うめ屋


ロイアイメインのテキストサイト 
by netzeth
プロフィールを見る
画像一覧

<   2016年 01月 ( 10 )   > この月の画像一覧

春はまだかな

寒い日々が続いておりますね、こんばんはー。

オフライン、新刊情報やらスペースNOやらを更新いたしました。
本、早速誤字を発見して落ち込んでおります。 なぜあれほど読み返したのに出て来る!?

イベント前ですので自家通販を休止いたしました。ご利用下さった方々ありがとうございました。再開はイベント後を予定しております。


本日は整体に行って参りました。相変わらず腰の調子がいまいちなうめこです。施術もそうですが、生活全般から見直せというアドバイスを受けて食べる物、運動、生活習慣、といろいろ改善しなければいけない点が多そうです。とりあえず、原稿は良い子で余裕入稿せねばダメだろうなあ。間違ってもギリギリ…なんて体に負担がかかり過ぎるだろうなー。もう、無茶が効かない歳……。

ところで明日美容院に行こうと思ってたら(親戚のおばちゃんなんですけど)おばちゃん腰の骨を折って入院したそうな。……去年父上が同じく腰の骨を骨折し、私がぎっくり腰になり慢性腰痛化、更に2週間前に兄がぎっくり腰をやっております。……気のせいですか、うちの一族腰が呪われてません?? 腰の厄を落とす神社とかないかしら。




うめこのグラマンじいちゃんのイメージ。↓

孫娘ラブ!でマスタング君ラブ!……なので、ひ孫が欲しくてたまらず、ことあるごとにマスタングに「マスタング君って性欲強い?」とか聞いたりする。勢い余ってマスタングに精力剤を飲ませてリザたんと一晩同じ部屋に押し込める陰謀をめぐらすほどに鬼畜。

次の朝。
「いやー災難だったね、リザちゃん」心の声「どうだった、どうだった??」わくわく。
「はい。大丈夫です。幸いトランプがあったので、一晩中ババ抜きをしておりました」
「ババじゃなくてマスタング君抜いて!!!」(下ネタ失礼)
「大佐も前かがみで泣きながらババ抜きをしてましたが?」
  
と、孫娘も鬼畜。でも。
「おじい様に強制されてするのは嫌です、するなら大佐のご意志で……」
とか頬を染めて言っちゃうので、じーちゃんもマスタングもリザたんラブ!





以下SS↓ バリーのとこマスタン嫉妬でこんな感じになったに違いない。

 
夜の静寂に落ちる沈黙にリザは居心地が悪い思いをしていた。彼と二人でいてもこんな風に思ったことなどなかったのに。
前を行く広い背中を見つめて、こっそりとため息をつく。仕立ての良い黒スーツの後ろ姿は、ピリピリとした雰囲気を醸し出している。まるで空気まで張りつめているようで、息が詰まってしまう。
 それもこれも、先ほどの出来事を思えば無理もないだろうと思う。
 魂だけの存在として、リザの前に偶然現れた殺人鬼バリー。思わぬ形でリザは、軍部に巣くう巨悪の手がかりを得た。
 すぐにロイを呼んで、情報を精査した。ファルマンの立ち会いもあり、彼が間違いなく元死刑囚であり、情報に嘘がないだろうことが証明出来た。
 ようやく、ロイはヒューズの仇の尻尾を掴んだのだ。
 親友の死に関しては、彼は見境がなくなることがある。すぐに軍部に戻り、調べ物をする――と言ったのも、逸る気持ちを抑えきれないからに違いない。
 それは、いいのだ。ヒューズを殺した何者かに対する感情、強大な敵に挑む前の緊張感。そう言ったものならば、リザは納得できた。無理もないだろうと思う。
 しかしだ。
 今、ロイが苛立ちを向けているのは敵ではなく、明らかに彼女自身――リザへなのだ。
 そうなると、リザも困ってしまう。
 何か、しただろうか。と心当たりを探るも、当然覚えはない。バリーという生きた証拠を掴んだことを誉められこそすれ、怒りを向けられるいわれなどないのだ。
 はあっと、もう一度小さくため息をついて。リザはその背中に語りかけた。
「大佐、どうしたのですか」
 すると、ぴたりと足を止めてロイが振り返る。急停止に背中に衝突しそうになるのを何とかこらえて。リザはロイを見据えた。
 不機嫌だ、という表情とまるで責めるような視線に耐えきれず、今度は直接的に尋ねる。
「少々苛立っているようですが」
「……分からないかね?」
「はい」
 素直に頷けば、ますますロイの顔が剣呑にゆがむ。しかし、分からないものは分からない。困惑しながらも、言葉を選ぶことはしない。自分は裏表の無い性格だとリザは自負している。
「出来ればお教え頂ければ、幸いです。……大佐がそんな風だと困ります」
「君の失態に、怒っている」
「私、ですか」
 やはり、リザに対して何事か怒っているらしい。
「申し訳ありませんが、一体どのようなことでしょうか」
「君が……」
「私が?」
 言葉に詰まったロイを、促すように首を傾げた。彼はむくれたようにそっぽを向いている。拗ねた子供みたいだとリザは秘かに思った。
「バリーに対して、油断し過ぎていたからだ」
「油断? しておりませんが」
 あの鎧に対しては、適切に対処したと思っている。現に突然襲われても、バリーの凶刃にかかることは無かった。
「いーや、していた」
「しておりません。この通り、五体無事です。切り刻まれてもおりませんよ」
 ガンとして非を責めるロイに、リザも少々語気を強くする。軍人として油断していた……などと言いがかりを付けられるのは、心外だった。まして、上官であるロイにそんな風に思われているとは、遺憾である。
 だが、ロイは首を振り、声を押し殺して言った。どうして分からないんだとリザに苛立つように。
「……敵意を向けてくる相手だけが、危険だとは限らない」
「どういう意味です? おっしゃることがよく分かりませんが」 
「……分からないか」 
「分かりません」
 ふうっとロイが大きく息を吐いた。まるで、仕方がないと何かを諦めたかのような態度。そして。急に、にっこりと微笑んだ。
「中尉、荷物を持とう。そんなに抱えていては重いだろう。気が付かなくてすまなかったな」
 落差のある対応に、虚を突かれて。遠慮することも忘れてリザは手荷物をロイに渡した。
 その時、離れていこうとするリザの手をロイが掴んだ。そのまま引き寄せられる。あっと思ったのもつかの間。唇に暖かな感触を感じていた。
 他人の温度――ロイの温度だ。柔らかくふんわりと包まれるような一瞬の感覚。それに全ての思考が麻痺し、抵抗が奪われた。 
「……こういうこと、だ」
 唇が離れる。至近距離で見つめ合いながら、ロイが囁くように言った。
 瞬間。ずいぶんと遅れて羞恥がやってくる。どうしようもなく頬が熱くなった。
「よーく、分かりました!」
 彼への抗議を込めて、リザはロイの手から荷物を取り返した。それから、肩で風を切りながら大股で歩いていく。
「おい、待て!」
 慌てたように、ロイが追いかけてくる。リザは振り返りもしなかった。
「君が! あいつに対して危機感が足りないからだな!」
「彼は魂だけの存在です。何を危険に思えと?」
「それが、油断なんだ! あんな風にベタベタ触られて……」
 怒気を含んでそんなことを言われて、ようやくロイを振り返る。すると、思いがけないものを見ることになる。
「君は男全般に対して、もう少し警戒すべきだ。……しておいて難だが…少しは嫌がれよ」
 ばつが悪そうに頭をかき、耳まで赤くなったロイの顔だ。
 それを眺めながら、そっちこそしておいてそんな顔をするのは反則だ、とリザは心の中で毒づいたのだった。




拍手ありがとうございます<(_ _)>







[PR]
by netzeth | 2016-01-30 21:04 | 日記 | Comments(0)

日々恋々~本文サンプル~

思い起こせば、きっかけはほんの些細なことだった。
あの頃は大佐に昇進したばかりで何かと忙しく、深夜までの連勤が続いていた。ろくに家にも帰れず、心身共にヨレヨレの状態で。だからこそ、私は押し切られてしまったのかもしれない。
「ちゅ…失礼いたしました。大佐」
そんな極限の状況下での私の唯一の癒やしが、この副官であった。
公式の場では絶対にやらないが、二人きりの時にはうっかり油断してかやらかしてしまう、階級の呼び間違え。涼やかな声が、恥じらいを含んで私を呼び直すのを聞くのは心地良い。中尉に気を許して貰っているようで、私は密かに気に入っている。
「何かね?」
書類を手繰る手を止めて、律儀に非礼を詫びる彼女――ホークアイ中尉を見た。すると大きなアーモンド型の鳶色の瞳が私をじっと見ているのに気づく。そのちりちり焼け付くような強い視線に、私はたじろいだ。
「なっ……何か…ね?」
脳内で、何かやらかしただろうかと目まぐるしく己の所業を振り返る。この前書類を放り出して遊びに…ごほんっ視察に行ったことか? それとも、書類で紙飛行機を折っていたら白熱して部下と中庭で飛行距離記録大会を開催したことか? その心当たりの多さに、我ながら情けない気分になりながら。恐る恐る中尉を伺う。正直上司が部下に取る態度ではない。
「その襟は一体どういうことでしょうか」
「へ?」
予想を大幅に裏切った返答に、思わず間抜けな声を上げてしまう。
「襟?」
「はい、そのヨレヨレの…シャツの襟です」
軍服から覗く、白シャツの襟。私が愛用しているブランドのシャツだ。言われるままに襟元に触れる。確かにヨレヨレだ。
「こ、これは…仕方がないじゃないか。しばらく家に帰れていないし、例え帰れたとしても、深夜だ。だからシャツをクリーニングに出せもしない。それで仕方なく自分で洗濯して…」
「ご自分でお洗濯を? もしかして、洗って干してそのまま着られたのですか? アイロンがけもなさらず?」
「……どうせ上着を着るから良いだろうと思ったんだ」
言い訳がましく言葉を重ねる間にも、中尉の顔が険しくなっていく。これはずいぶんと呆れられているようだ。ああ、眉間のシワがまた一本増えた。あの可愛らしい顔にこのまま刻まれてしまったらどうしようか。……それはそれで、セクシーな気もする。
「外に出る訳でもない、上着を脱ぐ訳でもない。問題な」
「あります。元々あまりない威厳が更に減ってしまいます。副官として看過出来ません」 
言葉尻に中尉の声がかぶる。それはまるで鋭利な刃物のように私に突き刺さった。
「いやそれはあんまりだろう、中尉……私にも威厳くらい備わっているぞ」
情けない声で反論するも、彼女は論調を緩めはしなかった。それどころか、更にたたみかけてくる。
「いいえ。お言葉ですが、大佐。貴方は鏡を見たことがおありですか。控えめに言って、大佐は童顔です。お若く見えるのは良いことですが、大佐という重職には似つかわしくありません。例えば、部下達に『このケツの青い若僧に命令されるのかよ~』とぼやかれるくらいには、外見が階級と釣り合っていないのです」
……例えがやけに具体的なのがとっても気になるぞ。
「が、外見は別に関係ないだろう。重要なのは中身だ」
「いいえ、大佐。それは甘いお考えです。言葉の重み…説得力というものは、とかく見た目に左右されるものなのです。人は見た目が九割と申します。どんなに含蓄深い立派なことを話そうとも、それを発したのが風格の欠けらもない、ヘリウムガスよりもかる~い外見の若僧だったのならば、誰も耳を貸そうとしないのが道理というものです。まして! ただでさえ童顔というハンデを負っているというのに! 更にシャツがヨレヨレ…などと情けない格好を晒すようでは、貴方について行こうという気も失せるでしょう」
……やめて。マスタングのライフはもうゼロよ。
つかつかと近寄って来て、ダンっと中尉は机に手をついた。その剣幕におののきながら、逆らう気などこれっぽっちもない私は早々に白旗を上げた。
「わ、わかったよ、中尉。気をつける、気をつけるから……」
「本当ですか?」
「本当だ」
「では、具体的にはどう気をつけていただけますか」
「そうだなあ……とりあえず、しばらくシャツを洗濯しなくて良いように、新しいのを多めに買ってストックしておくよ。で、休みが出来たらまとめて全部クリーニングに……」
「大佐!」
信じられないという顔で、中尉がふるふる震えている。あ、ヤバい地雷踏んだ…と気づいたがもう遅い。
「貴方は何も分かっていません。洗う暇がないから買えばいい? そして、全部クリーニングに頼る? そんな安易な金銭感覚をお持ちとは…私は情けないです、大佐」
「仕方ないだろう。元々家事は苦手なんだ。普通よりも手間も時間も食う。休みでもなければ出来はしないし、休みの日は休みの日で本を読みたいし、錬金術の研究もしたいんだ」
「それでは、大佐。普段のお食事やお部屋の掃除などはどうなさっているんですか?」
「食事は基本外で食べる。掃除は…まあ、しなくても死なないだろうっ…て、中尉そんな顔しないでくれないか」
基本無表情の彼女が、今とんでもない顔になっている。こんな顔を見たのは、昔ウシガエルに襲われた時以来である。流石にいたたまれなくなって、私は前々から検討していた案を話してみることにした。
「……分かったよ、中尉。君の懸念は最もだ。家事は生活の基本だ。清潔な部屋でなければ身体も休まらないだろう。私は近々ハウスキーパーでも雇うよ。それで良いだろう?」
実はずっと考えていたことだった。私のように独身の軍将校がハウスキーパーを雇うのは珍しくない。
「ハウスキーパー……大佐の部屋に?」
「ああ。この前ハウスキーパーを雇っている同期から話を聞いてね。私も頼んでみるかと思っていたんだ」
私の提案を驚き顔で受け止めた中尉は、何かを考え込むように一瞬沈黙した。それからおもむろに口を開く。
「……大佐。ハウスキーパーの当てはあるのですか?」
「当て?……それは、まあ適当に斡旋業者をあたってみるつもりだが」
「でしたら私にお任せいただけませんか?」 
中尉の申し出には驚いたが、同時に納得もした。部屋に入れるというならば、身元のしっかりした者でなければならない。私の副官兼護衛として、心配するのは当然というものだ。
「分かった。君に任せるよ」
彼女の鑑識眼に叶った者ならば、安心出来るだろう。了承を告げると、何故か中尉はホッと安心した顔をした。
 
――思えばこの時、彼女の企みに何故気が付かなかったのだろうか。


次の記憶は、今でも生々しく思い出せる。何せ、あんな声を聞いたのもあんな顔を見たのも初めてだったからだ。それは私の脳裏にしっかりと刻まれている。
「きゃあ!」
その朝、女性の小さな悲鳴を聞き私は目を覚ました。
寒い。それはそうだろう。毛布をはがれたのだから。
「ち、中尉…!?」
誰が居るのか認識し、寝ぼけた頭が一瞬にして覚醒する。ベッドサイドで私の毛布を掴み佇んでいる女性は間違いなく私の副官で――。
「何で君が、うちに居るんだ?」
「何故って……本日伺うと言ったじゃありませんか。それなのに、いくら呼んでも出ていらっしゃらないから……」
確かに中尉から事前に聞いていた。今日行くと。しかし、来るはずなのはハウスキーパーであって、彼女ではない。ああもしかして、ハウスキーパーの付き添いで来たのか? なら分かる。寝坊したのは申し訳なかったが、中尉が一緒に来てくれて助かった。彼女には部屋の鍵を渡してあるからな。
なんて、つらつら考えていると。顔を赤らめた中尉と目があった。寝ぼすけを叩き起こしてくれた彼女は、何故かすぐに瞳を逸らしてしまう。恥ずかしそうに。そんな可愛らしい姿、初めてだ。良いものを見た…と至福を感じたのもつかの間。
「い、いい加減! そ、そちらを何とかなさって下さい!!」
言葉と同時にバフッと毛布が頭から降ってくる。
そちらってどちらだ…と何気なく彼女の視線が向いていた下半身に目をやって、私は青ざめた。
そこには元気よくお立ちになっている、自分自身があった。


「み、見苦しいものを見せた。いや…その……私もまだまだ若いということで……」
「もう良いですから。勝手に部屋に入った私がいけなかったんです」
私は気まずい思いで中尉と向かいあって座った。既に身なりを整え、先程の醜態も処理済みである。とにかく詫びるのが先決だろうと、切り出したが、彼女はもうそのことには触れたくないようだった。
私だってそうだ。少なくとも想いを寄せる女性に、男の生理現象なぞ見られたくなかった。そしてその先にある私の醜い欲望――を彼女には知られたくなかった。
特に私服の彼女は柔らかい雰囲気を醸し出していて、普段は無骨な軍服に隠されている女の甘さが感じられるのだ。私はソファーに腰掛ける中尉の姿を足先から頭まで観察する。膝丈のワンピースからはほっそりとした脚が覗く。ストッキングに包まれたそれはどこまでも白い。それにパステルカラーのカーディガンを羽織っている姿は、女性らしい華やかさを感じさせる格好だ。そんな彼女と自宅で二人きり――油断すると、理性が危うくなってしまう。
 ……ん? 二人きり?
 と、そこで私はある重大なことに気づいて、尋ねた。 
「時に、中尉。ハウスキーパーさんはどこだ? もしかして外で待たせているのか? では、すぐに入って貰おうか」
 そう。そもそも、中尉と二人きりではないのだ。彼女が連れてきたハウスキーパーが居るはずで。自分の早とちりを自嘲しながら立ち上がり、玄関へと向かおうとする。
 が。中尉の一言に私の上げかけた腰はストンっと落ちた。
「いいえ、大佐。目の前におります」
「何?」
 発言の意味が飲み込めず、聞き返せば。
「ですから。ハウスキーパーは目の前におりますが」
 彼女は律儀に繰り返した。その衝撃的な言葉を。
 沈黙五秒。その間にいろんな可能性を吟味し、私はかろうじてこれならば何とか納得出来るかな、という案を捻り出した。 
「…………もしかして、心が綺麗な人間には見えない人種だったりするか?」
「大佐がご自分を心の綺麗な人間だと思っているのが驚きです」
 意外だという顔で言われて、憮然となる。そこまで心底驚かなくても。ちょっとした冗談じゃないか。……って、冗談じゃないぞ! つまりそれって。
「じゃ、じゃあ! それじゃあ、うちのハウスキーパーは君…ということになるのだが」
「ええ、その通りです。本日から大佐宅のハウスキーパーを私が勤めさせて頂きます。ふつつか者ですがよろしくお願いいたします」
 頭を下げた中尉に、全力で突っ込んだ。
 それは嫁入りの挨拶だ!!
 が、肝心の言葉は出てこず、私は口をぱくぱくと開け閉めした。それを了承ととったのか知らないが、中尉は私の返答を待たず話を勝手に進めていく。そりゃあもう、てきぱきと。
「では、そういうことで。早速取りかからせて頂きますね。まずは本日のタイムスケジュールですが、朝食が今から三十分後。その後洗濯と掃除を予定しております。捨てられたくないものがありましたら、今のうちに避難させておいて下さいね。それから、買い出しに参りましてその後昼食にいたします。メニューに何かご希望はありますか?」
 中尉の口調は仕事の時と寸分変わらぬ、感情のこもらぬ事務的なもの。私はそこでようやく、我に返る。ここは司令部でもなければ出張先でもない。私の家だ。今の彼女は副官ではない。お互いにプライベートだ。
「ちょ、ちょっと待ったぁ!!」
「はい。何か不都合がありましたか?」
「不都合だらけだ! なんで君がうちのハウスキーパーをするんだ!? 私は認めていないぞ!」
「そうですか。では今、認めて下さい」
「だ、ダメだ」
 そう、ダメに決まっている。よりにもよって、中尉がうちのハウスキーパーなど。
「何故ですか」
「何故って……君は私の副官だろう。それがどうしてハウスキーパーなんだ。軍務はどうする、軍務は」
「ご心配なく。大佐の家へお伺いするのは、非番の日だけにいたしますので。軍務に影響はございません」
「いや、あるだろう。君は、貴重な休みを他人のために働いて無駄にしようというんだぞ? きちんと身体を休めなければ仕事にも支障があるはずだ」
「私にとって大佐の部屋の家事など、働くうちに入りません。家でくつろいでいるのと同義です。私の家事の手際は、貴方が一番よくご存じじゃあありませんか」  
 ……それを言われると、弱い。確かに中尉の家事の腕は素晴らしい。少女時代、あの大きな屋敷をたった一人で維持していたのだから。彼女はくるくると踊るように軽やかに、いつも楽しげに家事をこなしていた……。そんな中尉にとって、男の一人暮らしのハウスキーパーなど朝飯前に違いない。
「君の家事能力は知っている。だがな、だからと言って非番の日に君をこき使うなんて出来るはずないだろう。プライベートまで部下を拘束するなんぞ、私をどこまで酷い上官にする気かね?」
「では、大佐のお気が済まないのでしたら、お給金でも出して下さい。それならば正当な報酬を受け取っての仕事です」
「だから、そういう問題じゃあないだろう! そもそもっ、軍人は副業禁止だ!」
「時間外勤務扱いということにすればよろしいのです。貴方は金欠な副官のために特別手当の付く仕事を下さった……そういうことにしておけば、誰も貴方を酷い上官だと思いません」
「……っ」
 話は堂々巡りだった。中尉は一歩も引かない。私の目を真っ直ぐに見つめて、反論してくる。
「そもそも。私は貴方の副官兼護衛として、滅多な者をハウスキーパーとして貴方の部屋に入れる訳にはいかないのです。それは貴方を容易にどのようにも、暗殺出来るということなのですから。……心配なのです、大佐。貴方が……」
 中尉の瞳が微かに陰り、口調がわずかに震える。本気で私を案じて、このような行動に出たのだということが伝わってきて。私はどうにも出来なくなった。
 惚れている女が自分を心配してくれ、家にまで来てくれ、面倒をみると言い張っている。男としては、これ以上強情をはれなかった。……何故なら本心では彼女が来てくれたことが嬉しいからだ。
「……分かった」 
 私はとうとう折れた。それは中尉の熱意に対する敗北である。
「君の負担にならない範囲でやる……と約束してくれるならば、頼もう」
「それは、もちろん。お約束いたします。無理はいたしません」
 快諾に、中尉は喜色を浮かべ、珍しく笑い頷いた。
 うちのハウスキーパーをするのが、そんなに嬉しいのか。
 副官として上官の管理を出来るのが都合がいいのか、それとも……。
 私はそれ以上を考えるのをやめた。それは精神衛生上突き詰めないほうがいい。
 何しろ、これから休みが重なる日は彼女と一日を過ごすことになるのだから。その度に意識するのかと思うと、たまったものじゃない。
「では、早速三十分後に朝食にいたしますね」
「ああ、中尉。一つだけ頼みがあるんだが……」
「はい、何でしょうか」
「……毛布を勝手にはぐのはやめてくれ。もう事故りたくない」
「……了解いたしました」
 記憶が蘇ったのか、中尉はぽっと顔を赤くして受諾した。
 ……ほら、こういう顔をこれから毎回されることになるんだぞ?
 先が思いやられて、私はこっそりため息をはいた。



********************


[PR]
by netzeth | 2016-01-30 20:28

入稿した

オンリー原稿を入稿しましたー!やったー嬉しい。という訳で新刊出ると思われます。詳細はおいおい。ロイ宅でハウスキーパーをすることになったリザたんとそれに悶々とするロイの日常系話です。

いやー今回はマジで間に合わないかと思いました。何しろ腰が痛くて長時間書いてらんなくて。腰への負担軽い順って、寝る>直立>正座>椅子に座る>床に座るnot正座らしいので、正座でやっていたのですが、正座は30分もたない。というか膝が代わりに痛くなるので、最後の方は立って書いてました……。あと、ポメラたんが謎改行を勝手にするのですごく書きにくかった。おかげで昨晩は全然寝ていないです。次こそは余裕入稿を目指そう……。


小耳に挟んだのですがロイモデルの財布が出るとな!?欲しい!イベント用のお財布に使いたい!あとアルモデルのリュックが普通に可愛い件について。というか、リザたんモデルはないの?めっちゃ重要あるよ!欲しいよ!
そのうちマスタングで全身コーディネートも夢じゃないかも。……リザたんモデルでトータルコーディネートする増田しゃん下さい。

リザたんって裏表のない性格をしているって言ってるから、実は演技とか出来なくて棒で、有能秘書ペコーたんとか妖艶美女エリザベスたんとかはロイが仕込んだ……設定が私の中で熱い。てか、棒なリザたん可愛い。特訓と称して卑猥なこと言わせるマスタンとか……
「アナタノアイスキャンディーガタベタイノ。……大佐、これはどういう状況下のセリフなんです?」
「さあ?」ニヤニヤ。みたいなww

偽悪者を気取って、誰に嫌われても気にしなくて、リザたんにだけ分かってもらえてればいいと思っているロイとか萌えるなー。エドとかにも悪い大人ぶってるけどでも根が優しいから周囲にバレバレ……みたいなのww


拍手ありがとうございます(^^)
大変励みになりました!









[PR]
by netzeth | 2016-01-27 23:58 | 日記 | Comments(0)

寒かったですね

本日は日本各地で雪なお天気でしたね。うちの周りは降りませんでしたが、山の方から仕事来ている方は電車が止まっていたそうです。今年は暖かいと思っていたのですが、本格的に冬って感じになって来ましたね~。

中尉はクールな態度をとりつつも大佐の女遊びをよく思ってなさげなとこが可愛い。大佐はそれをよく知ってて、(もちろん本当は女遊びはビジネスデートww)中尉のことニヨニヨしながらいろいろからかってそうだなと素直な涙のとこで妄想出来ました。貴重な中尉の照れ顔ですもの、何度でも読み返しますとも!

ロイアイ初対面シーンで。

「ホークアイの娘のリザです」
「ロイ・マスタングです。これからお世話になります、お嬢さん」
「お嬢さんだなんて……私の方が年下なんですもの、そんな呼び方やめて下さい……」
(とても謙虚な子なんだな……名前で呼んでもよかったのかな?)
「ではなんて呼びましょう?」
「神でいいですよ?」
「神?????」
「神」(コクン)

っていう超上からな子リザたんの夢を見ました……。



拍手ありがとうございまーす!
ブログコメントを下さったお方様もありがとうございました!お返事を書きましたので、よろしければ該当記事をご覧ください。




[PR]
by netzeth | 2016-01-18 22:49 | 日記 | Comments(0)

いろいろ

コンポタ缶の飲み比べがしたいうめこです、こんばんは。お気に入りの一品を見つけたい。ところで、ツイッターで回っていた味噌汁缶、駅の自販機で見つけた。飲んでみたいのですが、あれはお弁当やおにぎりのお供に飲むべきものな気がしてなかなか買えない。だって、電車の中で味噌汁缶だけ飲むのはちょっと抵抗があるww いや、やりたいけどさ。仕事場にあれ、おいてあればいいのになあ。

オフライン情報を整理しました。まずは今年のイベント参加予定を。2月のガンガンオンリーとその後は5月のスパコミを考えています。で、その次はできれば7月のガンガンオンリーに出たいかなあと。
既刊「境界線上の黒」と「普通の男と普通の女」は頒布終了いたしました。ありがとうございました。
それから、すっかりお知らせを失念していたのですが、とらのあな様で、「ファム・ファタル」を取り寄せ販売をして頂いております。よろしければご利用下さい。→とらのあな


積年の想いが爆発して関係を持ってしまって子供が授かったリザたんがロイの足かせにならぬようにと姿を消して、ロイが大総統となった時戻ってきてロイそっくりな男の子連れてて軍務復帰したいと願い出てきていろいろ言いたいことあるけどリザたん可愛さにロイ軍務復帰許しちゃってついでに子供の面倒を見るの大変だからと一緒に住むの提案したらOKでちゃって同居するものの誰の子共かリザたん言ってくれず真意も分からず悶々としおまけにリザたん可愛いからさらにロイが悶々として結局あっ、ダメ子供が見ています……な展開になるシリアスと見せかけたエロコメディな話を書きたいと思いました。妄想は自由だww

今日は整体に行ってまいりました。施術をしてもらったのですが、整体師さんの「あちゃー硬いなーおばーちゃんだなー」「これはお年寄りの体だよ……」というつぶやきに地味にダメージを受けました。本当のことでもはっきり言われると結構傷つくので気を付けてね!という好例ですね。でも気持ちよかったので次も予約してきました。


拍手ありがとうございます(^^)



[PR]
by netzeth | 2016-01-16 19:47 | 日記 | Comments(0)

M

石があると言われてからこれ以上増やさないために、シュウ酸(チョコとかお茶とかに入ってる)をとらないように気を付けているのですが、そのおかげかちょっと痩せました。だいたい3週間くらいで1~2㎏くらい。この調子で来年の夏くらいまでにもう少し痩せたい。

再放送してるレッツエンドゴーを楽しみに見ていたのに、いつのまにかWGP編最終戦に?? あれ、これもしかして間引いて再放送している?全部見られない?……もしかして、ブルーレイ買わないとダメかしら。


「私は君に叱られるのが好きだよ。……誰かを怒るというのは、その相手を想っての行為だからね。君の想いを知ることが出来るから、私は幸せだと感じるんだ」
「……大佐はドMなんですか?」
「君、私の話聞いてた?」
っていう、肝心なところが伝わらないロイアイ下さい。



拍手ありがとうございます(^^)
以下SSですよろしければどうぞ↓ 年末にUPしようと思っていてそのままになっていたもの。




クリスマスが過ぎると、世間は一転ニューイヤーに向けての準備を始める。家の掃除をし、下着や靴下などを新調し、祝いの料理の下拵えをし…何の憂いもなく新年を迎えるために、誰もが忙しくまた浮き足立っているようだった。
そんな雑多な人混みに揉まれながら、リザは町で買い物をしていた。

「小麦粉…また値が上がったみたい。高いなあ……」
お財布の中身を計算しながら、少女はため息をつく。まだまだ買わなければならないものは沢山あるというのに、そのどれもが予算的に厳しい。

結局当初の予定よりも少な目に全ての買い物を終えて、リザは帰路についた。
凍てつく寒さの中、緩やかにカーブを描く道を登っていく。丘の上の自宅まではかなり距離があるが、幼い頃より坂道を往復しているリザにはなんという事もない、慣れたものだ。
しかし、それは身軽ならばと条件が付く。いくら歩き慣れた道だろうと、両手両肩に荷物を抱えて歩くのは辛かった。
「ちょっと、買い過ぎちゃったかな…」
資金不足でだいぶ減らしたというのに、生活必需品や食料品の重量は相当なものがあった。大量に購入すると安くなるため、ついついまとめ買いをしてしまうのだ。
「もう少し……」
吐く息はとっくに真っ白。買い物バッグの持ち手が手に食い込んで痛い。小さな身体では重量を支えきれず、油断すると後ろに倒れてしまいそうだった。

それでもリザは頑張って、どうにか家の玄関にたどり着いた。持っていた荷物を下ろして一息つく。それからガランとした屋敷内を見渡してもう一度、今度は深くため息をついた。
これから、家中の掃除をしなければならない。新年用の料理の下拵えも。雪が降る前に薪も集めて来ないといけないし、やらなければならないことは沢山ある。
立ち止まっている時間など無いはずなのに。たった1人で家を切り盛りしている小さな少女は虚しさと疲れで佇んでいた。

頑張っても頑張っても1人。父は何も言ってはくれない……。

その時である。
「あ、お帰りリザ。」
背後から声をかけられて、リザは驚きのあまり飛び上がった。振り返ると、最近父に弟子入りした少年が戸口に立っていた。
「マ、マスタングさん……しばらくいらっしゃらないはずじゃ?」
「うん。叔母さんのお店が忙しくてさ、手伝うはずだったんだけど…いいから勉強して来いって追い出されちゃって」
ニコニコ笑いながら、マスタング少年はよいしょっと何かを床におろした。

「薪、いるだろ? 雪が降ってからじゃ大変だから集めて来たよ。どこに置いておけばいい? あ、リザもしかして買い出しに行ってたの? ああ、こんなに買って来たらすごく重かったろ。あ~あ手が赤くなってるぞ」
矢継ぎ早に言われて、何から答えるべきか軽く混乱する。リザよりも少し年上のこの少年は、陰鬱な屋敷には無かった明るさでいつもリザを翻弄するのだ。
「あ、あの……」
そうして答えを探していると、彼は止める間もなくリザの冷たい手を握ってしまった。

「寒いし、重たいしで大変だったろう? 買い物なら俺が行くのに。リザが行くならこんなに沢山買って来ない方がいいよ」
「でもだって…沢山買った方が安くなるんです。……重いのなんて平気です」
嘘だ。本当は辛くて苦しかった。誰も待っていない家に帰るのは寂しかった。
けれど、リザは虚勢を張った。
彼は――ロイは父の大切なお弟子さんであり、リザはホークアイ家の娘として彼が不自由なく勉強が出来るように取り計らう義務がある。好意に甘えていい相手ではないのだ。
しかし。

「偉いな、リザは。すごく頑張ってて、偉いな」
暖かい彼の右手がリザの手を握り、左手が頭に降って来た。ぽんぽんと軽く叩かれ撫でられる。
その感触は、リザの中で凝り固まっていた、意地っ張りな自分を溶かすには十分な威力を持っていた。
「ふ、ふぇ…ふぇぇ…う……ぐすっ」
気が付けば、瞳から涙がポロポロと溢れていた。
別に誉めて欲しいなんて思ってなかった。
だけど誰かに、リザはずっと、一言でいいから労って欲しかったのだ。
満たされて、胸がいっぱいになって。溢れ出た気持ちが涙となってこぼれ落ちていく。

「リ、リザ!? ご、ごめんっ、俺、なんか悪いこと言った!? あああ、ほらっ泣かないで……!」
慌てふためき狼狽する少年の声が聞こえる。
違います、あなたのせいじゃないんです。
そう否定してやりたいのに、嗚咽で声にならない。
「もしかして、具合が悪いの? お腹が痛い? 頭が痛いとか? 俺が出来ることがあれば何でもするから、あ、料理はすごく苦手だけど、でも頑張るから! どうか泣かないでくれよリザ……」
頭を撫でられ、優しい声が心に染みて、余計に鼻がツンとなる。
泣き止みたくても、しばらくは到底無理そうだった。

……やっぱりあなたのせいです。マスタングさん。あなたがとても優しいから。

だから、もう少しだけこの人に甘えていよう。
寂しく寒々しかった少女の心は今、暖かな春を迎えたようにぽかぽかしていたのだった。



「大佐、お疲れ様です」
「ああ、ありがとう」
年末を迎えて忙しく仕事に励む上司に労いの言葉をかける。同時に暖かいお茶を置けば、ロイは険しかった表情をほころばせた。
「君の一言で、疲れが吹っ飛ぶよ」
 そう言うと、襟元を緩めてロイは茶を一口飲む。
「うん、美味い。君の茶を飲むと更に癒やされるよ……ありがとう」
「礼には及びませんよ。それよりもお仕事を頑張ってくれると嬉しいです」
「やれやれ…君は本当に優秀な副官だな」
ニヤリと笑い、ロイはさてもうひと頑張りするかと腕をまくる。それを眺めながらリザは思う。

人は誰しも頑張っているときは頑張っているねと言って貰いたい。お疲れ様と労って貰いたい。
――礼はいらない。だって私は、あなたに貰ったものを返しているだけなのですから。

リザは傍らで上司を見守る。いつしかその口元には優しげな微笑みが浮かんでいた。




[PR]
by netzeth | 2016-01-15 00:31 | 日記 | Comments(0)

1月も半分過ぎたね

どーもこんばんはー。ただいま原稿やっております、うめこです。
 腰が痛いので寝ながら原稿やれないかなーと試行錯誤した結果、ケータイ(ガラケー)でぽちぽちやってます。まーはかどらないことはかどらないこと。そりゃあ両手のタイピングに比べたら片手ですもん、スピードは落ちますよね。スマホかタブレットでフリック…とかの方が早いのかな。フリック出来ないけど。
 

「夢を語る男には気をつけるのよ。5割ましぐらいに良くみえるから。だまされないようにね」
 と、ウィンリィちゃんに年上の女性としてアドバイスを送るリザたんとそれを聞いてぶーっと茶を吹き出す心当たりありまくりな増田さん。な、お話を妄想。



拍手ありがとうございます!
レス不要でコメントを下さったお方様もありがとうございました(^^)
ありがたく拝見いたしております♪ ご感想も嬉しいです!





以下、SSを書いたので、よろしければ。↓


「君がそんなに犬が好きだとは思わなかったよ」
「え?」
 私の指摘に彼女……ホークアイ中尉はきょとんとした顔を見せた。
「何ですか、突然」
 訝しげな顔で、彼女は私のデスクの上にお茶を置く。どうやら本気で自覚がないようだ。
「ここ最近の君は、あの子犬の話しかしないから」
「そんな、まさか。そんなことはありません。だいたい大佐と私は主に仕事の話しかしていないではないですか」
「うん。だから、仕事以外の話は、ということだよ」
 言いながら私はひっそりとため息をつく。
 仕事中に私語を許してくれる副官ではないから、必然的に仕事の話しかしなくなる。そんな無味乾燥な話題では、二人の距離は縮まらないだろう。そうなると、親しくなるためのコミュニケーションは、休息時間を狙うしかない。
 激務の合間のほんの少しのささやか過ぎる時間。だが、例えわずかであっても中尉とする他愛のない会話を、私は楽しみにしていた。
 だがしかし。
 最近の彼女は口を開けばハヤテ号ハヤテ号。
 彼女の口からのぼる話題を、あの新参者の子犬が独占状態なのである。
 優しい女性だから小さな命を捨て置くことはすまいとあの時も思っていたが。……まさか、ここまで子犬にのめり込むとは意外だった。
 生真面目でストイックな彼女にも、生き甲斐が出来たのだ。子犬の成長をつぶさに語る様子は微笑ましいし、表情が豊かになったのも、喜ばしいことだ。
 だがしかし。
 彼女を想う男としては、少々面白くないのである。中尉の変化ーーそれが自分では無い他者からもたらされたものだということが、気に入らない。はっきり言って悔しいのである。
「まさか、あのホークアイ中尉ともあろう者が、子犬に夢中になるとはね」
 だから揶揄するように言ったのは、悔し紛れであった。ずいぶんと子供っぽい独占欲を発揮していることは自覚しているが、己を止められなかった。すると、中尉が私の顔をマジマジと見つめてくすりと笑う。
「私だって女性ですから、可愛らしいものが好きなんです。……ですから大佐のことも好きなんですよ?」
「なんだって?」
 二重の意味で聞き逃せ無いことを言われて、私は思わず立ち上がった。勢いがつき過ぎて膝を強かにデスクに打ち付けてしまう。机の上で危うく茶の入ったカップが倒れそうになっていた。だが、そんなことには構っていられない。
「も、もう一度言ってみたまえ! 私のどこが可愛いんだ? かっこいいと訂正したまえ! かっこいいと! そ、それからす、好き…?」
「そんなムスッとした顔で、子犬にやきもちを焼いてらっしゃるところがですよ、大佐」
 すまし顔で言われて、思わずぺたぺたと顔を触る。するとまたくすくすと笑う中尉の声が聞こえて。
 ……どうやら私は彼女の手の上で転がされているらしい。と気づいて憮然とする。
「ちゅ、中尉……上官をからかうのは感心しないな」
「申し訳ありません。何しろ可愛いものが好きなもので、つい意地悪をしたくなってしまうんです」
「……あの子犬にはしないくせに」
「あら、あの子のように可愛がられたいんですか?」
「もちろんだ」
「ではあの子みたいにお利口さんになって、私の言うことを聞いて下さいね」
 手始めにと、彼女はどこから取り出したのかドサッと重低音を響かせ大量の書類をデスク上に積み上げる。それから、にっこりと微笑んだ。
「こちらをお願いいたしますね?」
 頬がひきつる。どうやら藪をつついて蛇を出してしまったようだ。
「もう一度好きって言ってくれたら……頑張る」
「ええ、いいですよ。私は可愛くてお仕事の出来る人が好きですよ」
「あの子犬より?」
「それは大佐の頑張り次第でしょうか」
「……分かった」 
 
 彼女の愛を子犬から勝ち取るために、早速私は書類仕事に励むことにする。いつか彼女が優しい表情で私の話をしてくれたらいいと、夢みながら。
 


[PR]
by netzeth | 2016-01-14 01:04 | 日記 | Comments(0)

通販連絡事項です♪

【通販連絡事項】 1/3 17:00までに頂いたお申込みには全て確認メールを返信済みです。メールが届いてないよ~という方はご一報下さいませ~。





[PR]
by netzeth | 2016-01-03 17:02 | 日記 | Comments(0)

あけおめです

あけましておめでとうございます! 昨年は当サイトにいらして下さりありがとうございました。今年も自分ペースですが、ぼちぼちやっていくつもりですので、よろしくお付き合い下さると嬉しいです。

 
昨年はどうも身体の具合がよろしくない一年だった気がします、今年は健康に過ごしたいものです。やはり健康でないとロイアイ妄想できませんからね! 不健全な魂は健全な肉体に宿る!……あれ?

 
腰は相変わらず痛いのですが、少しだけなら椅子に座っていられる……ような気がする。ので、とりあえず、来月のオンリー目指して元日から原稿をやるつもりです。無理して修羅場~とか出来ない身体なので、早めに動かないと……。

でもでも、年末年始の番組楽しいのが多すぎて、ついついテレビ見ちゃうのです。誘惑に負けるな。


久しぶりにSSを更新しております。元日に更新しておりますが、新年とはまったく関係ありませんww



拍手ありがとうございます!
レス不要でコメントを下さったお方様も、ありがとうございます!ありがたく拝見しております(^^) 調子はだいぶ良くなってきました。ご心配頂きありがとうございます。今年もよろしくお願いいたします!


 



[PR]
by netzeth | 2016-01-01 21:51 | 日記 | Comments(0)

苦く甘く

人生とはとかく苦いものだ。特にこのような場所――墓地にいるとロイはなおさら強くそう思ってしまう。
 吹き付ける風にコートの裾をなびかせ、静謐ながらどこか寒々しく寂しいその場所にロイは立っていた。見つめる墓碑銘にはもうずいぶんと昔に亡くなった、師の名が刻まれている。
「ご報告が遅くなり、申し訳ありません。師匠」
 穏やかな口調で語りかけながら、ロイは深く一礼した。例え死した相手といえど、師匠の前に立つとロイはいつも厳粛な気分にさせられる。それは少年時代からずっと変わらない。
「師匠はきっと良い顔をなさらないと思いますが」
 そう、言葉を切って生前の師の顔を思い出し、苦笑する。
 最後までロイが軍人になることを反対していた、彼。そんな彼を押し切って、士官学校に入り軍人となった。思えば、師との最後の邂逅は正式に軍人となってすぐのことであった。
「……あれからいろいろありましたが……私なりに悩み、答えを見つけて……ようやく、目指すものに辿り着きつつあります」
 今ならば、師匠もよくやったと褒めてくれるのではないか。
 ……いや、それはないか。
 自分の思いつきに首を振りながら、ロイは言葉を続ける。
「今春、大総統への就任が決まりました。実質私はこの国の頂点に立ちます。……師匠が目指した錬金術を民の幸福のために役立てること。それを実現出来る立場になれたのではないでしょうか」
 そのために、ロイはこれまで多大な犠牲を払ってきた。自らの手を汚し、汚泥を呑み込み、ひたすら前へと進み……己の幸福さえもないがしろにして。
 その道程を間違いだったとは、思いたくない。そしてそれは。これからのロイの行動にかかっているのだ。おそらく改めて己を戒めるために、自分はホークアイ師匠の元にやってきたのかもしれない……。
 じっとかつて師匠だった男の名を見つめながら、なおもロイは語り続ける。
「父、母、師匠、親友、部下……私は幾人もの者達を見送って来ました。大総統となったのならば、また、何人もの名も知らぬ者達を死に送ることになるのかもしれない。それでも私は……」
 己を信じて、道を進むのだ。
 かつての師にまるで誓いを立てるように、目を軽く瞑る。そんなロイの背中に涼やかな女の声がかったのはその時だった。
「遅くなって申し訳ありません、大将」
 振り返れば、白い花を抱えた女性が歩いてくる。短い金色の髪を揺らした――ロイの副官リザである。彼女はきびきびとした歩調でロイの隣へと並び、それからゆったりと腰を下ろして墓石の前に花を置いた。
「いや、構わない。師匠とゆっくり男同士の話をしていたところだから」
 彼女に気をつかわせないようにおどけたように言うと、リザも表情を
緩める。
「父と一体何のお話していたのですか?」
「うん?……それは…男同士の秘密だ」
「まあ、私はのけ者ですか。ひどいですね」
 内容とは裏腹に、リザの口調は優しい。懐かしき師弟の再会を、彼女も嬉しく思っているのかもしれない。
「おいおい、そうムクレるな。……なあに、娘をよろしくと師匠に言われていたんだよ」
「また。大将の嘘はすぐにお分かりになりますよ。頬の辺りが、ヒクヒクするんですから」
「……何だって?」
 聞き逃せない副官の指摘に思わず手を頬に当てれば、耐えきれないといった風にリザがくすくすと笑い出す。すぐに彼女にはめられたと気づいて、ロイはばつが悪くなった。何年経とうとも、ロイはリザには勝てないのだ。
「こら、年上をからかうもんじゃないぞ」
「だって、大将が私をのけ者になさるから」
 軽く睨みつけると、リザもこちらを睨んでくる。しばらく無言で見つめ合って。やがて、どちからともなくぷっと吹き出した。
 寒々しかった墓地に、暖かな明るい笑い声が満ちる。
「あ~もう、やめだやめだ。師匠の前ですることじゃないな」
「そうですね」
 お互い変な意地を張ってしまったことを認め、ロイはリザに白状することにする。師の愛娘であり、またロイの最愛の女性である彼女に対して、この場所で隠し事なと出来はしない。
「……師匠とは、人生のほろ苦さを語っていたのさ。後何人の人間と別れを繰り返さなければならないのでしょう、と」
 ロイの言葉を聞き、リザは全てを察したようだった。
 男が師に吐き出した弱音と、それでも前に進むという意志。最高の地位に着こうとも、そこはゴールではなく、スタートに過ぎない。
 ロイの戦いはこれからも、ずっと続いていくのだ。
 思えば、その重圧を少しでも軽くしたかったのかもしれない。
「生前、父が私に語ってくれたことがあります。人は出会いと別れを繰り返し、生きるものだーーと」
「師匠が?」
「はい。母を亡くし、ずっと泣いていた私に、父が話して聞かせてくれたのです。その時は幼すぎて、よく理解していませんでしたが……思えばあれは、父なりの精一杯の慰めの言葉だったのでしょう」
 きっとニコリともしない真面目くさった顔で泣く娘に語ったのだろう。少しでも娘を元気づけたくて。師の父親としての顔を知り、意外な思いにロイはとらわれた。そしてまた、その娘も父の言葉を用いて、ロイを元気づけようとしている。
 やはり、顔は似ていなくても親子なんだな。
 どこか暖かい思いで、ロイはリザに話しかけた。
「別れがあれば出会いもある。つまり別れを、辛く、悲しく思い詰める必要はないということだな。……師匠らしい」
 ほっと息を吐き出してから、ロイは言葉を噛みしめる。
 一人の取りこぼしもなく民を守るなんて、全能の神でもなければ不可能だ。ならばロイは一人でも多くの者を守れるように、努力すればいい。そういう大総統になればいいのだ。
「ありがとう」
 重石を少しでも取り除いてくれたリザに感謝を述べる。すると、彼女は、いいえと小さく言うとじっとロイを見つめてきた。何か言いたげなその様子に、ロイは首を傾げる。
「どうした?」
「その……いいえ、あの、やっぱりいいです」
「何だね、気になるじゃないか。言いたまえ。言いかけて言葉を濁すなんて君らしくない」
 言いよどむリザを、強い調子で促す。しばし逡巡していたリザだったが、観念したのだろうか。幾分顔を赤くしながら、しかしきっぱりと言い切った。
「……父は人は別れと出会いを繰り返す……と言っておりました。ですが、私は、私は貴方とは別れたくないと、思います。一生…最後の時まで一緒にいたいのです。大総統となられましても、このことはお忘れにならないでください」
「ああー…ごほんっ」
 あまりにも意表を突かれすぎで、ロイは咳払いをする。でなければとても間が持たなかった。
「それは……プロポーズかね? リザ」
 深読みすれば、いやしなくてもそうとしか思えない。ロイに指摘されあっとリザは口を開けた。
 自分の口走った言葉の意味を、理解して、今度こそ顔を真っ赤にする。
「そ、そういう意図は……っ、ただっ、私はっ…貴方の心のご負担を少しでも軽くと、わ、忘れて下さいっ」
「残念、取り消しはきかないよ。リザ」
「大将!」
 師の墓の前で多少気が引けたが、ロイはリザの手を掴むと引き寄せた。抗議の声を上げた割にはあっさりと彼女は胸の中に収まる。その柔らかさと暖かさを堪能しながら、思う。
 人生とはなんと苦く……また甘いものだろうか。と。
 


END
*********************
[PR]
by netzeth | 2016-01-01 21:36 | Comments(2)