室のデスクの上にリ…彼女を寝かせてその金髪が黒い机に広がるのを見ながら彼女を堪能する事なんだが……だが、彼女にそれを言っても「大佐、寝言は寝てから言ってください」とまったく聞く耳を持ってくれないんだ……なあ、どうしたら彼女はもっと私との甘い逢瀬に応じてくれるだろうか? あ、あと、私は彼女をファーストネームで呼びたいんだが、それも恥ずかしがって了承してくれないんだ。そこで、ちゃん付けをしてみようと思うんだが、リザちゃん、とリザたんではどっちか良いと思うかね?」
フュリーがあ~あ、とうとう言っちゃった……と思った瞬間。ラジオから聞こえてきたのは銃声だった。
「……リ…中尉!? こんな時間にどうし……あ、もしかして私が恋しくて恋しくて仕方がなかったのかね? ははっ、仕方のない子だな……いいとも今夜は私がじっくり君を慰めてあげ……のわああああああ!!」
「もう、本当にもう!! あなたなんてあなたなんてもう!! 知りません!! バカ! むのおおおおおお!!」
続けざまの銃声に悲鳴、そして断末魔。
音声を止めろ! 音楽行け!! という複数人の慌てた声を挟み、ラジオからは軽妙なジャズが流れ始めた。
ジャズが終わるとすぐさまサムが先ほどは不適切な音声が入りまして誠に申し訳なく…などとお詫びの言葉を述べている。それを聞きながら、フュリーはこのコーナーきっと打ち切りだよね……と心底残念に思うのだった。



微睡

今日は遅くなるから先に寝ていてくれ、と言われたにも関わらずリザはいまだ食堂のイスに座って頑張っていた。
今日は父のお弟子さんであるロイ・マスタング少年がホークアイ家を訪れる日だ。ところが夕刻、実家で少し問題があったから最終の汽車に乗る。とロイから連絡があった。先に戸締まりをして寝ていてくれとも。
父はロイの事なら錬金術で勝手に入ってくるだろうから放っておけと言ってさっさと自室に閉じこもってしまったが、リザははいそうですかと眠る訳にはいかなかった。
せっかく腕によりをかけて作った夕食も食べて貰いたいし、どうせ食べるならきちんと暖かい物を食べて貰いたい。今夜はとても冷える事だし。
壁掛け時計を見上げるともうすぐ0時をさそうとしている。0時なんて大人ならばまだまだ夜の内に入らないだろう。なのに、自分はもう目が開かない、瞼が重い。リザは心底お子さまな自分が情けなくなった。それでも、いくら自分を情けなく思おうとも眠気はちっとも去ってはくれなくて。とうとうこっくりこっくりと船をこぎ始める。
半分起きて、半分寝ているようなぼんやりした状態。すると遠くでリザ…と呼ばれたような気がした。
誰……? マスタングさん? お夕飯できてるから……暖めきゃ……今日はマスタングさんの好きなビーフシチュー…なんですよ……
リザはそうしゃべったつもりだったけれど、どうも口がうまく回っていない気がした。それでも、分かった、ありがとう…という苦笑したような返事が返ってきた。
それに安堵していると突然体がふんわりと浮いた。驚きよりも心地よい感覚にリザは夢見心地になる。
マスタングさんの匂いがする……。
頬が何かにあたっていてそこから暖かい温もりと大好きな匂いがして、リザは嬉しくなった。
ん……好き…。マスタング…さん…の匂い…。
うっとりと頬をすりすりとその何かに擦りつけると、それはびくりっと反応していた。それがなんだったのか、今のリザには分からない事だったけれども。
そして、優しい温もりに包まれながらも少女の体はベッドへと運ばれていったのだった。

次の日。
リザはベッドに入った記憶がない事と、いつの間にかやってきていたロイに驚き、そしてなぜか顔を赤くして目を合わせてくれない彼の態度を不審に思うのだった。





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by netzeth | 2013-01-20 03:20 | Comments(0)

わっふー

こんばんはー。今日は急に朝早出を申しつかったのでお弁当が作れませんでした。仕方ないのでお昼を買いにパン屋に行ったらたま~にしかないふわふわワッフルが!わ~いワッフーだあヽ( ´¬`)ノ←こんな感じで買ってきてもぐもぐ食べました。ワッフルの生クリームサンドなのです。ベルギーワッフルみたいにワッフル自体に味が付いているとちょっと甘すぎですが、ここのは生地に味がないので生クリームとの相性が最高!早出して良かった~~。

部屋にある使っておらず物置と化している学習机を処分して、収納を増やそうと決意してから一年が経ちました。去年の今頃、暖かくなったら片づけてやろう…とか思ってた気がします。机の上には今段ボールが8つほど適当に乗っております…。とにかくこれをどけて収納を増やさないことには部屋が片付きません。既に収めきれない本やら本やら本やら服やらが部屋の床を陣取っているのです。……本ばかりやな。

今まではとにかく適当に収納するもん買ってきてから中に収めていた気がします。(そして収めきれない)この反省点を踏まえて、次に買うものは中に入れなければならないものをリストアップして、それを収めきれるものを買おうと思います。そういう訳でいろいろ仕舞いたいものを書きだしているのですが。……収めきれる収納なんてあるのかいな…というくらい膨大な量だーー(;´∀`)

もうベッドはあるので買えないのですが、ニトリ?か何かのCMでやっているベッドと収納と机が一体になっているの、あれ、良いなあ。お値段もお手頃だし。私が部屋の家具を買った頃はあーいうの無かったもんなあ……。本屋で買ってきた家具通販の雑誌で欲しい家具があって、でもうちの地域が配達してくれるか微妙だったんで電話したら、「うちをご利用するのはやめた方が……」とか、今なら信じられんような返答されたっけ。泣く泣く近所の家具屋で妥協したww 



拍手ありがとうございます(^^)
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by netzeth | 2013-01-16 22:35 | 日記 | Comments(0)