うめ屋


ロイアイメインのテキストサイト 
by netzeth
プロフィールを見る
画像一覧

ありがとうございました!

昨日は帰宅してあまりの眠さにそのまま爆睡してしまったうめこです、こんばんは。

改めまして、冬コミにて当スペースにお立ち寄り下さった皆様、ありがとうございました! 沢山の方に本を手に取って頂けてとっても嬉しかったです!また、お声をかけて頂いたり、差し入れを頂いたりと本当にありがたく……!(留守にしていた時に来て下さった方、申し訳ありません~;;)
皆様にお元気を頂きました(*^_^*)ありがとうございました!

さーこれから年賀状書きます。もうギリギリですねww



拍手ありがとうございます!
 
[PR]
by netzeth | 2013-12-30 22:01 | 日記 | Comments(0)

冬コミインフォメ

サークル名 うめ屋
スペース 西1 ね-19b

【新刊】

◆「ever green」 オンデマンド/A5/P52/R‐18/¥500

◆「恋のはなし。」 オンデマンド/A5/P40/R‐18/¥400


【既刊】


◆「Dear my sweet home」 オンデマンド/A5/P52/R‐18/¥500

◆「プラトニックで淫らな愛」 オンデマンド/新書/P36/R‐18/¥300

◆「BAD COMMUNICATION」 オンデマンド/A5/P112/R‐18/¥800

◆「Web再録本 01」 オンデマンド/新書/P242/全年齢/¥800

◆「Web再録本 02」 オンデマンド/新書/P248/全年齢/¥800

◆「Web再録本 03」 オンデマンド/新書/P252/全年齢/¥800



各本の詳細はこちらからどうぞ。


※大人向け(R18)の本がございますのでお嫌いな方はご注意下さい。18歳未満の方はごめんなさい。
当サークルの頒布物はR18指定を含むものもございますので、お買い上げの際年齢確認をさせて頂く場合がございます。あらかじめご了承下さいませ。年齢が確認出来る物をお持ち頂けると幸いです。


明日はとても寒くなる模様です。お天気は晴れのようですが、皆様暖かくしておいで下さい(^^)
[PR]
by netzeth | 2013-12-28 20:27 | 日記

メリクリ

クリスマスですね、メリクリメリクリ。クリスマスケーキが食べたいのですが、一口で気の済む私にはホールケーキは宝のもちぐされ。猫に小判。甘いもの好きなんですけど沢山は食べられない。途中で嫌になってくるんですよねー。あれ? これって甘いもの苦手なのか? でも、最初の一口は幸せなのだよ。

もう今年も一週間切ったとか何それ。何もしていないよ。でも、お部屋はちょっと片付けた! うん、片付いた! とりあえず脱ぎっぱなしだった服を畳んで仕舞って床を発掘しました。 その際にテレビでハンガーを揃えるといいと聞いたので、今流行の?薄くてずり落ちないハンガーをまとめ買いして来ました。すごい、これ。クローゼットの洋服かけが半分くらいスペースが空いた!今までクリーニングで付いてきたハンガーそのまま使ってたからなあ…バラバラの。もう少し本数が欲しいのでまた買ってくる予定。おすすめです。

拍手お礼文を更新しました!今回はみんなギャグなお話ですね。実は拍手お礼文は会話だけで成立させよう!という文章をよく書くのですが、これ非常に難しいです。キャラに地の文みたいな事言わせるわけにいかんし……、確か、まおゆう?か何か、会話だけで成り立っている小説ありませんでしたっけ? すげえと思います。



拍手ありがとうございます(^^)
[PR]
by netzeth | 2013-12-25 01:15 | 日記 | Comments(0)

拍手お礼ログ 26

渇きにオアシス


「暑いな……」
あの砂漠のイシュヴァールの地に比べれば何という事も無いはずだったが、やはり真夏の演習は辛いものがある。
滴り落ちる汗を拭って、ロイは空を見上げた。太陽は中天を過ぎた辺り。これからがちょうど午後の一番暑い時間帯だろう。
演習場をフルに使っての軍事演習。南のジャングルめいた地形を模したそこは、気候まで似るのか酷く湿気がある。
指揮官用本部テントの日陰の中に居るというのに、だらだらと流れ落ちる汗をロイは止める事が出来なかった。
絶え間なく喉が乾いて、その度にロイは傍らにある軍用の水筒をあおった。
暑い地域では水分補給は重要である。もちろん演習を行う兵達にも十分な数の水を持たせていた。
それでも次から次へと飲んで行けば、いつかは水が尽きるのも道理な話で。
「遂に切れたか……」
ロイの水筒からは逆さまにしても、もう一滴の水も落ちては来なかった。
「俺のを飲みますか?」
ロイの呟きを耳にしたのだろう。ちょうど本部テントに来ていたブレダが声をかけてくる。
「いや、いい」
せっかくの好意だが、我慢出来ない訳ではなかったのでロイは断った。自分は日陰のテントの中で指揮をとっているだけだ。炎天下で演習を行っている兵達に比べれば、どうという事もないだろう。
「お前はこれからこの暑い中にまた出て行くんだろう。水は必須だ、大事にとっておけ」
「あの、でしたら……」
すると、それまでの会話を聞いていたらしいリザが遠慮がちに口を挟んできた。
「大佐、私のをどうぞ」
蓋を開けてリザがロイに水筒を差し出して来る。
「私も本部テントにずっと居ますし、それほど喉は乾いておりませんから」
しかも、ロイが気を使わぬようにと言い添えてきた。
もちろんロイはリザの分も断る気でいた。喉が乾いたくらいで部下達にいたわられる、軟弱な司令官では在りたくない。
しかし。
続いたリザの言葉にロイの脳内は180度意見を翻した。
「私の飲みかけで申し訳ありませんが……」
いや、むしろ。願ったり叶ったりだ!
……という快哉の声は己が内にだけになんとか留めて。
「飲もう」
ロイは正直に欲望を口にした。無論、水を飲みたいというものでは無い。
そして涼しい顔でロイはリザの水筒に口を付ける。
自分に突き刺さる、ブレダの呆れを通り越した、生ぬるい視線だけが痛かった。



だだ漏れ


仕事の合間のほんのちょっとした休息時間。気の置けない仲間達が雑談に興じているのは東方司令部の日常風景だ。
「好きな色は?って聞かれたからさ、俺正直に答えたんだよ。空の青が好きだって。そしたらさあ…彼女が悲しそうな顔でマフラーを出してきたんだよ。真っ赤なやつ。しかも手編みだなあれは。それで、『ジャンは明るいイメージだからきっと明るい色が好きだと思ったのに』って言うからさー、いやいやいや赤も大好きだよって慌ててフォローしたんだよ。でも、彼女自分に気を使わなくて良いのにって、その後お互いに気まずくなってさあ……俺、どうすれば良かったんだよ? 彼女が赤をチョイスしたって知ってたらもちろん、赤が好きだって答えたさ。だけどさ、そんなん超能力者じゃないと分かんねえよなあ」
そして金髪の男――ジャン・ハボック少尉が恋愛事の愚痴を言っているのも日常風景である。
「もっと他に言いようがあったんじゃねえか? 相手の意図くらい予測しろよ」
「でも、僕もその状況に置かれたらきっと自分の好きな色を正直に答えてしまうと思います。フォローも上手く出来ないだろうし……少尉は悪く無いですよー」
ハボックの愚痴に付き合って、ブレダやフュリーといった面々が意見を述べている。彼らにとってもハボックの恋愛話は話の種としてお馴染みであるようだ。
「おい、相手のお嬢さんはブルーアイか?」
その時唐突に口を挟んだのは彼らの上官である。傍らで聞いていたが話には加わっていなかった彼――ロイだが、何か思う所があったらしい。
「そうッスけど」
「ならば、そもそも青が好きだと言う時に、君の瞳の色だから青が好きだと言えば良かったんだ」
「なるほど! それなら彼女悪い気はしませんよね。用意したマフラーの色と違ってもがっかりしないかも」
ポンとフュリーが感心したように手を打つ。それに頷いてロイは更に続ける。
「赤も好きだとフォローした時も、彼女にちなんで好きだと言えば良かったんだ。君の可憐な唇と同じだから赤も好きだとな。それならば説得力もあるしお前が気を使った訳ではないと彼女は信じただろうよ」
「さすがですね、大佐……」
ロイの意見にその場に居た一同は感心する。女性を良い気分にさせ、かつその場を切り抜ける事の出来る機転の利いた答えだ。
伊達にプレイボーイを名乗って無いよな……とハボックはいたく感心した。
「何のお話をされているんです?」
男達の雑談に涼しげな声が投げ込まれたのはその時だ。
彼らは一斉に振り返る。背後にはいつの間に近づいて来たのかお茶を乗せたトレイを持つリザの姿があった。
「ずいぶんと盛り上がっている様ですが」
ロイやハボック達のデスクにカップを置きながらリザが尋ねてくる。
「あー…いや、その…大した事ではないんだ…そのっ、色っ、好きな色の話だ。なあ、ハボック?」
女性に造詣が深い自分をリザには極力見せたくないのか、ロイが必死に話題を変えた。
あながち違ってもいないのでハボックは素直に頷いてやる。(まあ余計な事を言ったらどうなるか分かっているんだろうなというロイの視線に突き刺されたからでもあるが)
「そ、そうッス。何色が好き?って言う話ですよ。俺は青で……」
「私は金だ。もちろん、君の美しい髪色だか…」
「そうですか。やはりお金は大事ですよね」
ハボックに垂れた説教を早速有言実行しようとしたロイだったが、リザは彼の言葉を最期まで聞いていなかった。彼女の中では、金色=お金=大事という図式が身に染み込んでいるようで、しきりにうんうんと頷いている。
情けない顔をしているロイには気づいていないようだ。ハボック達が笑いを堪えていると、ギロリとロイに睨まれる。
慌てて場の空気を変えようと、今度はフュリーがリザに話を振った。
「ちなみに中尉は何色が好きなんですか?」
「私? そうね、黒かしら?」
「へ~どうして黒が好きなんです?」
「え? だって大佐の髪と瞳の色だから。何にも染まらない良い色ね、黒って」
……大佐の中尉好きは普段から全開だだ漏れだが、中尉も大概だだ漏れだ…とハボックは頭を抱えた。
自覚無しにプレイボーイであるロイを翻弄するのだから彼女はたちが悪過ぎる。
顔を赤くして固まる案外純情なロイと、自分の発言の意味に気づいていないリザを眺めながら、ハボック達部下一同は顔を見合わせて苦笑いするのだった。



妹的存在


「なあハボック。もしも妹のように可愛がっていた幼なじみの年下の女の子がセクシーボインな美女に成長したらお前はどうする?」
「大佐がそんな愚問をおっしゃるとは俺、驚きです。そんなん決まってるじゃないッスか。速攻告白して付き合います。常識ッスよ」
「お前の常識とやらがどうなっているのか少々心配になるが……やはり、そういうものか?」
「ええ。但し、これは相手の子に対して自分が憧れの対象であった事が絶対条件です。幼い女の子はちょっと年上のお兄ちゃん☆みたいな男に好意を持つもんなんですよ。父親とはまた違う異性としてですね」
「ヤケに詳しいなお前……」
「や、うちの姉貴がちょうどそんな感じで。近所のにーちゃんが好きだったんスよ。でも相手のにーちゃんは今思い返してみるとイケメンでも無い冴えない感じの男でしたけど。つまり、幼き日の憧れってやつは対象が美化されるんス! あばたもえくぼ、狙い目です」
「なるほど…」

「という訳らしいが。君にとって私は憧れのお兄さんだったかい?」
「どうしてとっくに手を出した相手にそれをきくんですか……」
「や、手を出されて抵抗しなかったのはやっぱり憧れのお兄さん相手だったからかなあと」
「違いますよ」
「え? 違うのか?」
「何で意外そうなんですか。自信満々ですか?……私はあなたを兄と思った事も妹のように可愛がられたいと思った事もありません。……むしろ嫌でした」
「嫌だったのか…それは残念だな。私は兄弟が居なかったから、君が可愛くて可愛くて仕方なかったんだがなあ……ちなみに何故嫌だったんだ?」
「最初から嫌だった訳じゃないんですよ。ただ……」
「ただ?」
「兄妹では結婚出来ないと聞いたので。それから嫌になりました」
「…君、時々無意識無防備に可愛くなるよなあ……」




********************************
[PR]
by netzeth | 2013-12-24 23:17 | Comments(0)

部屋が。

部屋が汚すぎて恐ろしいYO!なうめこです、こんにちは。大掃除なにそれ美味しいの?もう足の踏み場どころかベッドの上まで物であふれているYO!このままじゃ寝られないよYO!昨日は床でぬぎっぱの服に埋もれて寝てしまったYO!えー今から快適な部屋にすべく片付ける所存です……掃除機もかけよう。

本当は昨日の夜やろうっかなーと思っていたのにうっかりおおかみこどもを見てしまって、そのまま寝てしまったい。おおかみこども面白かったです。個人的に雪ちゃんとあの男の子のその後が気になります。

もう冬コミまで一週間になろうかというのに、全然まったく準備していないですよ。部屋を片付けたら荷造りしよう。早めにやっておけば足りないものも買いに行けるし、忘れ物もなくなるよね…。

冬コミ新刊に2「恋のはなし。」の方もとらのあなさんの方で予約が始まりました。とらのあな ご利用をご検討のお方様はよろしくお願いいたします。


拍手いつもありがとうございます(^^)
[PR]
by netzeth | 2013-12-21 15:56 | 日記 | Comments(0)

いろいろと

リカちゃんとハローキティがコラボという記事がリザちゃんとハローキティがコラボと見えた私はもうダメだと思いました、うめこです。こんばんはー。そんなん増田が関連商品買い占めるんじゃない?ブラハキティとか出て欲しい。もう犬だか猫だか何だか分からないよ!

さて、えっちらおっちら書いていた冬コミ新刊2冊目を入稿しました。トラブルが無ければ出ると思われます。のでオフラインの方に詳細を上げておきました。こちらはほのぼのラブコメな感じ? もう…本当にね、もう少し早く取り掛かればいいのに私、と痛感した2冊目。おかげで宅配搬入に間に合わない。自力で持って行きます…はー車でビッグサイトまで乗り付けたいww
 

自家通販を休止させて頂きました。ご利用下さったお方様方、ありがとうございました。再開は年明けを予定しております。



拍手ありがとうございます!

以下続きから拍手コメント(12/15分)のお返事です。

続き
[PR]
by netzeth | 2013-12-16 23:31 | 日記 | Comments(0)

冬コミ新刊2 恋のはなし。サンプル

女性という生き物は恋をすると更に饒舌になる生き物らしい。
久しぶりに士官学校の同期達(女子限定)と顔を合わせた私を待っていたのは、恋人が出来たと嬉しそうに報告する彼女達のマシンガントークだった。
「それでね、マークったらね…君の方が可愛いよって…、きゃあっ」
「あら、いいわね。うちのセドリックなんてさー仕事仕事で、全然デートが出来なくてさー」
「あ~あんたんとこ軍部内恋愛だもんねー。でも、逆に一般人と違ってあたし達の仕事にも理解があるわけでしょ?」
「まあ、そうね。スクランブルが入っても文句は言われないし」
「それならいいじゃない。あたしんとこは彼、普通の会社勤めだもん。生活時間が合わなくてデートするのも一苦労よー」
――どうしよう。会話に入れない。
士官学校を卒業して一年と少し。それぞれ東部の主要な都市の司令部へと配属が決まって、なかなか会う機会も無くなってしまった彼女達と久しぶりに会える……と楽しみにしていたけれど、再会して早々に私は疎外感に苛まれていた。
それぞれ軍人としての生活をスタートして、皆忙しい毎日を送っているのだろうとは思っていた。環境も変わり、それなりの苦労も重ねて、精一杯に生きているのだろうと。だから、今夜私は、そんな近況報告や過去の思い出話に花を咲かせようと思ってはりきっていたのだが。今、どうにも居心地の悪い思いを味わっている。
同期生達が語るのは仕事の話でも士官学校時代の話でもなく、彼女達の恋愛話ばかりである。それが悪いとは言わないが、そればっかりとなると私は話題に加われなくてとても困ってしまう。
「ちょっと、何よ、リザ。あんたさっきからチビチビチビチビカクテル舐めて、バクバクバクバクポテトとチキン食べてるだけじゃない。ちょっとは皆と話しなさいよ?」
豪快なビールジョッキを片手に、今夜の集まりの主催者であるレベッカが私の隣の席に座ってきた。
カクテルは私の好きな甘口だから飲んでるだけだし、ポテトやチキンは皆が手を付けないから食べているだけだ。別に持って帰ろうとしている訳じゃないので、人を大食いみたいに言うのは止めて欲しい。
しかし、私の心の中の抗議など当然伝わるはずもなく。彼女はぐいっとジョッキをあおって気持ち良い飲みっぷりを見せつけると、ほんのりと赤く染まった顔を私に向けてくる。
「せっかく久しぶりに皆集まれたんだからさ」
「分かっているわ、レベッカ。だけど……」
もごもごと語尾を濁すと、彼女はにやあっと笑った。
「リザちゃんは恋愛話には興味なし?」
その顔は知っている。何か面白い玩具を探している悪ガキの顔だ。それとも哀れな子羊を狙う狼の顔かしら。堅物な私は彼女にとっていじりがいがある女なのだろう。からかわれてはたまらないと、私は首を振ってみせた。
「別にそういう訳じゃあ無いわ。私だって年頃の女ですから」
澄まし顔で言ってやれば、レベッカは片方の眉を上げた。どうにも疑わしいという顔をしている。すると、
「え、何々? リザの恋の話?」
私達の会話を聞いていたのか、同期の一人が会話に入ってきた。その瞳はキラキラと輝いている。うっかり恋愛トークなどしてしまおうものならば、東部だけでなくアメストリス中に言いふらされてしまいそうなその勢いに私は若干引いた。
「悪いけど、違うわよ」
「なーんだ、つまらない。あの真面目なリザにもついに春がやってきたと思ったのに。ま、いいわ。それより私リザに聞きたい事があったのよね」
「私に?」
「そ」
私と同じ東方司令部に勤務している彼女。部署が違うので話すのは久しぶりになるが、何故か頬を赤らめている。……酒に酔っている感じには見えないけど。
「リザの上司ってあの、ロイ・マスタング中佐じゃない? 彼って…恋人はいるの?」
「は?」
思わず握っていたフライドチキンを私は皿にぽてっと落としてしまった。どうしてそれを私に聞くのだろう。と思ったけれど、考えてみれば彼の副官という近しい立場に居るからに決まっている。だが、それはあくまでも仕事だけの関係だ。
「ほら……中佐って、すごくモテそうじゃない? ラブレターが沢山司令部に送られて来るって事務方の子に聞いたし。だけど、決まった恋人は居るのかしらって思って」
いくら副官だからって彼のプライベートまで把握している訳じゃない。……実は彼と私は上司部下という関係以外の繋がりもあったけれど、それは過去の話だ。今ではそれは全て清算された関係になっている。……少なくとも私はそう思っている。
「さあ…よくデートだって仕事を早く終わらせてお帰りになるけど…、いつも違う相手みたいだし……決まった人がいるのかどうかは分からないわ」
「本当?……なぁんだ、残念。リザなら何か知っているんじゃあないかと思ったのに」
本当に心底残念そうな彼女に、私は疑問を覚える。そんな情報を知って何になると言うのだろう。中佐が女性にモテるのは今に始まった事じゃあない。昔からあの人が女性に好意を持たれるのは日常茶飯事だった。私の同級生やご近所の奥さんに八百屋の熟年マダム、果ては近所に住んでいた雌猫まで。きっと生まれ持った性分なのだろう。
だからそんな中佐に恋人が居た所で、今更驚くべき事じゃあないと思う。いまいちピンと来てない私に彼女は呆れた顔をして。
「も~あんないい男と毎日一緒に居るのに、勿体ないわね。リザは」
意味深に笑うと気が済んだのか私達のテーブルから離れていった。向こうで恋愛トークで盛り上がっている一団に混ざるつもりなのだろう。
彼女の言葉の意味が分からなくて、一瞬ポカンと口を開けてしまった私の耳に聞こえてきたのは、くくくっという笑い声。声の方向に顔を向ければ、傍らに座っているレベッカが肩を震わせていた。
「虚勢を張ったって、やっぱりあんたはまだお子さまね」
「……どういう意味?」
「本当に恋愛に興味があるのなら、そんな答え方はしないって事よ」
そんな答え方…というのがよく分からなくて、私は尋ね返す。何だが馬鹿にされているようでこのままではすっきりしない。
「ならどう言えば良かったの? 中佐が毎日デートに出かけるのは本当の事だし、そのデート相手の中に本命がいるのかいないのか分からないのも本当の話よ」
「そうじゃなくて。どうしてあの子が中佐に恋人が居るのか知りたかったのかの理由にあんたは気づいてないから。……だから、お子さまなのよ」
「興味本位じゃあないの?」
よくある女の子の噂話。ただのゴシップ好きで聞いてきたのだと思ったけど。
「……まさか。違うわよ。あわよくば中佐の恋人候補に立候補したい…というのが、本音でしょ。それで、近しい立場のあんたからそのための情報を仕入れたかったのよ」
「そう…だったの……?」
それは本当に私は気づいていなかった。
「ええ。あの目は異性を狙っている女の目よ。それにあんたは全然気づいちゃいないんだもの」
あ~あと肩を竦めるレベッカに、私は少ししょんぼりしてしまう。確かに恋愛事に関して私は奥手……とっても鈍い。仕事に関する事ならば明瞭に答えが出せても、恋愛の事となるとどうしてもうまく対応出来ない。
「……だってしょうがないじゃない。私、恋をしたことがないんだもの……」
経験が無いのだから、上手くこなしようが無いのは重々承知している。仕事の上では必要のないもの…と切り捨てて来たそれを今更器用に出来る訳がない。もちろん、人生には必要不可欠な事だって事は知っている。私の人生に必要なのかどうかの問題は置いておいても、こうやって対人関係において少しくらい恋愛スキルがあった方が円滑に事が運ぶのだから、ちゃんと知っておかなければ…と私は焦ったりするのだ。
すると。
「……恋をした事がない?」
レベッカがまた片方の眉を上げた。それは彼女が話を疑ってかかる時の表情だ。
「ええ、そうよ。経験した事がないの」
不甲斐ない自分を告白するのは少々恥ずかしかったが、レベッカ相手に今更取り繕っても仕方がないだろう。私は彼女に頷く。
「だから、恋の話をしているあなた達が羨ましいわ」
毎度合コンに参加して運命の相手を探し、見つかったと喜んだりすぐに別れたと嘆いているレベッカ。こうやって女性同士で集まると恋人の話題で華やぐ女性達。それが、国を変えるという誓いを胸に、殺伐とした軍社会をがむしゃらに生きる私には眩しかった。
「……ねえ、リザ。参考までに教えてくれる?」
「何?」
「あんたさあ…マスタング中佐がいつもデートに行くのをどう思ってるわけ?」
しばし無言でいたレベッカだったが、おもむろに口を開いてそんな事を聞いてきた。
どうして突然中佐の話が出てくるのだろう。不思議に思ったが、レベッカの顔は真剣だったので私は少しだけ考えて。
「え、そうね……仕方の無い人だと思っているわ。デートで寝不足になったり、デートのために仕事を頑張って早く終わらせたりしてるから、体を壊さなければいいけど…って。もう中佐も若くないんだし……」
「いや、あの人まだ二十代半ばでしょうが」
「でも時々腰をさすってだるそうにしてるのよ?」
「……そ、それは生々しい話ね……」
私の話を顔を引き攣らせながら聞いていたレベッカだったけれど、その内ふんふんと何度も頷いて自分だけで何かを納得したようだった。
「ふ~~ん、なるほどねえ……参考になったわ」
「……何の参考になったの?」
勝手に自己完結されてもこちらとしては意味が分からなくて。何となく不愉快な気分になって私は尋ねてみたが。
「秘密」
にま――って笑ってレベッカは答えてくれなかったのだった。


   ***


いつも通りに忙しい東方司令部。朝から書類に事故処理に…と仕事に追われていた私だったけれど、午後になるとようやく落ち着いて来て、お茶の一つも淹れて一息付く事が出来るようになっていた。
「どうぞ」
「ああ、ありがとう」
私は中佐の分と自分の分のお茶を淹れて、彼の執務室を訪れた。中佐が司令部の茶葉は不味いって文句を言うから、彼のために秘かに購入した私物の茶葉を使ったお茶だ。蒸らし時間やお湯の温度にも気を使ったので、とっても美味しく淹れられたと思う。中佐は今日もだいぶお疲れのようだったから、少しでも疲れを癒して貰いたかった。
「ん――美味い」
だから、そう言って彼がお茶を飲んでくれたので、私は私の疲れも吹っ飛ぶような心地がしていた。
「それはよろしかったです。……だいぶお疲れのようですから、しっかり休息をとって下さい」
今、中佐は仕事において何件かやっかいな案件を抱えている。ここしばらくずっとその対応に追われていたし、それに加えてデートもしている様なので、絶対に家でもゆっくり休めていないに違いない。そう思って私はせめてこの時間だけでも……と書類を調整して無理矢理に休憩を入れたのだ。私の意図に気づいているのかいないのか、彼はああそうするよ、と眉間に寄せていたシワを緩めて腕を組みくつろぎモードに入った。無防備な顔をして(そんな顔をすると童顔がすごく目立って少年みたいだ)目を瞑る。ものすごく眠そうだ。きっと昨夜もデートで遅かったのだろう。
そんな事をつらつら考えながら中佐の顔を眺めていた私は、ふと先日のやりとりを思い出した。
決まった恋人は居るのかというあの彼女からの質問。何となく、今が良い機会な気がしたのは何故なのだろう。
「……中佐には決まった恋人というのはいらっしゃるのですか?」
気づけば私は彼にそう尋ねていた。
まったりと半分眠っていた彼は、私の言葉を聞いた瞬間に目をぱっと見開いた。彼が犬だったらきっと、耳と尻尾をぴんっと立てていたに違いない。
「少尉…それは、その……どういう意味なのかね?」
驚いた表情を隠しもせずに中佐は私の肩を掴んだ。そして、ずいっと顔を近づけてくる。その顔は少し紅潮している。……何故彼はこんなにも興奮気味なのか。
「え…そのままの意味ですが……」
他に答えようがなくてそう返すと、中佐は瞳に力を込めて私を見つめてきた。まるで私の意図を推し量っているみたいに。何となく居心地が悪くなって私は目を逸らした。これはきっと、あの彼女に言われた事が気になって彼のプライベートを探ろうとしている自分自身への後ろめたさだと思う。
「君は私に恋人が居るのかを――知りたい?……どうしても?」
「え、いえ…どうしてもって言う訳じゃ……でも、その…中佐も恋をしていらっしゃるのかと興味がありまして、その…私は……」
……どうして中佐はこんなに鬼気迫っているのだろう。それに距離が近過ぎる。迫りながら重ねて問うてくる中佐に、私はしどろもどろになりながら返答した。
「今まで恋をした事がないものですから」
その瞬間中佐が石の様にぴしっと固まった。





***************************
[PR]
by netzeth | 2013-12-16 23:10

おはようございます

もうおはようございますって時間ではありませんが、おはようございます。午前中ならセーフだと思っております、うめこです。久しぶりにいっぱい寝たのですが、まだ眠いです。

さて、少し早いですがクリスマス用SSっぽいものをUPいたしました。貧乏リザちゃんのお話ですwwせっかくのクリスマスなのに甘い甘いロイアイでなくて申し訳なく。鋼の世界にはクリスマスって無いんじゃ?という事実は置いておいてww(それに準ずるものがあるという事で)お楽しみ頂ければ幸いですが。

冬コミ新刊「ever green」は書店とらのあな様で委託をお願いしました。もう予約が始まっているようです。ご利用をご検討のお方様はよろしくお願いいたします。
こちらから→ とらのあな様

それから自家通販は近日中に一旦休止いたします。再開は年明けの予定です。


と、インフォメはこんなところで。



拍手ありがとうございます(*^_^*)
[PR]
by netzeth | 2013-12-14 11:02 | 日記 | Comments(0)

貧乏リザちゃん物語(クリスマス編)前編

緑と赤。そして白に金色。
クリスマスカラーに装飾されたショップのウィンドウディスプレイを眺めながら、ロイは足早にイーストシティの市街を歩いていた。どこからか遠く流れてくるのはクリスマスソングだ。この時期は毎年シティが浮き足立っている。既に冬の日は落ちたが、夜というにはまだ早い時刻のクリスマス・イブ。すれ違う沢山の人々も、皆笑顔を浮かべていた。
ケーキ屋の前を通りがかれば、店の前でケーキが売られており、肉屋の前を通りがかれば、ローストされたターキーが店頭で売られている。声高に営業をする店員の格好は皆揃って白いファーが付いた赤い服に赤い帽子……サンタである。
クリスマスだなあ…なんて呑気な感想が頭をよぎるのは街が平和な証だ。ふと前を見ると、小さな子供を連れた親子連れが歩いていた。幼い男の子がサンタの店員を指さして何事か嬉しそうに母親に訴えている。
「ママ! サンタさん! サンタさんだよ!」
「ほんとね。サンタさんね」
「サンタさんとお話したい!」
「あらあら、ダメよ。あのサンタさんは今とっても忙しいの。……あなたのサンタさんは今夜お家に来てくれるから、ね?」
「うん! プレゼント持って来るんだよね!」
「そうよ。いい子にはプレゼントをくれるのよ。さ、いい子にして帰りましょうね」
「うん!」
何とも微笑ましいやりとりにロイは思わず笑みを浮かべた。
「サンタ、か……」
白いファーの付いた赤い服に赤い帽子。そしてお髭のおじいさん。
そんな姿を脳裏に浮かべていると、不意にサンタに纏わるとある記憶が蘇って来る。
しかし、それでもロイは歩くスピードは緩めなかった。本日の予定は一端自宅に戻って支度をしてから、彼女の家に訪問。余裕はないのだ。
そうは言っても溢れ出る思い出の映像は次々にロイの心に浮かんできて。しばし彼を過去へと誘うのだった。


  

 ***




「マスタングさん! サンタさんってご存知ですか?」
12月に入ってからというもの、実家の店が繁忙期に入った。叔母にはきっぱり子供の手は要らないと言われていたのだが、息子の自分が放っておく事など出来る訳もなくロイは毎夜店の手伝いをしていた。といっても、空いたグラスを下げたり料理を運んだりとたいした事は出来ていないが。それでも叔母には十分だったらしい。口では余計なお節介だとは言いつつも、ロイが手伝ってくれたのが嬉しかったのだろう。彼女はいつもより多めにお小遣いを弾んでくれた。
そんな訳ですっかりホークアイ家にはご無沙汰だったロイだが、この日だけはと何とか都合をつけてやってきたクリスマスイブ。久しぶりに会ったリザに開口一番にそう尋ねられて、ロイは目を瞬いた。
「サンタ? サンタクロースの事かい?」
「はい! そのサンタさんです!」
ニコニコと満面の笑みを浮かべるリザは、勢い込んで頷く。薄茶色の瞳がキラキラと輝いて見えた。
「やっぱりマスタングさんも知っているんですね。……私、今までサンタさんの事聞いた事なくて…そしたら、お友達に笑われちゃいました。サンタさんなら毎年クリスマスイブの夜にプレゼントを持って来るのよって。でも、去年までうちには来てなくて、それで、お父さんに聞いてみたんですけど……」
「……師匠に?」
「はい」
……何となくイヤな予感がした。
「お父さんにうちにはサンタさんは来ないの? って聞いてみたんです。そしたら、「リザもとうとう奴の存在を知ったか……仕方あるまい。いつか訪れる日だ。いいか、リザ……」」
「……もしかして、うちにはサンタは来ないとかって言われたの?」
不安に駆られて、ロイは思わず口を挟んでしまった。ホークアイ師匠の青白い顔を思い浮かべる。……あの人、子供の夢なんて簡単に壊しそうだ。……ちなみに一番最初に壊されたのは、ロイの「超一流錬金術師であるホークアイ先生はきっとお金持ちで素晴らしい人格者な立派な偉い先生に違いない」という幻想である。
「え? 違いますよ?」
しかし、ホークアイ師匠もそこまで空気が読めない人間ではなかったようだ。幼い少女の夢が壊されなくて良かった……と、ロイはホッとした。しかしそれもつかの間の事。
「お父さんは、「リザ、サンタは今年は来るはずだ。今まではうちは貧乏だから忘れられていたんだ。今年こそ人々の言い伝え通りにプレゼントを持ってうちに来てくれるだろう。きっとお前が一番欲しい物を持ってくる。楽しみにしていなさい」って!……私、すっごく楽しみで!!」
「……そうか、良かったな。リザ」
ホークアイ師匠がハードルをガン上げしたのに、ロイは一抹の不安を覚えた。
(……師匠…そんな事言っちゃって良いんだろうか。リザが何を欲しがっているのか分かるのかなあ…いや、そもそも。リザが欲しい物が何か分かったところで、それ、買えるのか…?)
水道光熱費さえ滞納する事のあるこのホークアイ家に、クリスマスプレゼントなどと言う余剰の予算があるととてもは思えない。
と、ロイがかなり失礼な事を考えている間にも、リザは胸の前で両手を組みうっとりとした顔をして語り続ける。
「やっぱりサンタさんですから、私の一番欲しいものが分かるんですね。私、本当にすっっっっごく楽しみで! 見てください! これ、今日の為に作ったんです。ちゃんと用意しないとと思いまして。中にビニール袋を入れて縫いつけて加工してみました。やっぱり必要ですよね!」
「ビニール加工?」
もぞもぞとリザが懐から取り出したるは、巨大な靴下だった。それだけでこの少女がどれだけサンタに期待しているか分かろうものだ。彼女はいつになくはしゃいだ様子でロイに靴下の説明をしてくれる。……何故、靴下にビニール加工が必要なんだ? と疑問が消せなくて、ロイはおそるおそる聞いてみた。……これは今夜のためにも聞いておいた方が良い気がした。
「ねえ、リザ。リザの一番欲しいものって何なんだい? 参考までに聞かせてくれると…師匠が…、いや、俺がありがたいかなー…って」
「はい! 私が一番欲しいものは…ずばり、お肉です!!」
すっぱりきっぱりとリザは大変良い笑顔でのたまった。
「一年に一度しか来ない、しかもうちに初めていらっしゃるサンタさんですから、きっとすっっっっっごいお肉をプレゼントしてくれると思うんです。だから、今日はたいしたディナーは出来ないけど、明日のクリスマスは肉・大パーティーですよ、マスタングさん!!」
ロイは後にも先にもこんなに輝いたリザの顔は見た事がなかった。ついでに涎もたれている。
「さ、今夜に備えてご飯は早めにしましょうね、マスタングさん! 早く寝ないと…!」
わくわくどきどきそわそわしながら、リザが軽やかな足取りでキッチンへと向かっていく。
「にーくにくにくにく♪ 肉が来る~♪ 肉が来る~♪」
しかも、謎の鼻歌を歌って。
ロイはいろいろとやばい予感がひしひしとしていた。彼女の期待に応えるプレゼントがサンタからもし貰えなかったたらどうするんだろうという危機感に。
「あ、そうだっ、俺のプレゼント……」
そこでロイは、懐に忍ばせて来たリザへのクリスマスプレゼント(もちろん肉ではない)を渡しそびれた事に気がついた。紙袋に入ったそれを、ロイは取り出して眺める。可愛いリボンでせっかくラッピングしてもらったけれど。
「……肉、にすれば良かったかな…?」
「肉…か」
「うわぁぁぁぁあ!?」
突然に耳元に出現した怪異に仰け反って飛び退くと、そこにはホークアイ師匠が佇んでいた。
「い、いつから居たんですか、師匠! 気配消して立たないで下さいって前にあれほど言ったじゃないですかっ、師匠は居るだけでリアルホラーなんですから!」
「お前……どんどん態度がデカくなるな……まあいい。それよりも、ロイ、聞いたか。肉、だそうだ」
「……ええ、肉だそうですね」
そこに居るだけで威圧感のあるホークアイに見下ろされながらも、何とかロイはそれに負けじ言い返す。
「もちろん、用意してあるんですよね? 師匠がリザに言ったんですから」
サンタうんぬんを。と指摘すると、ホークアイはしばし沈黙し、
「……ロイ。今の時期はイノシシと鹿が狙い目だそうだ。熊でも良いが、今は冬眠中だからな」
……せめて、肉屋に行ってこいと言って欲しかった。
買うという選択肢を排除して、ハント一色なホークアイの提案にロイは肩をがっくりと落とした。
「また俺に捕って来いって言うんでしょう? 無理ですから。そもそも、昼間ならともかくもう日が暮れてるんです。夜に森に入るなんて自殺行為ですよ。はい、有り金出して下さい。俺、街までひとっ走り行って肉を買ってきますから。今日はイブですから、鳥なら腐るほど売ってますよきっと」
ホークアイは素直に懐から財布を出すと、ロイの手に乗せた。あまりに軽いその重さに慄きながら、ロイはそれを振ってみる。中からはちゃりんちゃりんという非常に頼りない音がした。
「……師匠」
「ああ」
「今時21センズじゃあ、一番安い胸肉だって買えませんから」
「ああ。だが、それしか持ち合わせがない」
だああああ! と頭を抱えたくなる衝動をロイはホークアイの手前何とか堪えた。
「いい大人が21センズはないでしょう!」
「……いいか。ロイ。錬金術師はその名の通り、金を作り出す力がある……しかしながら、それは禁忌の業であり、そもそも…金を作り出す事でアメストリス経済の混乱を招くと今から300年ほど前に、時の大総統が定めた法により……」
「はいはい。分かりましたから。金欠認めるだけなのに無駄な重厚感出さないで下さいよ」
どう理屈をこねようとも金が無い。という事実だけは変えようがないのだ。
「お前…本当にかわいげがなくなったな……」
「それよりも。どうするんですか。明日の朝起きて靴下にプレゼントが入って無かったらリザ、悲しみますよ? どうして今日の今日までプレゼントを用意して無いんですかっ」
絶対にあの少女は、自分がいい子じゃないからプレゼントを貰えなかったんですよねっと笑って言うのだろう。悲しい顔なんか見せずに。それは泣かれるよりも心が痛む。
「……リザの欲しいものが分からなかった。お前に尋ねさせようと思っていたんだが、お前はずっと我が家に来なかった」
それで後手後手に回って、クリスマスイブ当日までサンタのプレゼントも用意していないという有り様らしい。ロイは頭が痛くなる思いがした。
「……とにかく。何か考えましょう」
ロイの言葉に重々しくホークアイは頷いた。
「……私が靴下を履いて(人)肉というのはどうだ?」
「父親の威厳を完膚無きまでに失いたいというなら止めませんよ。まず、娘の部屋に深夜に忍び込んで朝までいる時点でアウトですからね。それ」
「……その辺りに住んでる猫の親子で手を打つ」
「……猫まで毒牙にかけるつもりなんですか。はまぐりさんとあさりさんとしじみさんの事なら、ダメです。リザはあの猫の親子を可愛がっています。そんな事したら一生恨まれますよ。まあ、直接猫を靴下に入れるならそれはそれで可愛いかもしれませんが……って、それ、あ~可愛い~で終わりますよね。ただの猫靴下ですよね。だったら、あの、野良犬にしたらどうですか。ほら、タニシさん」
「あれは、ダメだ。可哀想だ」
「……犬はダメなんだ…師匠ってとことん犬派だったんですね……」
そうして次々とロイはホークアイが挙げる意見を却下する。すると、だんだん彼も苛立ってきたのか無表情の中にも憮然とした雰囲気を漂わせ始めた。
「……ロイ。さっきから私の提案を蹴ってばかりいるが…お前はどうなんだ? ん? その手に何を持っている…?」
ホークアイはぎょろっと視線を、ロイが持っている可愛らしいラッピングがされた紙袋に送る。それを誇らしげに掲げて見せてロイは胸をえっへんと張った。
「師匠。俺はクリスマスに女の子の家に手ぶらで来るほど気が利かない男じゃありませんよ?」
12月の労働の対価により得たお小遣い。そのほとんどをはたいて、ロイはリザにクリスマスプレゼントを買ったのだ。
「何だそれは。錬金術用語大事典か?」
「……そんな訳ないでしょう。錬金術用語大事典ってあの、鈍器並のうっかり殺人事件が起こせそうな分厚いやつでしょう? 俺、師匠の部屋の本棚からあれが頭に落ちてきた時、死んだ両親とお花畑で再会しそうになりましたよ。って、そうじゃなくてっ。そんな物女の子にプレゼントして喜ばれる訳ないじゃないですか」
「そうか? 私が昔妻に贈った時あれは会う度に身に付けてきたぞ」
……辞書をどうやって身に付けていたのかは興味深い所ではある。
「それはもう逆にものすごくそのプレゼントが不満だったんじゃないんですか……奥さん。師匠ってよく結婚出来ましたよね……」
話していても疲れるだけで解決策は一向に見えてこなかった。どうするんですかプレゼント…とため息を吐くロイだったが、しかし、ホークアイは問題ないと自信たっぷりな様子だった。
「問題ない? 所持金が21センズで? 俺だってプレゼントを買ってしまったからもうお金は貸せませんよ」
「ああ。だから問題ない。おかげでプレゼントはここにある」
そう言ったホークアイはロイの手にする紙袋に目をやる。
「中身は知らんが、女の子が喜びそうな物なのだろう。ならば、肉でなくてすまんがそれをサンタのプレゼントとして靴下に入れてやればいい」
「え!」
「サンタが来ないよりはましだろう」
確かにそうだが、それではせっかくロイが買ったプレゼントはサンタのプレゼントという事になってしまう。自分が贈ったとリザに知っては貰えない。それは少しだけ寂しいとロイは思い、一瞬迷ったが。
「……そうですね」
プレゼントがリザの手に渡る事には代わりが無いのだ。と自分を納得させて、ロイはホークアイに応の返答をしたのだった。





続く
*******************************

後編へ
[PR]
by netzeth | 2013-12-14 02:37 | Comments(0)

貧乏リザちゃん物語(クリスマス編)後編

凍るような冷たい空気に満ちたホークアイ邸を、ロイは足音を忍ばせて歩いていた。時刻は0時を疾うに回った辺り。リザが完全に眠りに落ちている時間を見計らって、ロイは師匠に命じられたミッションを遂行していた。
頭には赤と白のサンタ帽。衣装も上半身だけ白いファーで縁取られたサンタの赤い服。鼻と口元にもじゃもじゃの白い髭を装備して、ロイは廊下をひたすらに静かに歩く。明かりも無いので自分の感覚だけが頼りだ。
ロイがホークアイに言いつけられたのはもちろん、リザの部屋に行って靴下にプレゼントを入れてくることだった。
「これを着ていけ。万が一姿を見られてはことだ」
と、ホークアイにサンタ衣装を渡された。ロイが今日もしもホークアイ邸を訪れなかったのなら、これを師匠が着ていたのかと思うとちょっと想像したくない。そもそも、父親である師匠がリザの部屋に行けばいいのに。と思わなくもなかったのだが、
「リザが幼い頃掛け布団をかけてやるのに部屋に入ったら、起きたリザに幽霊と間違えられて泣かれたからダメだ」
とのホークアイからの悲しい自己申告により、ロイがサンタ役をする事になったのだ。
女の子の部屋に深夜に忍び込む……というのは男としてかなりの心理的抵抗がある。まあ、プレゼントを置いてくる以外の余計な事をしたら消すぞとホークアイに脅されているので、何をする訳でもないのだが。
そしてロイはリザの部屋と可愛らしい看板がかかる扉の前に立った。音を立てぬように注意してゆっくりとドアを開ける。立て付けの悪い扉なので、ぎぃ…と鈍い音を立てて冷や冷やしたが、何とか開いた隙間にロイは体を滑り込ませる事に成功していた。
当然ながらリザの部屋の中にも明かりはなく、真っ暗だ。ただ、窓辺から唯一外の星明かりが差し込んでいる。ベッドは窓辺に寄せられているので、そちらに向かってロイは一歩を踏み出した。その時である。足が何かに引っかかったような感触がして、ロイはその場でたたらを踏んだ。転ばぬように何とか踏ん張ったが、代わりにリンリンリンという鈴のような涼やかな音が部屋の中に響きわたった。
何事か? と驚く間もなく。
「……サンタさん?」
ベッドの方から少女の誰何の声が聞こえてきてロイは非常に焦った。
(まずい、今の音でリザが目を覚ましてしまった…!?)
一瞬逃げようかとも思ったが、しかし、姿を見られたのならばそれも出来ない。せっかく来てくれたサンタが目の前で逃げたなど、子供にはトラウマものだろう。
「うおっほん。や、やあ…こんばんは」
ロイは出来うる限りの低いだみ声を出した。もじゃもじゃの髭のおかげか幸い声はくぐもって聞こえる。これならば何とか誤魔化せるだろうか。
「わあ、やっぱりサンタさんなんですね! トラップをしかけて置いて良かったです! ちゃんと起きられました!」
トラップってもしかして、さっきの鈴の音だろうか。……あれ、リザが仕掛けた罠だったのか。
驚きながらも、ロイは何とか平静を保った。
「……これはいい子のリザちゃんにプレゼントだよ」
とにかくプレゼントを渡してさっさと退散するに限る。今ならまだリザは起きたばかりで寝ぼけているし、ボロが出る前に逃げた方が良さそうだ。靴下を探す手間も惜しくて、ロイは手に持っていた紙袋を強引にリザに押しつけると、じゃ、っと踵を返そうとした。
しかし。
「待って下さい!」
むんずと袖口の辺りをリザに掴まれた。振り返ると、リザがロイに何かを差し出している。
「これは…?」
思わず素の声で尋ねてしまったが、幸いにもリザは気づいていないようだった。ただ、夢中な顔でロイサンタを見上げて。
「プレゼントです! サンタさんはプレゼントを皆にあげるばっかりで、ご自分が貰えないのは可哀想だと思って……だから、私からプレゼントです!」
……自分がもしも本物のサンタだったなら、今すぐプレゼント袋をひっくり返してリザに中身を丸ごと全部あげたい。
健気なリザにロイは感動していた。世界中の子供にプレゼントを配って歩くサンタに、逆にプレゼントをあげようなどと自分は考えた事も無かった。
「おれ…いや、ワシが貰っていいのかい?」
「はい。ご遠慮なさらず! 赤の毛糸を貰ったからマフラーを編んでみたんです。父やそのお弟子さんは男の人だから、赤は嫌でしょう? でも、サンタさんは赤いお洋服を着ているから、赤も大丈夫だと思って!」
赤なら女の子に似合う色だろう。自分用のマフラーを編めば良かったのに。とロイは思う。だが、自分は置いておいても他人の、しかもサンタのマフラーを編んでしまうところがこの少女の純真さなのだろう。
受け取った真っ赤なマフラーは所々がイビツで、ゆがんでいる。ぽこぽこと糸が飛び出したりしていて、ずいぶんと拙い造りだ。しかし、それ故に少女の気持ちが込められている気がした。
「ありがとう、リザちゃん…大事にするよ」
心からそう言って、ロイはリザの頭を撫でてやった。首にそのマフラーを巻く。そして、嬉しそうに笑うリザに見送られながらも、彼女に疑いを持たれないうちにとロイは早々に部屋を出て行ったのだった。




「マスタングさん! マスタングさん!」
夜更かしによる寝不足で、ぼーっとしながらロイがリビングに降りていくと、待ってましたとばかりにリザが走り寄ってきた。白い頬はバラ色に紅潮し、彼女の興奮が伝わってくるようだった。
「サンタさん来ました! 今年はうちに来てくれました!!」
「そうか、良かったね」
はしゃぐリザが勢い込んで報告してくる。その微笑ましい様子に寝不足になった甲斐があったな…なんてロイは考える。
「はい! それで、サンタさん、何をくれたと思います?」
「お肉…ではないの?」
トボケてそんな事を言ってみる。するとリザちょっとしょんぼりしてからぶんぶんと首を振った。
「肉ではありませんでした。だから、肉・大パーティは中止です。マスタングさんには期待させてしまって申し訳ありません……」
いや、期待はしてなかったけど。
という言葉は飲み込んでロイは曖昧に笑った。
「そうか。肉が貰えなくて残念だったね。せっかく一番欲しい物だったのにな」
やっぱり、リザにとっては肉が一番欲しかったプレゼントだったのだろう。リザががっかりしているのをロイも少しだけがっかりする。しかし、リザはとんでもないとまたぶんぶんと首を振った。
「いいえ! 私、残念じゃありません! だって、サンタさんは本当に私の一番欲しいものをくれたんですもの!!」
満面の笑みを見せて、リザはそう言い切った。はて、肉じゃあ無かったのか? とロイは内心首を傾げた。
「だって、ほら見て下さい!」
そう言ってリザは後ろ手に持っていたピンク色のそれをロイに見せてくれた。ロイにはもちろん見覚えがある。何故なら昨日、自分が購入したものだからだ。
「こんなに素敵なマフラーを頂いたんです! 私、実はサンタさんにマフラーを編んでプレゼントしたんです。そしたら、自分の分のマフラーを編むには毛糸が足りなくなってしまって…お父さんの腹巻きでも編もうかなって思っていたんです。でも、サンタさんはそんな事とっくにご存じだったんです! だから、マフラーを贈ってくれたんです!! 等価交換ですよね!」 
太陽よりも明るい笑顔をリザは見せる。
ロイは今、自分のプレゼントチョイスが間違っていなかった事を実感していた。
「そうか。……良かったな、リザ」
「はい! さあ、これを身に付けて私、早速出かけてきますね!」
見ればリザは出かける支度をしている。しっかりと首にふわふわのマフラーを巻けばもう、臨戦態勢だ。
「え…どこに出かけるの…リザ?」
「南の池です! 水鳥の捕獲のために罠をしかけておいたんですっ、肉・大パーティーは無理でしたけど、目指せ、肉・小パーティーです!」
「え…リザ……罠とか君のハンタースキルはどんだけなの…?」
どこまでも逞しい少女に計り知れないものを感じながらも、ロイはリザに少し待つようにお願いして、自身も慌てて身支度を整える事にした。一人で水鳥捕獲なんて危ないから付いて行ってやらなければなるまい。
そうして着替えに自室に戻ると、着替えのために自身のトランクを開けた。すると、着替えの服に紛れて置かれていた昨夜少女から貰った赤いマフラーが目に入る。それを認めてロイは思わず呟いた。
「……これ、は流石につけられないか……」
苦笑しながら、ロイはそれを少女に決して見られないようにと、大事に大事に己のトランクのの奥へ奥へと仕舞い込んだのだった。


   
 ***



「やあ、メリークリスマス。リザ」
「……遅かったですね、大佐」
にっこりとおどけて言ってみたものの、恋人の反応はいつも通りの淡泊さであった。それに苦笑しながら、ロイは早速持参してきたプレゼントを彼女に渡してやる。それで少しは彼女の表情筋を緩められればと思ったのだ。
「まあ! いつもありがとうございます」
案の定、彼女はそれを見ると嬉しげに笑みを浮かべた。そう、こんがりと焼かれたローストチキンをだ。
「今年のは立派ですね……」
声に滲むうっとりしたトーンは昔から変わっていない。肉食系女子(文字通り)を地でいく女……それがリザ・ホークアイである。肉を贈るのはクリスマスの恒例行事であるが、いい加減恋人へのプレゼントが肉だけというのも味気ない話ではある。
「……なあ、いい加減に肉じゃなくて、もっと色っぽいプレゼントを贈らせてくれよ?……ネックレスとか指輪とか」
ゆっくりと女の腰に手を回して囁きかける。手に持ったチキンはこの際無視した。
「ダメです。そんな高価な物は頂けません。貴方にお返しをする私の身になって下さい。いいですか? プレゼントは等価交換…ですよ?」
高価なアクセサリーはお返しのプレゼントが大変だから、ノー。そう言ってリザはいつも肉以外のクリスマスプレゼントを受け取ってはくれない。恋人としては少々寂しい話だ。なら、君自身をお返しのプレゼントにしてくれればいい……と言うのはお約束の話だが、リザが宝飾品と等価だと言われると絶対にそんな事はなく。比べられるはずもないので、それはそれで等価交換の原則に反してしまう。
悩ましいな……とぼやくとくすくすと笑う気配がした。
「私は肉で十分嬉しいんですよ? 何せ、サンタさんでも私に肉は下さいませんでしたから」
悪戯っぽく笑うリザに、ロイは不意を突かれて驚いていた。まさか、彼女の方からあの時の話題を口にしてくるとは思わなかったのだ。
「あの時の我が家は貧乏でしたから……父は肉なんて用意出来なかったんでしょうね」
だから、肉で十分なんです。
澄まして言うリザは可愛くも憎らしい。そんな事を言われてはロイはますます肉以外を贈れなくなってしまう。恋人にもっと可愛らしいプレゼントを贈る機会を与えてもくれないとは、男にとっては何ともひどい話だ。
……だから、ロイはリザに意趣返ししてやる事にした。
ロイの手から肉を受け取って、踵を返して部屋に戻っていくリザ。その背中をロイは追いかける。彼女の足下には黒い犬。頭の上には小さなサンタ帽子が乗せられていて、何とも可愛らしい。リザの浮かれ具合が密かに露見しているようで、たまらなく可笑しかった。
(――ほら、見ろ。君だってクリスマスが楽しみで楽しみで仕方が無いんじゃないか。こんなにも自分だけ楽しむだなんてずるいじゃないか。私も混ぜろ)
ロイはこの部屋を訪れるのが遅くなってしまった元凶を、懐から取り出した。そして無言でそれを首に巻く。貰ってからずいぶんと時が経ってしまったが、大切に保管していたので幸い劣化してはいない。ただ、探すのにずいぶんと苦労したのだが。
それはあの時貰った赤いマフラー。
まさかサンタにあげたものをロイが身に付ける訳にもいかず、ずっと仕舞い込んでいた。次の年にまたサンタとしてリザの元に行った時に身に付けようかとロイは密かに思っていたのだが、結局その機会は巡っては来なかった。
早々にサンタなどいないと友達から聞かされ、リザの夢は破れてしまったのだ。次のクリスマスにはもう、リザはサンタの話題などこれっぽっちも出す事は無かった。そのまま彼女も思春期な年頃となり、結局ロイサンタはあれっきりとなった。
リザがあの時の事をどう思っていたのか今まで直接聞いた事は無かったが、やはりあのサンタは父親だったと思っていたらしい。
「リザ」
ロイはその名を呼んだ。彼女が振り返る。そして、装いを変えた男に最初訝しげな顔を見せて…次の瞬間には驚きに目を見開いていた。珍しい恋人の表情にロイは満足する。
――サプライズは成功したようだ。
「……っ、ど、どうして……貴方がそれを……」
視線を赤いマフラーに固定して、リザが言葉を紡ぐ。
「……そんなの答えは一つだと思わないかい?」
「だって、それは……あの時……」
「うん。だから、恋人はサンタクロースだったんだよ」
片目を瞑ると素早く彼女に顔を寄せて、キス。ちゅっと甘く食んで離れた。吐息がかかるほどの至近距離で見つめ合う。
「え……じゃ、じゃあ……あの時のサンタは……」
「そう、私」
そう言って、再びキス。今度は額と頬に。
「……君は、プレゼントは等価交換と言ったな……? ならば、私はその法則に反し続けている事になるんだ。早急に対処しなければならない」
「どういう意味ですっ…ふ、か……」
言葉の途中で唇を奪ってやると、ぎっと睨まれた。そんな赤い顔で可愛いくちゃあちっとも迫力はない。
「君がこのマフラーと共にサンタにくれた精一杯の気持ちを、私は未だに君に返し切れていないという事さ」
「あっ、それなら…っ、あの時、私だってマフラーをもらっ……んっ」
今度は少し長めに唇を押しつけて。息を奪う。
「あんなものじゃあ、足りないだろう? 何せ、相手はサンタだ。子供達と違ってプレゼントを貰う資格の無い存在さ。そんな者に贈ったプレゼントが普通のそれと等価である訳がない」
「んぁ、ふっ……またっ、そんな屁理屈を……!」
「いいさ。屁理屈でも」
ロイは彼女の顎を捕まえると、その瞳をのぞき込んだ。
「……今日こそは君にこのマフラー分のプレゼントを返すよ」
「肉で、ですか?」
「いや、私自身でさ」
「……不埒なサンタですね」
それならばあの時貰った精一杯の気持ちと等価足り得るかもしれない。
だといいなと思いながら、ロイは抗議の声を上げるリザを抱き抱えると、上機嫌にベッドルームに向かうのだった。





END
********************************

前編へ


ちょっとあとがき。
ロイアイ…というより愉快な師匠と弟子みたいになってしまったw
[PR]
by netzeth | 2013-12-14 02:37 | Comments(2)