うめ屋


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フランスのクッキー

フランスのクッキーが食べたいうめこです、こんばんは。以前職場の同僚さんの娘さんが修学旅行にフランスに行って来たとかで、お土産にクッキーを持ってきて下さったのですが、バターの風味がとっても濃厚でものすごく好みのお味でした。実はイベントでお隣になった方に貰ったクッキーが同じ味がしまして、もしかしてフランスのクッキーですか?とお尋ねした所まさにその通りで! とっても美味なので、同じものを手に入れたいのですが、やはりフランスに行くしか(待て) とまあ冗談はさておきリサーチした所、成城石井とかに置いてありそうなので買ってこようかな(^^) 

今日は駅前通りが歩行者天国になっておりました。夏ですね~。田舎なので本当に規模の小さいものですが、子供さん達がたくさん来ておりました。私は普通に帰り道なのでまっすぐ中を突っ切って歩いて来たのですが、良い匂いに釣られてフランクフルトを買いそうになりましたww そにれしても、あーいう屋台で食べる焼きそばとかって美味しいですよね。普通よりもお高いせいか?すごく美味しい。家で作る焼きそばだとあの味が出ないんですよね。。何が違うんだろう。研究してみよーかなー。

何か、食べ物の事ばっかり書いた日記になったww あーお腹減ってきた!



拍手ありがとうございます!ポチポチ見て毎日ニヤニヤしてます(*^_^*)
以下続きから拍手コメント(7/31分)のお返事です。

続き
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by netzeth | 2014-07-31 23:29 | 日記 | Comments(0)

君に贈る

身体を鍛えるために腕立て伏せをしよう!と思い立ちやってみたものの、3回で挫折しましたうめこですこんばんはー。それが昨日の話なのですが、なんとそのたった3回で二の腕が筋肉痛になったとさ。……どんだけなまってるねん。

さて、サイトに載せてなかったペーパーのSSやら、過去に日記に載せてた小ネタやらSSやら発掘しましてまとめたものを自分の備忘録用にとUPしてみました。本当は全部ひとまとめにしようと思ったのですが、文字数がオーバーしてしまうので最近の女の喧嘩だけ単独で。ので、全て初出はありません。再録みたいなものですかね?

昨夜またしてもカメムシに襲われました。奴らの侵入を防ぐにはどうしたら良いのでしょう。入りそうなとこなんて、ないのになあ。いつの間にかどこかに超大型巨人に穴でも開けられたの?私の部屋。


拍手ありがとうございます(*^_^*)ポチポチを励みにしております♪
以下SSを書きましたので、よろしければどうぞ~。日常系のお話です。





両手の積載重量が限界を迎えようとした所でそろそろ帰ろうかしら、とリザは考えた。日頃鍛えているおかげか安くなっていた日用品を持てるだけ買いだめ出来た事だし、非番の買い出し成果としてはこれで上々だろう。
肩に大きなトートバッグ。両手にビニールの袋と紙袋。そんなスタイルで颯爽とイーストシティの並木道を闊歩していたリザは、とある店の前でふと足を止める。そこは可愛らしい雑貨屋の店先だった。セール品と札が付けられたワゴンに、犬や猫と言った動物のキャラクターが描かれた小物が置かれている。
「可愛いわね……」
その中に愛犬そっくりの黒い犬のキャラクターがプリントされている小物類を見つけて、リザは思わずそれらに目を奪われた。思わず欲しいと衝動買いしたい気分になって、すぐにいけないと首を振る。
「ダメダメ、不必要な物は買わないの。……街は誘惑が多くていけないわね……」
「誘惑とは何かね?」
突然真横からかけられた声に驚き隣を見ると、見慣れたブルーの軍服が目に写る。
「大佐。こんな所で何をしておいでで?」
咎める口調になってしまうのは、今が真っ昼間で彼の勤務時間帯に当たるからだ。
「……サボっている訳じゃないぞ。今は昼休憩中。ちょっとそこのカフェまで出てきて昼食を取った所だ」
リザの胡乱な目つきに、ロイは言い訳するように言葉を重ねた。確かに、ここは司令部からそれほど離れてはいない区画であるが。
「……では、軍服姿で出歩いてないでさっさと戻って下さい」
「いいじゃないか。少しくらい」
堅いことを言うな、と軽い調子で言ったロイはリザが何か言う前にさっさとその視線を彼女が見ていたワゴンセール品へと移してしまった。
「やはり、女性はこういった可愛らしいものを好むものかね」
ハヤテ号そのままの黒犬がプリントされたマグカップを手にとって、ロイが尋ねてくる。
「さあ……どうでしょうか」
いい歳をした女が欲しがるものとしては些か可愛らしすぎるそれを、己が欲しがっていた――とロイに知られるのは気恥ずかしい気がして、リザは曖昧な返答で誤魔化した。普段の自分からはあまりにもイメージが違いすぎて、きっとロイに笑われてしまいそうだ。
「ふむ……では、一体どういったものをプレゼントすれば女性は喜んでくれると思うかね? 実はプレゼントを買おうと思っているんだが、何を買えば良いのか悩んでいてね」
「大佐が……ですか?」
女性に対してはマメで無駄に理解が深いこの男でも、贈り物に悩む――などという事があるのだな、とリザは意外に思う。
「貴方がお悩みになるなんて、よほど好みが難しい方なんですね」
思わずそう指摘すれば、ロイは苦笑を漏らした。
「そうだな。私がこれまで蓄積した知識などまったく役に立たない様な相手なんだ。そこで、ぜひ君の意見を聞きたいのだが。君だったら何を贈られたら嬉しいと思うかね? 私はアクセサリーなんか良いと思ってね、少し見ていたのだが……」
言いながらロイは隣の店を顎で指し示した。確かに雑貨屋の隣にはアクセサリーショップがある。そこでプレゼントを物色している最中に、偶然リザを見かけて声をかけてきたという訳か。
「ほら、あの指輪なんか可愛くて良いんじゃないかと思うんだが」
ロイが指さすのは隣の店のウィンドウに飾られた指輪。よく見れば、それは小さなルビーが繊細な意匠が施された台座にはまった可愛らしいものだ。だが、絶対に値が張るに違いないとリザは判断する。
「……大佐。貴方は全然分かっていません。プレイボーイが聞いて呆れてしまいますね」
「何だ、ダメか?」
「全然ダメです」
大きく首を振り、リザは即ダメ出しした。
「察するに、そのお相手にプレゼントを贈るのは初めてなのでしょう? その初めてのプレゼントにあのような如何にも高そうな物を贈っては、お相手の方が萎縮してしまいますよ」
もしも自分が贈られたならば、きっとこの指輪で一体何食分の食費が出るだろうかとか水道光熱費何ヶ月分だろうかとか、即座に計算してしまうだろう。そんな指輪、無くすのが怖くて身につけるのも躊躇ってしまう。相手が高級品に慣れたお嬢様とかならばまた条件は違ってくるだろうが、リザに訊くということは相手はもっと一般的な感覚の女性に違いないと決めつけてリザは意見する。
「そうか……あの指輪はダメか……。じゃあ、隣のペンダントはどうだろう?」
「……大佐、私の話聞いてましたか? あれもダメです。指輪よりも大きな石がついてるじゃありませんか」
「いや、あれはルビーよりも価値が低い石だから、指輪よりも価格は下だぞ?」
「そういう問題じゃあありません。実際の値段ではなく、ぱっと見で高そうなものはお勧めしないと言っているんです。そうですね、あくまでもアクセサリーにこだわるのならばあのような専門店ではなく、路上で売っているようなもっとチープな……というと言葉は悪いですが、お手頃価格なものが良いと思います」
「アクセサリーで安物を贈るのは私が嫌だな……仕方ない。アクセサリーは受け取って貰える様になるまで我慢するか……」
ぼやく様に言ったロイは、ではと言葉を続けた。
「アクセサリー以外だったら、一体何が良いと思うかね?」
「そうですね……」
とリザは言葉を切って考える。すぐに目に入って来たのは、目の前の雑貨屋だ。
「こういう雑貨屋で、ちょっとセンスの良い小物や可愛らしい小物……まずはそう言ったものを贈ってはいかがでしょう?」
「なるほど。だがなあ……女性の言う可愛いの感性が私にはよく分からないんだ。彼女達は何にでも可愛いって言わないか?」
困った様に頭を掻くロイに、リザも確かにと吹き出しそうになる。
「この前、アームストロング少佐に対しても事務方の女性陣は可愛いって言っていたしな……あれのどこが可愛いんだ?」
「髪型がとあるキャラクターにそっくりで可愛いんだそうですよ」
「ふーん、キャラクターねえ……」
そう言ったロイは手に持ったマグカップをちらりと見て。
「ならばこういうキャラクター物の小物なんて、どうだろう? もし、君が貰ったら嬉しいか?」
「私でしたら……」
と、リザはロイの手にあるマグカップに視線を止めた。ハヤテ号そっくりの子犬がこちらを見ているそれは、とっても可愛らしい。本音を言えば喉から手が出るほどに欲しい。欲しいが、やはりそれをロイに表明するのは恥ずかしい。だが、どうせ贈られるのは自分では無いのだからと自分に言い訳して、リザは正直な気持ちを言う事にした。
「嬉しいと思います。……私は犬が好きなので。お相手の方も愛犬家ならば、きっと喜んで貰えるのではないでしょうか」
「そうか。参考になった、ありがとう」
リザの答えに頷いたロイは、止める間もなくにワゴンの中にあったその犬のキャラクターの付いた小物類を買い占めてしまう。その戦利品を手にし、満足げな顔をしてロイは司令部に戻っていった。
その背を見送ってリザは思う。
あれを受け取った女性はきっと喜ぶだろう。女は可愛いものが好きだから。そして、ロイも贈るプレゼントに悩む様な、大切な相手を喜ばせる事が出来て嬉しいだろう。二人の仲がどういうものなのかは知らないが、きっとその後その距離は縮まり、仲は進展するに違いない。
しかし、リザの気持ちは少々複雑だった。
リザはプレゼントを受け取る女性が、ちょっぴり。いや、とても羨ましくなってしまったのだ。あの犬のキャラクターの小物が欲しくて羨ましいのか、それとも、ロイからプレゼントを貰えるのが羨ましいのか。自分でもよく分からなかったけれど。
「いいな……」
思わずぽつりと呟いて、リザは未練を吹っ切るように首を振ると買い物袋を持ち直して帰宅を急ぐのだった。


その夜、大量の犬キャラクターグッズを持ってロイがリザの部屋を訪れ、そして、今日が自分の誕生日だった事にリザは気がつくのだが。それはもう少しだけ未来の話である。
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by netzeth | 2014-07-31 00:58 | 日記 | Comments(0)

SS詰め合わせ

◆遠回り◆


ロイ・マスタング大佐とリザ・ホークアイ中尉が帰路を共にする時、必ず二人の間で意見がぶつかる事柄がある。それは、どちらの家に相手を送って行くかというもの。ロイからしてみれば軍人といえどリザは女性。男が女性を送るのは当然だという論調であり、リザにしてみればロイは上官。自分は副官兼護衛であるのだから自分がロイを送るのは当然という主張である。
二人の言い争いは大抵は平行線で、絶対に意見を曲げないリザに最終的にロイが折れて彼女に送って貰う事になる――それがこの二人の間での常であった。
ロイの自宅へと至る道を歩きながら、リザはそんな事を思い返していた。偶然帰宅時間が重なったり、時には一緒に食事を取ったりした帰り道。何かと言えばこの送る送らない論争は勃発したものだ。結局は頑固な自分をいつもロイは尊重してくれていた。
けれども、そんな問答も今夜は必要無い。
あれから様々な事があり、いつしか二人は恋人同士となった。そして、今日は初めてリザはロイの部屋を訪れるのだ―つまり今夜、リザは自宅には帰らない。
改めてその事実を確認すると何だか恥かしくなって、リザは傍らを歩くロイを見上げた。いつも通り斜め後ろを歩こうとしたリザを、恋人だから……と言って隣に招いた彼。少々緊張気味なリザとは裏腹にロイはいつも通りに見える。それが何だか悔しく、そして余計に経験値の少ない自分が情けなく思えた。そりゃあロイは女性を部屋に連れて行く事なんていつもの事で、とりたてて特別な事では無いのかもしれないけれども。
リザはワザと足早になると、ロイに先んじて道を行く。自分が前を歩けばこの余裕の無い狼狽えた顔を見られずに済むだろうかと。
けれども、リザが街路樹が茂る広い通りへ出ようと道を曲がったところで、
「中尉。違う、こっちだ」
振り返るとロイがリザが曲がった道とは逆方向を指差している。
リザは混乱した。
今まで何度となくロイを送って来たのだから、道を間違えるはずはないのだ。確かこの銀杏が植えられた石畳の歩道が続く道をまっすぐに行き、突当たりにある市民公園を通り抜けるのがいつものルートのはず。
「……いつもこちらの道ではないですか。近道だとおっしゃって」
そう指摘すると、ロイはバツが悪そうな顔をした。
「いや……そっちは遠回りだ。実は最短距離はこっちの道」
ロイの告白に驚きよりも何故という疑問が湧き上がった。 今まで何度もロイ送って来たこの道を遠回りだと知りながら、彼は何故近道などと偽っていたのか。不可解だというその表情がリザの顔に出ていたのだろう。彼女のそんな顔を見て、ロイは照れた様に笑ってこう言った。
「……少しでも長く君といたかった。……今日はそんな必要はないからな」
何しろ君は帰らない。
ロイの言葉をゆっくりと咀嚼して、その言葉を飲み込むのと同時に、リザは胸の奥がどうしようも無く熱くなるのを感じた。
――ああ…もうずっと、彼は私を想っていてくれたのだ―。
「……バカですか」
「ああ、バカだな」
君の事となると私は大バカになるんだ。
――ロイの顔が見られない。今、自分はきっとみっともない顔をしているだろう。
だから、リザは俯いたまま、ロイの手を取るとその手を引いて歩き出した。彼を引っ張る様に前を歩いていく。
「お、おいっ、中尉?」
後ろからロイが戸惑った様な声を上げたがリザは構わなかった。
――この胸に溢れる想いを私も貴方に伝えたいから。
早くロイの部屋に着くように、今度はちゃんと近道を選んで。リザはロイと二人、夜道を歩いて行ったのだった。


◆甘い甘い飴玉◆


「あああああー! もう我慢出来ん! 腹が空いたぞ!!」
グーグーと鳴く腹の虫に耐えかねてロイが騒ぎ出したのは午後4時過ぎの事。
実を言うと朝から彼は何も口にしていなかった。早朝会議に遅刻しそうになり朝ご飯を抜いたのは自業自得だが、それ以降の忙しさで昼食も取り損ねたのは彼の咎では無いだろう。
「もう少々お待ちを。手が空いたら何か持って来て欲しいと先ほどハボック少尉にお願いしておきましたから」
手元からは視線は外さず、書類を手繰りながらリザが宥める様な口調で言う。
本来ならばリザ自身がロイの軽食を用意するのだが、彼女が動かないのはそんな余裕が無いほど忙しいからだ。正直席を立つ時間でさえ惜しいのだ。
「それにしては遅いな! ハボックの奴、何をしているんだ?」
「手が空いたら、と申し上げましたでしょう? 少尉だって忙しいんですよ。もう少しだけ我慢して下さい」
「嫌だ! もう我慢出来んぞ。私には糖分が必要なんだ。エネルギー補給しなければ人間は動けないんだぞ!?」
まるで子供の様に駄々をこねるロイにリザはため息をつく。
「今は目の前の書類に集中して下さい。そうしたら空腹だって紛れますよ」
「ダメだ。書類に集中しようにも腹が減って集中出来ん! あ~熱々のピッツァが食べたい。ニンニクの利いたパスタが食べたい。分厚いリブロースステーキが食べたい。アップルシナモンロールが食べたい。リザが食べたい」
「……さり気なくセクハラ発言を混ぜないで下さい」
「良いじゃないか、私はとにかく糖分が欲しいんだ! 甘いやつが!」
食料と甘いスキンシップ。二つの意味で飢えているとロイが訴えれば、
「仕方ありませんね……」
再び深くため息を吐いてリザが何かをポケットから取り出した。
「これでもう少し辛抱なさって下さい」
彼女の手のひらに乗っているのは、蛍光ピンクの包み紙も鮮やかな…飴玉である。
「なっ、そんな物で私が満足出来ると君は思っているのか!?」
子供じゃあるまいし。やはり二重の意味で憤慨するロイにリザは小首を傾げて悪戯っぽく笑う。
「そうですか? とっても甘い甘い飴玉なんですけど」
言うやいなや、リザは飴玉を包み紙から取り出して自分の口の中に放り込んだ。意表をつく行動にロイは一瞬呆気に取られ、ポカンと口空けてしまう。
その開かれた口元にリザが素早く唇を重ね、一瞬の口づけ…いや口移しをした。リザは口に含んでいた飴玉をロイの口内に押し込んだのだ。
「……ほら甘くて美味しいでしょう?」
「ああ……」
呆けた表情で頷くロイに、リザは一仕事を終えた満足げな顔を見せた。
「お待たせしました! 遅くなって申し訳ないッス」
その時、ノックもそこそこに執務室内に入って来たのはロイが待ちかねていたハボックだった。彼は片手にサンドイッチが乗ったトレイを持っている。
「飯のお届けですよ~ってあれ?」
しかし、ロイは彼に感心を示さず、ボーッと顔を赤くして固まっている。拍子抜けの上司の反応にハボックは首を傾げる。そんな彼に告げたのはリザだ。
「ありがとう、少尉。でも大佐はもう、お腹いっぱいのようよ?」
「へ? せっかく腹が空いたって騒いでるって言うから超特急で持ってきたのになあ…じゃあ代わりに中尉が食べます? 中尉だって今日はろくに飯、食べてないんスよね?」
「そうね。でも、ごめんなさい。私もお腹いっぱいなの。とっても甘い飴玉を食べたから」
「へ? 飴玉?」
そんなもので腹が膨れるのか、と不思議そうにしているハボックに、
「ええ、とてもとても甘かったから」
そう言ってリザは微かに顔を赤らめて笑うのだった。


◆採点◆


「大佐、手が止まってますよ。マイナス5点」
「う…ちょっと休んでいただけだ。見ろ、もうここまで終わったんだぞ?」
「あら……本当に、もうずいぶん進んでいたんですね。プラス5点。……誤字を見つけました。マイナス1点」
「あの~~会話中すんませんけど」
「なんだ? ハボック」
「……さっきから中尉が語尾に付けてる数字、なんなんすか?」
「ああ、これはな。ポイント制だ。この中尉ポイントが100点たまると、中尉がちゅーしてくれるんだ」
「……はあ、さいですか。ところで今、何点たまってるんです?」
「今? 今か?……え~と…」
「マイナス563点です、大佐」
「そうそう、マイナス563点」
「……中尉。ちゅーする気ないでしょ……」


◆マスタングは混乱している!◆


二月十四日。バレンタインデー当日の朝、己の執務室にて。
朝、彼女と顔を合わせると同時に差し出された物にロイは目を剥いた。

「中尉……まさか…これは……」
「はい、チョコレートです」
「うん。チョコレートだな。まごうことなきチョコレートだな……それも、このラッピングはまさか……」
「はい、僭越ながら手作りさせて頂きました」
「つまり、これは……本命チョコと判断していいんだな?」
「どうぞ。そのつもりでお渡ししております」
「……ありえない」
「…………は?」
「いいかね!? よくよく考えてみたまえ。綺麗だね、可愛いねと誉めても顔色一つ変えず、毎日デートに誘おうが、花をプレゼントしようがまったく靡かなかった君がっ、いつも私の口説き文句を無表情で軽くあしらっていたあのリザ・ホークアイ中尉がっ、私にチョコレートをくれるなんてある訳がない!! しかも、義理チョコならばいざしらず、どう見てもあの人に喜んで貰いたいのv きゃっvv という乙女の気合いが感じられるラブリーキュートなラッピングの手作りチョコレートだと!? 見ろ! 包み紙にはピンクのハートが散っているぞ!? しかも、メッセージカード付き! アイラブロイ!? ふざけるな! 私を騙そうったってそうはいかないぞ! こんなこと現実に起こり得る訳なかろう! 例えこれが夢だとしても、朝一でいきなり大本命の君からチョコレートをもらえるなんて話が出来すぎているぞ!? ここは、朝から私と君との「私にチョコレートはくれないのかね?」「大佐はもうたくさんの女性から頂いていますでしょう?」みたいなじりじりした駆け引きがあって、それでも秘かに手作りチョコを携えて来た君が、とうとう渡せずに一人寂しく夕暮れの執務室で自らのチョコを食べているところに私が登場、そして、「君のチョコが欲しい。君のでなければ欲しくない」「……大佐が他のチョコを食べないというのなら、あげます……」みたいな胸キュンエピソードを経た上でようやくチョコの贈答が終了する……というのが、セオリーではないのかね!? もちろんその後のチョコよりも君が食べたいんだ……という大人のラブシチュエーションへのチェンジもセットでな! 私は信じないぞ、断固信じない! こんなことあるはずがない! さては君は中尉であって中尉でないな!? 正体を表せ!!」
「…………で、いらないんですか? チョコ」
「いる」

********************

ホークアイ中尉の攻撃! ホークアイ中尉は道具を使った!
本命チョコの効果はばつぐんだ!! マスタングは混乱している!
……こんな話でした。 


◆魔女の一撃◆


「なあ、聞いたか? 大佐今日、休みなんだってな。サボりはするけど休むこと無かったのにな」
「それなんだがよ。どうもぎっくり腰らしいぞ?」
「ぎっくり腰~!? そりゃあ気の毒だな…腰は男の命だぞ…って、そういやあ、昨日は大佐、中尉と初めてデートだって浮かれたよな。…もしかして」
「ああ、大佐の休み連絡をしてきたのは中尉だ。俺が電話に出た」
「やっぱり! ちぇっ同情して損したぜ。どうせ昨晩は歳考えずに張り切り過ぎたんだろうよ。中尉も大満足なんじゃね?」
「それがな、どうも違うみたいだぞ」
「へ?」
「…結論から言えば未遂らしい」
「どういう事だ?」
「俺もぎっくり腰の原因が疑問でな、電話して来た中尉にそれとなく聞いてみたんだが…」
「が?」
「張り切って中尉を寝室へと抱き上げて行こうとして…やっちまったらしい」
「うわあ…それ、男のプライドずたずただな。さすがに同情するぜ」
「それだけじゃない。大佐の腰を破壊するほどの体重なのかしらと中尉もエラく落ち込んでてな…ぎっくり腰は魔女の一撃なんて言われたりするが、まさに中尉の一撃って奴だな」
「いや、その冗談笑えないし。……ああ、だからか」
「……ああ」
「中尉が来て早々、トレーニングルームでひたすら走ってるのは」
「少しでも軽くなって大佐への負担を軽くしようっていうんだろ。…健気だよな…」
「まあ、そうだけどよ。でも」
鍛えるべきはホークアイ中尉でなく大佐だろう、とハボックは思うのだった。


◆気遣いの男◆


直属の上司が不機嫌な顔をしている――なんてのは見慣れた光景だ。嫌みな将軍に当てこすりされたり、熱愛されているテロリストから殺害予告を貰ったりなどいろんな方面に大人気の己の上司がしかめっつらをしている事など珍しくない。まして、特に書類をため込んでは締め切りぎりぎりになって処理している姿などは日常茶飯事であり、その時には自業自得であるのにも関わらず彼は例外無く機嫌が良くない。とまあこのように、いつもなら上司が不機嫌なのは取り立てて驚くべき事ではなかったのだが、しかし。今日の東方司令部において前述の問題は深刻なものとして俺達マスタング組の者達に受け止められていた。
何故なら。
今日に限ってその不機嫌な上司が黒髪ではなく金髪で、しかも麗しい女性の方だったからである。
「というわけで。大佐。何したんスか? とっとと謝ってきて下さい」
「そうですよ~。中尉があんな顔なさっていたら、僕気になって気になって仕事が手につきませんよ~」
「待て。……どうして中尉が不機嫌な顔をしていると私がまず一番に事情聴取を受けるんだ」
部屋の隅っこで輪になってヒソヒソと話している俺達であったが、その輪の中心にいる大佐が不満そうに口を歪めた。
「他に誰が何をするっていうんですか。大佐が原因に決まっているでしょう」
「そうですよ。さっさと謝って機嫌を直して頂かないと……」
「いや、知らん。私は何もしてない」
「またまた~どうせなんか中尉を怒らせる様な事したんでしょう?」
「決めつけるな!」
あくまでも声を潜めてだが、大佐は憤慨した様に声を荒げる。あまりにきっぱりとした否定に俺、ブレダ、フュリー、ファルマンの面々は一様に顔を見合わせた。
「……どう思う?」
「う~ん、大佐が原因じゃなくて中尉があそこまで不機嫌な顔するかあ?」
「ですよねえ……」
「大佐が自覚してないだけでやっぱりなんかした、とか……」
「やっぱりそうとしか思えないよなあ」
「ま、大佐が原因だろうがそうでなかろうがとにかく中尉には機嫌を直して頂かないと……我々も仕事しづらいですな」
「とにかく中尉と話して理由を……」
「おい、こらっ。おまえ達、私を無視するな!」
円陣を組んで話し合いをしている俺達の輪から閉め出された大佐がまたも不満の声を上げる。そこで俺達マスタング組野郎共は一斉に振り向いた。無視から一転その視線を受けた大佐がたじろいで後ずさりする。
「な、なんだ」
「中尉に不機嫌の理由を聞くのは大佐が適任だと思う人!」
「はい」
「はい」
「へーい」
「はいっと、じゃ決まりッスね」
「賛成多数により本件は可決されました。では、大佐。お願いします」
ポンとファルマンに叩かれた大佐の肩が小刻みに震えている。
「待て、こら」
「なんですか? 多数決は民主制の大原則ですよ?」
「何が民主制だ! こんなのは数の暴力だろうが!」
「何言ってんスか。民主制目指している人が多数決否定したらダメでしょ」
涼しい顔で俺は言うと大佐は言葉に詰まった様で、ぐっと喉を鳴らした。彼に味方をする者はこの場には存在しないのだ。当然である。ホークアイ中尉はマスタング大佐の担当なのだから。
「だがな……」
それでも、いかに大佐でも不機嫌な中尉に近づくのはそれなりの勇気がいる様で、相変わらず渋った顔をしている。
「大丈夫ッスよ。『ははは、中尉。どうしたそんな顔して? 欲求不満かね?』とかセクハラじみた聞き方しなけりゃ、中尉も別に怒りませんって」
「するかっ……おまえ、私をどういう目で見ているんだ」
「まあまあ。とにかく我々は大佐になら中尉もあのような顔をしている理由を話して下さると思っているのです。大佐だけが頼りなんですよ」
「ま、まあ、な? 彼女は私にぞっこんだからな? よし、私が大人の男の気遣いってもんをみせてやろう。中尉から速やかかつスマートに理由を聞き出してみせる!」
ファルマンの見え透いたおだてに乗った大佐が自信満々に頷いて見せた。……扱い易い人である。
という訳で。
大佐が中尉に近づいていくのを、俺たちは遠巻きに眺めることになったのだが。
「ははは、中尉。どうした、そんな顔して? 二日目かね? 少し休んでくるとい……」
響き渡る銃声が大佐の台詞にかぶった。
顔を真っ赤にしながら発砲する中尉と逃げる大佐。俺たちはそんな二人をやっぱりただ眺めていることしか出来なかった訳だが。
「……なあ、大佐って本当にプレイボーイなのか?」
「あのデリカシーの無さで女性にモテテいらっしゃるとしたら、ある意味すごいですよね……」
「きっとデリカシーを高級菓子かなんかだと思ってるんだろうよ……」

ちなみに中尉が何故不機嫌な顔をしていたかと言うと……親知らずが痛んでいただけとかいう理由だったということを記しておく。


◆好きじゃない訳でもない◆


――どうも私は好きになってはいけない人を好きになってしまった気がする。

その疑念が確信に変わったのはつい最近、私の誕生日がきっかけだった。
「これを君に。気に入って貰えるといいのだが」
渡されたのは赤い石のピアス。私が先日なくしてしまった愛用のピアスと同じものだ。内心少し落ち込んでいた私は驚いた。もちろんそれを顔に出したり、ましてピアスをなくした事さえ誰にも口外していなかったというのに。彼はいつの間にか察して私にプレゼントしてきたのだ。それまで、彼の副官になってから一度だってプレゼントなんてよこした事も無いくせに、突然。
「こんな高価な物を頂く理由がありません」
驚いてすぐに、突っ返そうとした私だが、
「高いものじゃない。本当だ。高価なものだと君が受け取ってくれないと思ってね、安価な物をわざわざ買った。それに、理由ならばちゃんとある。今日は君の誕生日じゃないか。プレゼントを贈っても許される日だろう?」
誕生日をわざわざ覚えていてくれた上に、必死の形相でそうまくし立てられれば受け取るしかなかった。
その日から私は彼に貰ったピアスをするようになった。プレゼントされた手前付けない訳にもいかなかったのだ。それから毎朝挨拶をする時に、彼の視線が私の耳たぶを掠める。すると彼はとても幸せそうに笑うのだ。
思えば、もう、それがダメだった。
皮肉気な冷笑を浮かべる事が常の彼の口元。そこに、生まれた暖かな微笑み。それが、自分に起因しているなんて自覚してから、私はおかしくなってしまった。彼が幸せそうにしていると、私も幸せで、嬉しくて。そんな不可解な気持ちを、どうやらこれは好きと言うのではないか? と気づいて私は大いに慌てた。
彼は私が好きになってはいけない人だったからだ。
何といっても彼と自分は上司と部下で、そもそも恋人としてお付き合いするには適さない関係だった。加えて私達には未来を見据えた目指すべき目的がある。その達成のためには不適切な関係の構築などもっての他だった。こんな感情邪魔でしかないのだ。きれいさっぱりすっぱり捨てるに限る。はい、さよなら。そうして、焦りに焦った私は彼を好きじゃなくなるべく、努力する事にした。
(好きじゃなくなるなんて、簡単だわ。大佐の嫌なとこを列挙してみればいいのよ。そうすれば、即、幻滅して、この気持ちも消滅するはず)
私は書類に没頭している彼にちらりと視線を送りながら、考え始めた。
――書類をため込むくせにデートにはきっちり行く所……女性にはへらへら笑って軽薄な所……届いたラブレターを部下に見せびらかす所……。
(っちょ、全部、ぜーんぶ! 女関連じゃないっ、これじゃあただ嫉妬しているみたいでしょうが、私っ!)
ああ、もう。他にないの? 見た目……漆黒の瞳とサラサラした同色の髪…は、とても綺麗。性格……一見だらしなく見えるけど、やる時はやる頼もしさ。意地悪く見えるけど実はとても優しいそのギャップ。……それは好きな所じゃないの、自分。
「……中尉? どうした難しい顔をして」
「あ、いえ。大佐の嫌な所を上げ連ねておりました」
――いろいろ失敗してますけど。
と。突然話しかけられた私はうっかり正直に話してしまう。当然ながら彼は傷ついた顔をして。
「……君、私の事嫌いなのか」
そりゃあ普段から君に迷惑をかけっぱなしだからな、好かれてるとは思っていないが……なんてぶつぶつこぼしている。
ち、違うんです、嫌いじゃないんです! むしろ好き――と反射的に言い訳を口にしそうになって私は唇を噛みしめて耐えた。嫌いになろうとしているそばから告白してどうするのだ。
もっと冷静になって彼を嫌おう。そうだ。まずは、彼が嫌がる事をしてみると言うのはどうだ。彼に私が嫌われれば私も彼を嫌えるかもしれない。
「あの大佐。突然ですが、大佐の好きな食べ物って何ですか?」
「本当に突然だな。好きな物……? 私の好物なんて君、とっくに知っているだろう。ビーフシチューだよ」
そうだった。
彼は昔からビーフシチューが大好きで、私がビーフシチューを作るとうまいうまいと何杯もおかわりして……そんな彼を見ているのが私は好きで……。違う違う。そうじゃない。
「あの、出来ればこれがあれば生きていける、これがあれば勇気と元気が百倍! ウハウハみなぎる! みたいな特別なのが良いんですけど」 
「う、ウハウハ……? そんな事聞いて一体どうする…あ、もしかして…?」
私に作ってくれるのか…? なんて彼は期待に瞳を輝かせる。そんな彼を見ていたらば、嫌がる事をする――という決意が鈍りそうになる。まずい。
「違います。大佐が三食抜きでさぼった書類の締め切りに追われて飢えに飢えているその目の前で、大佐の元気の源を見せびらかしつつ食べようという嫌がらせのためです」
「そんな手間暇かけた嫌がらせを……? どんだけ私の事嫌いなの、君……」
落ち込む彼を見ていると、胸がきゅうんと痛んだ。心を鬼するのよ、リザ・ホークアイ。彼を嫌いになるのだ。それが彼と私のためだ。
「はい。ですから、教えて下さい」
強く言う私に押されてか、彼は渋々ながらも答えてくる。
「………ィ」
「え?」
「……君の作ったアップルパイ。それがあれば私は生きていける」

…………ああ、もう。嫌いになんてなれる訳ないじゃない!



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by netzeth | 2014-07-31 00:27 | Comments(0)

女の喧嘩

「近頃噂で、カタリナ少尉とホークアイ中尉が言い争っていたと聞いたのだが、何か知っているか?」
司令部の下士官が集まる休憩室にやって来て、勝手に自主休憩をとっている上司が茶を啜りながら尋ねたのに対し、生真面目に対応したのはメガネの後輩だった。
「ああ、あの時のことですね。実は僕、近くに居て少しだけ内容が聞こえたんですけど……」
「何? 本当か? あんなに仲が良かった二人が諍いを起こしたと聞いてな。気になっていたんだが……喧嘩の原因は何なんだ?」
「僕が聞いたところによると、何かの貸し借りで揉めていたようでした」
「もしや……金銭トラブルか?……確かに、どんなに熱い友情も金で揉めれば最後、儚いものだと相場は決まっている。……しかし、あの二人がなあ……」
「そうですね……あ、でも、僕は本当にちらっとしかお二人の話は聞こえなかったので、金銭トラブルと決めつけるのは早い気がします。そうだっ、ハボック少尉はあの時、僕より近くでお二人の喧嘩を見てましたよね?」
「ああ」
話を振られたので、仕方なくハボックは返事をした。
「それは本当か? 一体何の話で喧嘩をしていんたんだ?」
上司――ロイに問いかけに、ハボックはしばし沈黙して……その脳裏に一連の出来事を思い起こしたのだった。



「あーもうっ、ムカつくわー!」
「どうしたの、レベッカ。カリカリして。カルシウム不足? イライラは美容に良くないからいつも笑っていてやる! って公言している貴女らしくないわよ」
「でもね、リザ。ムカつくものはムカつくのよう。あー思い出すだけで、向かっ腹が立つわあ」
「一体どうしたの?」
「昨日さあ、ウォーレンストリートに買い物に行ったのよ」
「ええ。昨日は貴女非番だったものね」
「ストリートへの近道でさ、五番街の角のカフェからの脇道知ってる?」
「ええ、知っているわ。脇道って言っても結構賑やかな通りよね、あそこ。人気の食べもの屋とかあるし……よく、若い子達が集まっているわよね」
「そうそう、そこよ。あそこチャラついた男が多くて、別名ナンパ通りって言うんだけどさー」
「そうなの?」
「そうなの。昨日そこを通ったら案の定ナンパされてさー。もー鬱陶しいのなんのって。こっちがその気の時なら遊んでやっても良いけどさ。気分じゃ無い時にどーでもいい男にまとわりつかれるのって、本気でウザいわ。おまけに冷たくしたら、せっかく声かけてやってるのにお高く止まってんじゃねーよ、とか暴言吐かれるし!」
「それは確かに嫌ね。それにしても、あそこそういう通りだったのね……どうりで通る度に声をかけられると思ったわ」
「何よ、リザも経験あり?」
「ええ。実はあの通りの奥まった所にペットショップがあってね、そこのドッグフードが気に入っているの。栄養満点で育ち盛りのハヤテ号にはうってつけなのよ。でも、そこのお店にしか置いて無いから……」
「ふーん。定期的にナンパ通りを通らないといけないわけだ」
「そうなの。いつもは無視して通り抜けるのだけど……この前はしつこいのに当たっちゃって、ちょっと困ったわ。まさか、銃を抜く訳にもいかないしね」
「当たり前でしょ。銃を抜いてしかも発砲しても、ちょっとおいたが過ぎるなあ中尉は。くらいでスルーしてくれんのはアンタんとこの上司と愉快な仲間達だけだよ」
「ちょっと、それだと私も愉快な仲間達みたいじゃないの」
「違うの?」
「…………まあ、いいわ。とにかくしつこくて困っていて、もう良いから実力行使で畳んじゃおうかなって思った所に、ちょうどハボック少尉が通りがかってね、私に声をかけてくれたから助かったわ」
「あら、あいつにしてはナイスタイミングじゃない。……多分ナンパ相手にとって」
「本当よ。あんなにしつこかったのに、少尉が現れたらナンパして来た男の人あっという間に居なくなったのよ」
「なるほどねー、うんうん。やっぱり男が居るって見せつけんのが虫除けには一番効果的よね。確かに、あのナンパ通りの話他の女子に振ってもさー、「え~? あたしあそこよく行きますけど、ナンパなんてされた事ありませんよぉ~あ、彼氏と一緒だったからかなあ?」とか言われちゃうし。リザぁ……ほんと、お互い独り身は寂しいわよね……」
「そうね、レベッカ……。確かに、恋人が一緒ならあの通りもいつも普通に通れるんでしょうね……」
「ううっ、よーし! 今夜は女同士一緒に飲みましょ! 独り身同士慰め合いましょ! 心の友よ!!」
「うんっ、て言いたい所だけど、ごめんなさい、レベッカ。今夜はその例の通りにドッグフードを買いに行きたいの。今、セール期間中でこんなチャンス滅多に無いから、買いだめしておきたくって」
「そうなの? まー可愛いワンちゃんのためだもの、仕方ないかあ……でも、大丈夫? 夜にあの通り通ったら、質の悪いのにまたナンパされない? いつもいつもハボックの奴が偶然現れる訳もないしねえ……」
「それは大丈夫だと思うわ。大佐が居ると思うから」
「は?……リザ、それどういう意味? アタシキイテナイワヨ」
「どうしたの? 怖い顔して」
「いいから。早く、話しなさい」
「……実は、ナンパされてハボック少尉に会って助かったって話を司令部でしたら大佐がそれを聞いていてね。それから必ずあのペットショップに行く日は私に付いて来るようになったのよ。ドッグフードが無くなるタイミングで声をかけてくるから断れなくって。内緒で行こうと思っても、必ず私をあの通りの手前で待っているんですもの。大佐の方が質が悪いわよね」
「……何よ、それ」
「え?」
「何よ何よ何よ、それぇぇぇぇ! それで、何独り身の女の悲哀に同意してくれちゃってんのよ! あたしの純真な思いを返せ!」
「ま、待って、レベッカ。落ち着いて。私は独り身よ。恋人だって居ないし……」
「大佐が居るじゃないさ! ナンパを心配して付いてきてくれる頼もしいナイトがさ!」
「何を言っているの? 大佐は上司よ?」
「だから恋人カウントじゃないって訳? だったら! あたしにもあの通りを通る時に大佐貸してよ!」
「なっ、だ、ダメよっ!」
「何で!? 恋人じゃないなら、良いじゃない! 貸せるでしょ!」
「……こ、恋人じゃないけど……でも、ダメ! 何かダメ!」
「どうしても?」
「ど、どうしても。どうしてか、ダメ……」
「貸して!」
「ダメ!」
「貸して!!」
「絶対ダメ!!」



「あ――俺から言える事はですね……」
蘇ってきた記憶になま暖かい気分になりながら、ハボックは言った。
「何だ」
「……女の友情は金じゃなくて、男関係で脆くも崩れ去るって事です」
「何だと……?」
意味が分からないという顔をしているロイに、ハボックは曖昧な笑みで明言を避けたのだった。



END
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by netzeth | 2014-07-31 00:27 | Comments(0)

ハッカ油

殺人的暑さだった土日に比べて今日は涼しかったです。暑いと早起きになりますが、快適だと寝すぎてしまいます。寝坊しました。

最近虫除けにハッカ油を扇風機にちょいと垂らして風で拡散しているのですが。うっかり顔に飛んできまして、顔が大変な事になりました。すーすーする(笑) これ体につけるととんでもなく涼しくなるんじゃないの?と思いましてぐぐって見たら、やってみた人のツイートを拾いました。何でもかつて体験したことの無い寒さに襲われるだそうです。ちょっと試すには勇気がいりますね。


拍手ありがとうございます(*^_^*)

以下SSを書きましたので、よろしければどうぞ。そんなに長くないのでこちらに。ところで日記にUPするのはお手軽で良いのですけど、埋まってしまうと行方不明になります(笑)自分でも過去に何を書いたかよく分からなくなるので、ちゃんと掘り起こして小説ページに置こうかなあ。





「お帰り下さいっ」
ドアをノックして待つことしばし。誰何の声に己の来訪を告げた途端に返ってきたのはとても恋人に告げるとは思えぬ、無情な言葉だった。
「どうしてだね。せっかく来たというのに、中にも入れて貰えず門前払いとは酷すぎないか?」
「…………私の気持ちなどお分かりでしょう?」
「分かっているさ。だから、分かった上で言おう。……はい、そうですかと私も帰る訳にはいかないね」
ドアを開けて貰えぬならば少々乱暴な手を使ってでも押し入るぞ。そんな物騒な言葉を放つロイに抵抗を諦めたのか、扉の向こうから施錠を解除する音が聞こえてくる。
「きゃん!」
そして、扉が開くと同時に飛び出して来たのは彼女の小さな家族だった。忙しなく尻尾を振ってロイに飛びかかり、その足下に纏わりつく。
「こらっ、ハヤテ号。お前の相手は後でだ。それよりも……中尉を……」
興奮する子犬を落ち着かせて胸に抱き上げて恋人の部屋の玄関先に入り込めば、いつの間にかリザの姿は消えていた。どうやらハヤテ号をロイにけしかけている間に、素早く寝室に閉じこもってしまったようだ。
彼女の狙い通りになってしまった事に苦笑しながらも、ロイは持っていた荷物とハヤテ号をリビングのソファーに置くと、リザを追いかけて寝室へと続く扉へと歩く。そしてドアの前に立って勝手知ったるそれを開けようとしたところで。
「……ダメです。入らないで下さい」
またストップをかけられて、ロイは苦笑を深めた。
「どうしてだね? もう、部屋にまで入ってしまったのだから今更だろう?」
「……それでも、ここに入られるよりはマシです」
あくまでも強情なリザはガンとしてロイを自分に近づけまいとしている。その理由が分かるだけに、ロイもそれ以上強引になれずふうっとため息を吐いた。
「……そんなに私に風邪を移すのが嫌かね?」
「ただの風邪ではないんです。今年の風邪は質が悪くて、感染力も強いとお医者様がおっしゃっていました。ですから、私の事などご心配なく。……速やかにお帰り下さい」
「そうはいくか。私が帰ったら、誰が君の看病をするのかね?」
「……ハヤテ号がいます」
「ほう? ハヤテがご飯の支度したり薬を用意したり熱冷ましの冷たいタオルを用意してくれたりするのかね?」
「…………」
沈黙は降参の証だろうか。ロイに心配する事も看病する事も許してくれないツレナい恋人。だが、ロイだって引き下がる気はない。恋人が病気で苦しんでいる時こそ、そばにいてやりたいと思うのが男心だ。……きっとリザの事だロイに風邪を移して仕事が滞ってしまう事を心配しているのだろうが。
「中尉?」
しかしあまりにもその沈黙が長い事に気づき、ロイは慌てて寝室のドアを開けた。鍵などないのであっさりとそれは開く。そのまま中に入れば、ドア付近でリザがへたり込んでいるのが目に入り、ロイは大いに焦った。
顔を赤くして苦しそうにリザが呼吸している。ロイの姿を認めて立ち上がろうとした彼女だが、そんな力など残っていないのだろう。膝に力が入らず、リザはその場にくずれ落ちた。
「中尉!」
リザのそばに膝を付くと、ロイは素早く彼女を抱き上げてベッドへと運んだ。間近で感じた体温はひどく熱く、具合がよろしくない事をロイに教える。
「……まったく、君は。私を気遣う暇があったら、もう少し自分の心配をしろ」
ベッドに寝かせて毛布を上からかけようとすれば、しかしリザはそれに抗うように上半身を起こした。
「私はっ……平気…ですから、ですから、大佐。貴方は早く、お帰り下さい……っ」
あくまでもリザはロイを病身の自分から遠ざけたいようだ。この期に及んでまだ言うのか。とロイはその見上げた精神力に感心しつつも、少しだけ苛つきを覚えた。恋人同士という間柄でも弱みを見せようとせず、ロイに頼ろうともせず、あくまでもロイの心配をして自分は二の次なリザ。……そんな彼女が愛おしくも憎らしい。
「風邪が移ってしまう前に……お早く……」
「黙りたまえ」
だから、そのうるさい事ばかり言う口を塞いでしまえとロイはリザの背を引き寄せると唇を奪った。
「いい加減にしないと襲うぞ?」
「……もう、襲っているじゃあないですか……」
強行手段の甲斐はあったようで、反論は弱々しかった。彼女の頬が赤く染まっているのはきっと風邪だけのせいではない。
「バカを言え。私が襲うと言うのは、こんなもんじゃない。もっと激しい運動をするという話だよ。……今の君にそんな事を強いるのは忍びない。だからもう、観念して私に懇切丁寧に看病されたまえ。……ちゃんと風邪っぴきに良い料理を作ってやるから」
ロイの優しい脅迫に、リザはとうとう屈する。
「……もう、本当に風邪が移ってしまっても、知りませんからね……」
「その時は、君が懇切丁寧に私を看病してくれたまえ」
くてんとリザの体から力が抜けて、彼女は大人しくベッドに横になる。ようやく素直になった恋人に微笑みかけて、ロイはゆっくりとその髪を撫でてやったのだった。
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by netzeth | 2014-07-29 02:10 | 日記 | Comments(0)

暑い日はアイス

皆様暑いですね、昨夜作った麻婆ナスを置いておいたら半日でいたみました。こんばんは。私は寒い方が苦手なのですが、最近暑さにも弱くなってきた気がします。ちょっと暑いくらい平気だったんですがね、最近はちょっとお外を歩いたり動き回ったりすると、くらくら来ます。何だろう、太ったので脂肪がついて暑さに弱くなったのかな?それだと寒さには強くなっているはずなので、結果オーライなんですけど。

暑いせいで箱買いしたアイスを昨日から合計6本も食べてしまいました。うまか棒2本。イチゴかき氷練乳入を4本……食べ過ぎやろ。それでも足りず、かき氷でも作るかーと思っております。ああ、また太りそう(笑)

このくそ暑い中、冷蔵庫の自動製氷機能が壊れまして、自動で氷が作られなくなりました。冷蔵庫自体は壊れていないので、製氷皿を買ってきて冷凍室で氷を作ってはストックしてます。昔の冷蔵庫では当たり前の作業だったのに、最近自動に慣れ過ぎたせいか想像以上に面倒だー。でも久しぶりに製氷皿を目にしたのでポジティブにとらえてシャービックでも買ってきて作ろうかなと思います。

昨夜は暑かったせいかリザたんのエロい夢を見られました(あつさかんけーなし!)途中で終わってしまったので、続きが見られるかとわくわくしながら就寝しようとおもいます。



ブログコメントを下さったお方様、ありがとうございました。お返事を書きましたので、よろしければ該当記事をご覧ください。

拍手ありがとうございます!たくさんポチポチして頂きまして、とっても嬉しいです ヾ(*´∀`*)ノ
以下続きから拍手コメント(7/26分)のお返事です。

続き
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by netzeth | 2014-07-27 01:36 | 日記 | Comments(0)

カエル

リザたんがカエル嫌いだという新たなる情報を聞いたのですが、マジですか??可愛いなあ(*´`) なんて美味しい設定なんでしょう~。これはカエル創作(違)が沢山見られるフラグですか? ん?そういえば、カエルな感じのキメラの人居ましたよねー(カエルだっけ??)もしかして、リザたん怖がってた?(笑) カエルを追っ払ってくれるマスタングさんは仔リザたんのヒーローだったとか? ああ、可愛い~可愛いなあ……ニヤニヤ。

本日はものすごく蒸し暑いですね。私の部屋はNO冷房なため、過酷な感じです。今年もアイスと冷たい飲み物と扇風機で乗り切ります。そういえば、一昨日の晩襲われていたカメムシさんの死骸を発見してしまった……。嫌だよう…シクシク。お部屋に入って来ないでくれよう。

今夜食べたピノの抹茶味がくっそ美味かった件。でも一番好きなのはアーモンド。でも、大きな箱のアソートにしか入っているの見かけたことがないです。単品ではないのかなあ……。


拍手ありがとうございます!ポチポチ沢山頂きまして、嬉しいです♪
以下続きから拍手コメント(7/24分)のお返事です。



  

続き
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by netzeth | 2014-07-25 00:22 | 日記 | Comments(2)

忘れっぽいです

日記を書くためにブログにログインしようとしてパスワードを忘れたうめこです、こんばんはー。おかしいなあ……もう暗記しているはずなのに、ど忘れしてしまった。何度かトライして何とか思い出しましたけど、こういう時のためにちゃんとメモッとくと良いですね。
忘れたと言えば、愛用している化粧下地が無くなりそうなのでネットで注文しよっ♪といろいろ見ていたら……買い置きがあったとか。良かった……注文する前で。そういえば送料対策で必ずまとめ買いしてたんだよ。

無駄なことは覚えているのに、必要な事を忘れてしまうのは何とかしたいですね。とりあえず寝る前に浮かんだロイアイネタをいつも忘れてしまうのを何とかしたい。寝る前はこんなインパクトの強いネタ寝て起きても覚えとるだろー!とか思うんですけど、100%忘れます。良くベッド脇にメモ置いとけって聞きますけど、まさにその通りですね。というか、メモっても忘れる事が多いので、もうどうすれば。

最近暑いせいかアイスが美味しいです。箱アイスにハマってまして、ついついたくさん買ってきては冷凍庫にストックしてしまいます。あの100円アイス一個分に比べると少量のとこが良いんですよ、なんかちょうど良くて。でも欲しいアイスが近所のスーパーに置いてないんですよねー。アイスほど近所に置いてないと困るものは無いと思う。遠方のスーパーに探しに行っても帰るまでに溶けちゃうし。ドライアイスはどこまで有効なのやら。いっそネットで……と思いましたがアイスってアマゾンさんで扱っているのかなー。あ、ガリガリ君は売ってた。冷凍で配送してくれるのかなー。周りがミルクでコーティングされてて中にイチゴのかき氷入ってて先端に練乳が詰まってるのが食べたいです。



拍手ありがとうございます!
以下続きから拍手コメント(7/23分)のお返事です。

続き
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by netzeth | 2014-07-24 01:24 | 日記 | Comments(0)

拍手を更新

人間多少寝不足の方が体の調子が良いのかもしれません。3連休に寝まくったけど、頭は痛いし気持ち悪くなるし、あまり体調がよくなかった気がします。寝るのもほどほどにという事ですね。

拍手お礼文を更新しました。よろしければぽちっとしてやって下さいね。

うちのブログの仕様だとカウンターはパソコンのアクセスしかカウント出来ないのですが、スマフォや携帯で見て下さっている方々も結構いるのかしら。やはり鋼が連載していたころに比べるとアクセス減ったなあと思いつつも、スマフォやタブレットや携帯などに媒体が変わったのかも?とも思う。そういう自分もスマフォでネットすることが多くなりましたしね~。

現在カメムシに襲撃されているなう。たすけてヽ(´Д`ヽ)(/´Д`)/


拍手ありがとうございます(*^_^*)ポチポチ嬉しいです~!
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by netzeth | 2014-07-23 02:04 | 日記 | Comments(0)

拍手お礼ログ 31

それは淡雪の色に似て


白と黒の境界線と言い表すには少しばかり微妙な所だった。
それほどに曖昧でよーく見なければ違いが分からぬほどの、差異。しかし、ロイの目には確かにその曖昧な境目が映っている。
普段は厚い軍服とアンダーウェアに隠されていて見る事が叶わない彼女の二の腕。それが、今だけはロイの眼前にあった。

「……何ですか? さっきから。人の腕をじっと見て」

彼女は日頃、あまり露出を好まない。それは彼女――リザの背に刻まれている疵痕と入れ墨を理由としている。
彼女はそれを積極的に他人に見せるつもりは無いようだし、またロイもその行為を許すつもりもなかった。
女性相手ならば仕方がないと割り切れるかもしれないが、リザの背を異性に見せる事を許容するつもりはこれまでもこれからも未来永劫絶対に無い。

そんなどうしようもない独占欲を発揮しながらも、ロイはリザの二の腕を凝視し続ける。
露出を好まない彼女が唯一その枷を外す時間。それが今だ。ロイが彼女の部屋を訪問した夜、すなわち恋人達の逢瀬の時間。ゆったりと二人でくつろぐ幸せなひととき。真夏のこの時期は夜といっても気温が高く、風呂上がりのリザは下半身はパジャマのズボン、上半身はタンクトップだけという無防備な姿でロイの隣に座っている。
いつもは見る事の叶わない白い腕にはうっすらとした日焼けの跡がある。アンダーウェアの袖と露出する肌の境目。
元々肌の白いリザなので日焼けをしていると言ってもたかが知れているが、それでも明らかに焼けていない部分とは色が違う。
なんだか美味しそうだ、と思ってしまったのはたぶん魔が差したのかもしれない。

「ひゃ!」
気がつけば舌を出して、ロイはその色の境目を舐めていた。
「な! なっ、何を……!」
恋人の突然の行動に、リザは言葉が続かないようだ。白い顔を赤くし、舐められた二の腕をかばいながらロイを睨んでいる。
「……ん? いや、隠れている部分はこんなに白かったのかと思ってな。味見してみたくなった」
「あ、味見って……肌に味なんてないでしょう!?」
「いや……? そうでもないぞ。君の肌は……甘かった」

ロイは舌に残る肌の感触を思い返す。恋人の肌はまるで淡雪の様に白く、甘美な味がした。
日焼けによって彼女の地の肌が際立って白く見える。おそらくは顔や手などの見えている部分よりも、隠されている肌は本当の雪のように白いのだろう。
かつて、その背を見たときにそれは確かめたはずの事だが、遠い記憶はその白さを鮮明には脳裏に映し出してはくれなかった。
だから、ロイはそれをもっと見てみたいと思った。――この目ではっきりと確かめたい。

「……もっと君の白い部分がみたいな」
そのおねだりは口説き文句と同義だ。甘く彼女の耳に声を落とせば面白いくらいにリザが動揺する。
「……だ、だめ、です」
「どうして……?」
自宅に上がる事を許してくれて、風呂上がりのこんな無防備な姿を見るのも許してくれて、軽いスキンシップという名のおさわりだって許してくれて、一緒に眠る事も許してくれるのに。リザはその身体を抱くことだけはまだ許してくれない。二人はまだ最後の一線を越えてはいない。
「まだ……ダメ?」
プレイボーイとしてシティに名を馳せるロイだが、リザに対してだけは焦りは禁物だと自重している。事を性急に運びすぎて、彼女を傷つけたくはない。大事過ぎる女だから大事にしたい。だから、ずっと彼女が自分を受け入れてくれる様になるまで、その心の準備が出来るまで待ってきたつもりだ。
「君の肌がもっと見たい」
しかし。
偶然に目にした白い肌が、彼の強固な意志を突き崩した。
――真夏に淡雪のような儚い白を見るのも悪くないだろう。

「なあ……絶対にダメ、か?……優しくするから」
頑なな女の心を解すように、ロイはその肩を抱き寄せた。シャワーを浴びたばかりの肌はぺったりと手に吸い付き、体温はひどく高い。赤く染まった耳元に唇を寄せれば、そこは更に熱を持つ。
「……私の肌は大佐が期待するほど白くも綺麗でもないんです」
「そんな事を気にしていたのか?」
ぶっきらぼうに突き放すように言うリザに、呆れた口調を向ければむきになった反論が返ってくる。

「そんな事ってなんですかっ。私には重大な問題なんです」
せっかく甘い雰囲気に持ち込めて、これから初体験へとなだれ込もうとしているというのに、恋人にへそを曲げられては叶わない。
「いいさ。だったら、まずは確かめてみようじゃないか。本当に君の肌が白く綺麗じゃないのか。……話はそれからだ」
そんな事は絶対に無いと思うがね。

そうやって強引に話を進めれば、リザは抵抗を諦めたようだった。少しだけ緊張した面もちだったが、力を抜いて素直にロイに身を任せてくる。
触れあった肌のくすぐったさに頬を弛め、初めての甘い夜への予感に心を焦がされながら、もしかして。とロイは思う。
今までの自分に必要だったのはこのごり押しな強引さだったのだろうか。
ゆっくりとリザの唇に己のそれを落としながら、ロイはきっかけとなった日焼け跡に感謝するのだった。


ノスタルジック


扉を開けた途端に聞こえて来たジャズミュージックに、リザは安堵した。
軽妙に流れてくるそれは蓄音機のものか、はたまたラジオか。どちらにしてもそれは部屋主がまともに生活しているという証拠だ。
それならば両手に持った買い物袋の中身も必要では無かったのかもしれない。
そんな風に思いながら短い廊下を通り抜けてリビングに入った瞬間に、リザは己の認識を一瞬で改めた。
それはヒドい惨状だった。

床に散らばっているのは様々な図形が描かれている紙束。一枚や二枚の話ではない。まるで絨毯のようにそれは床にばらまかれている。
そして、さらにその上には開かれたり伏せられたり積み重なったりしている本。本。本。本の山。それだけでは飽きたらずに床には白いチョークで何やら書き付けがしてある。おそらく紙が足りなくなってそこに書いたのだろう。
そうしてきっと彼は書きながら床のスペースを埋め、また空いているスペースを探して移動していって……と、リザは視線を部屋の隅っこへと持って行った。案の定そこにはこの部屋の主の姿があった。壁際に寄りかかるようにして本に目を落としている、彼――ロイ・マスタング。

夢中で本を抱え込んでいる姿は、リザに懐かしい光景を思い起こさせる。まだ己の父の元で修行していた頃から、彼はこうやって錬金術の研究にのめり込んでは、食べる事も寝る事も忘れるような人だった。生活を疎かにする彼の面倒をリザはよく甲斐甲斐しくみていたものだ。
まさか、あの頃は何年も後の今に至るまでその関係が変わらず続いているなどとは夢にも思っていなかったけれど。

リザはロイを見つめた。無精髭が生えた顔や、筋肉がついたがっしりとした体格。見た目は確かに変わった。こういった時に漂う大人の男の色気は、悪意なくリザをよろめかせて、彼女を動揺させるけども。しかし、瞳に宿る好奇心に満ちた光は少年の頃とちっとも変わっていない。いつまで経ってもキラキラと輝いて、彼をいつまでも知識欲に満ちた無垢な少年に見せるのだ。
リザは彼のその瞳がとても好きだった。

「大佐! だらしない格好で本を読むのはお止め下さいと申し上げましたでしょう? 食事はおとりになりましたか? どうせ何も食べてらっしゃらないんでしょう? 今からお作りしますから、貴方はシャワーを浴びて来て下さい!」
腰に手を当てて、いつまでたっても少年のような彼を叱りつける。
「……ああ、うん。分かったよ、ありがとう。リザ」
呼吸をするよりも自然に普段は絶対に呼ばないファーストネームで呼ばれて、リザは動揺するよりも呆れてしまう。彼が名を呼んだのは別に色っぽい理由がある訳ではないと知っていたから。
まったく。彼の中で流れる時間はどこまで巻き戻ってしまっているのか。おそらく錬金術の世界に没頭するうちにホークアイ邸での修行時代までタイムスリップしているに違いない。

「はいはい。なるべくお早くお願いしますね、マスタングさん」
いつまでも少年のような愛しい存在。
彼に合わせて返事をしながらリザは微笑みを口元に浮かべると、まずはとっちらかっている床の掃除から始めるのだった。


愛情のカタチ


「なあ、良いだろう? 中尉」
「ちょ、大佐! 離して下さい!」

昼下がりの東方司令部の中庭にて。昼寝をしていた上司を起こそうとしたら、腕を掴まれて引き倒されて。軽いセクハラをリザは受けている。ロイはリザの腰を引き寄せて、彼女にキスを迫っていた。
こんな時間にこんな場所で。
もちろん、リザがそんな誘いに応じる訳はない。ロイの不埒な手を何とかかいくぐり、腰のガンフォルダーから銃を引き抜けば、本日の戯れの時間は終了だ。

「と。……本当に君はいつまで経っても素直じゃないなあ……」
銃口を向けられれば、チェックメイト。冷たい鉄の塊とキスはごめんだとばかりにロイは肩を竦めるとあっさりとリザを解放した。
「貴方はいつまで経っても学習しませんね」
こんな風にリザに勤務中に色事をしかけては、きっぱりとはねのけられているというのに、彼はちっともその悪癖を改めようとはしない。目を細めて威嚇するように銃口を向ければ、とうとうロイは降参と手を上げた。

「分かった。分かったよ、中尉。仕事に戻る。……それでいいのだろう?」
そのまま、立ち上がった彼は腰を軽く払って付いていた芝生を落とすと、大人しく司令部内に戻っていく。
ロイとリザのいつもの光景。セクハラする上司とそれをキツく諫める部下といういつものやりとり。そんな東方司令部の日常風景と言ってもいいこの場面を目撃している者がいた。
ロイの後を追おうとしたリザの耳に、みにゃーという可愛らしい鳴き声が聞こえる。えっと思って辺りを伺うと、続けてまた声が聞こえてきた。

「だ、ダメだよっ、静かにしてっ」
それは聞き覚えのある少年の声で。リザは彼の名を呼んでみる。
「アルフォンス君?」
すると、リザ達が居た木陰の向こうの茂みからのそのそと巨大な鎧が姿を現した。その手には猫を抱えている。
「来ていたの?」
「え、あ、はい。さっき着いたばかりなんですけど。にーさんは大佐の所に行くっていうから、僕はここでこの子と遊んでいようと思って……」
司令部を根城にしている野良猫目当てに中庭にやってきたらしい。猫好きの少年らしい行動に思わずリザの顔が綻ぶ。
「そう。ちょうど今大佐は執務室に戻ったから、エドワード君を待たせずにすむでしょう」
「あっ、そうですねっ……その……っ、あの……」
ロイの名を出した途端にアルフォンスは挙動不審な動きをする。
鎧の体は顔に感情が出ないため何を思っているか一見分かりづらい様に思えるが、その反面オーバーリアクションなので、案外分かりやすいのだ。

「……もしかして、見てた?」
彼の動揺っぷりにピンと来て尋ねると、アルフォンスはきまり悪げに頭を掻く動作をした。彼が生身ならばきっと顔は赤くなっていたに違いない。
「ごめんなさいね、変な所を見せてしまって」
さきほどのロイとのやりとりは、まだ十代前半の少年には少々刺激的だったようだ。
「ううんっ、その……僕こそっ、二人のお邪魔虫みたいな真似をして申し訳なかったなあ……って」
「そんな事ないわ」
「でも……大佐と中尉って、その……お付き合いしているんでしょう?」
「そんな、違うわ」
まあ、あのような所を見られてはそう誤解されてしまっても仕方がない。リザは苦笑しながら首を振った。
アルフォンスは驚いた様にまたオーバーアクションをした。猫が彼の腕の中でミニャーと鳴いている。

「そうなんですか? でも……大佐は中尉の事好きみたいでしたけど?」
少年らしい真っ直ぐで遠慮の無い指摘に、リザの苦笑はますます深まる。
「まさか。あれはそういう意図があっての事じゃないのよ、ただのお遊びよ」
まだ若い彼には大人の世界の事は理解出来ないのだろう。だから、ロイがあのような事をしただけでリザに好意を持っていると思ってしまう。大人の男は下半身と脳味噌は別の生き物なのだと説明しても、純真な少年には分かるまい。
「そうかなあ……」
「そうよ。……事実、大佐は今日も仕事を早く切り上げてデートの予定を入れているわ。好意を寄せている女性が居たらそんな事しないでしょう?」
リザが嫌な顔をしたって、書類を増やして妨害したって。彼は何食わぬ顔でデートに出かけてしまうのだ。そんな男がリザに好意を持っている? ある訳がない。

「ねえ、中尉。中尉はうちのにーさんがこのくらいの距離から投げたちょっと小さめの硬いものを避けられると思う?」
唐突にアルフォンスが口に出した言葉の意図が、リザにはさっぱり見えなかった。ただ、このくらい。と彼が示す距離を見やってから彼に答えてやる。
「……エドワード君の運動神経なら、当たり前に避けられるんじゃないかしら? もっと近くから投げられてもきっと大丈夫なのではない?」
「ですよね」
うんうん、とアルフォンスは頷いている。リザにはますます以て彼の考えが理解不能である。
「……あの、アルフォンス君?」
「でも、にーさんは避けられないんです」
「え?」
告げられた言葉は、またも意味不明だった。しかし戸惑うリザにかまわずにアルフォンスは話し続ける。

「にーさんが無茶をすると、ウィンリィが怒るんです。優しいから。あ、ウィンリィは僕たちの幼なじみなんですけど。それで……ウィンリィは、にーさんにスパナを投げるんです。おもいっきりぶん投げるんです。で、にーさんはいつもぼこぼにやられちゃうんですけど……」
話だけ聞けば幼なじみの男女の可愛らしいじゃれ合いだ。リザも彼らの幼なじみの女の子には一度だけ会った事がある。とても可愛らしくそれでいて、優しい女の子だった。あの子がそんな乱暴な事をするとは俄に信じがたいが、それでもエドワードを心配すればこそだと思うと、微笑ましく思う。
「でも、ホークアイ中尉がさっき言ったように、にーさんはウィンリィのスパナが避けられない訳はないんですよね。にーさんなら絶対に避けられる。だけど、ウィンリィのスパナはにーさんに当たる。これはどうしてでしょう?」
「それは……」
「うん。たぶん、にーさんはウィンリィのスパナを避けようとしてないんじゃないかなって思うんです。だって、にーさん、ウィンリィが大好きだから」
「そうね」
そこには心からリザは同意した。リゼンブールであったあの可愛らしい女の子をエドワードが好きだというのは、とても納得のいく話だ。一度会っただけのリザだってそう思う。
しかし。
アルフォンスのこの話が、今のリザに何の関係があるのだろうか。

「だから。大佐もホークアイ中尉の事大好きだから、銃口を向けられただけで降参するのかな、って僕、思って」
虚を突かれたリザは思わずアルフォンスの顔を見た。それは相変わらず無機質な鉄の兜にしか見えなかったけれど、何故か彼が笑っているような気がした。
「大佐なら中尉に銃口向けられたって、本気になればどうとでも出来るんじゃないかな。だって中尉が本気で撃つ訳ないし。やっぱり男の人だし力だって強いし。……でも、きっと大佐も、にーさんと同じで中尉に怒られたら、抵抗出来ないんですよ。……大好きだから」
違うかなあ……?
そんな風に呟くアルフォンスの声をリザはもう聞いてはいなかった。彼の言葉を反芻する己の鼓動が早くなっているのが分かる。
「中尉……?」
「な、なんでもないわ」
突然顔を赤くしたリザに不思議そうにアルフォンスが呼びかける。
まだ十代前半の純真無垢な少年に指摘された不確定な事実だけで、こんなにも動揺してしまうなんて。
そんな己に更に動揺しながらも、リザはセクハラ上司の小憎らしい顔を思い浮かべて居たのだった。




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by netzeth | 2014-07-23 01:52 | Comments(0)